- 週間ランキング
ネット版のFLASHによると、あの古舘伊知郎が、11月16日放送の『古舘伊知郎のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)で、64歳にしてラッパーデビューを飾ったことを明かした……らしい。
なんでも、過去にSMAP時代の香取慎吾のソロ曲『SKINAIRO』の作詞や中島美嘉の曲などに参加して、今年7月にはEXILE所属のLDHに移籍したラッパーのSALUとのコラボが実現。リリック(歌詞)には古館も参加して、アイデアを出したという。その労苦を古館は番組中で以下のように語っている。
「とにかく世代間のギャップを丸出しにしよう、と。『好きにやればいいんじゃない?』と言ってるSALUさんに対して、自分は『自分を磨き直せ』」と水を差している嫌なオヤジ。『お互いに一方通行で噛み合わない』というのを狙って、それが交換日記みたいだった」
「いざリリックができあがると『失踪しよう』と思った。ラップができない自分に気づいた。ラップならではのフロウ(節回し)が難しくて…」
だが、そんな本人の不安をよそに、(同番組にゲスト出演していた)SALUは「ラップめちゃくちゃ上手いです。古館さんはラッパーです!」と大絶賛。感激した古館は「来年の紅白(歌合戦)を目指そう。無理なら『ミュージックステーション』」と音楽への番組出演を熱望していた……のだそう。
古舘伊知郎とラップ──青天の霹靂、目からウロコのケミストリー、まさにベスト・マリアージュである。超早口にも微動だに揺るがない天才的な滑舌、かつてプロレス中継で鍛え上げられた決壊したダムのごとく噴き出る言葉のストックとチョイスのセンス、そしてなによりも一秒一秒ごとに物事を判断するゲリラ兵士のように研ぎ澄まされたアドリブ力……ラッパーとしての素養は、すでに充分すぎるほど兼ね備えているのだ。フリースタイルダンジョンに参加するそこらへんのにわかラッパーなんかだと、とてもじゃないが太刀打ちできないのではないか。30歳以上年下のラッパー(SALU)とコラボして「世代間のギャップを丸出しにしよう」という狙いもいい。
ラップというのは、とどのつまりが「限られた尺(小節)内に、聴く側のインプレッショニズムに響くタームを組み合わせ、それを韻を踏んだりしながら、いかにたくさんブチ込めるか」が鍵となる、音楽というよりはむしろ詩的な行為……だと私は考える。古館の歌唱力がどれだけのものなのかは、まったくの未知数だが、仮に彼が天性的な音痴であっても、ラップにいたっては関係ない。だって「音楽ではなく詩」であるからして、不可欠なのはメロディ感覚じゃなく、幾多の“喋りの修羅場”で培ってきたリズム感なのだから……。
たぶん、一度っきりのコラボで済ませず、本格的にラップ活動をある程度の期間、併行し続ければ、いっぱしのモノになってるんじゃないか? 来年の紅白出場もマジ、夢ではない。あと、私は正直なところ、本来ラップがあまり好きではないんだけど、こうやって60歳過ぎの古館がラップに初挑戦するといったニュースを耳にすれば、「ラップって、もしかするとボケ防止にすごく向いているのでは…」とも思えてきた。そこらへんの脳科学的な根拠ってどうなんですかね? ここcitrusでも寄稿なされている脳神経外科医の菅原道仁センセイ……。還暦を迎えた人限定のフリースタイルイベントとかって、なんか面白そう。実際あるなら今後の健康のためだけに、5年後には一度参加してみたい……。