女友だちを自分のテリトリーに入れることによって生じる不具合の中には、男性がらみのものも少なくない。女が警戒する女とは。



 



 



■いくつになっても天真爛漫



 



「先日、女友だちを私が陶芸を習っている教室のグループ展に招待したんです。そうしたら彼女、やって来るなり先生にベタベタして。先生、確かにステキな人なんですけど、私たちだって独り占めしないようにみんな牽制しあってるのに、彼女はまったく場を読まずに矢継ぎ早に先生に質問を浴びせかけ、あげく一緒にお茶しに行っちゃった。私はグループの人から『どうしてあんな人を連れてきたのよ』と責められるし。ひどい目にあいました」



 



ナホコさん(43歳)はうんざりしたようにそう言った。女友だちは同世代のエリさん。ふたりとも既婚で子どももいる。



 



「エリさんって天衣無縫というか天真爛漫というか。どこまで計算しているのかわからないけど、ステキな男性を見ると目をキラッキラさせて質問攻めにするんですよね。前に子どもにピアノを買ってやりたいから下見につきあってと言われて、ピアノの中古展に行ったときもそうだった。説明してくれた店員さんにやけに媚びてて。そのときは私に実害があるわけではないので興味深く見ていたんですが、ああいう女性を自分のテリトリーに入れてはいけないと今回、改めて思いました」



 



自身の人間関係にもヒビが入りかねないからだ。いくつになっても天真爛漫。これはいいことなのか悪いことなのか……。



 



 



■媚びているわけではないけれど



 



ステキな男を見れば目がキラキラはある意味で女の本能。それがいけないとは思わないし、隠さずにそれができる女性を個人的には嫌いではない。だけど、とシオリさん(40歳)は言う。



 



「夫の姉がそういうタイプなんですが、やはり親戚たちには評判悪いですよ。法事などで集まったときも、お坊さんにも精進落としで寄ったお店のご主人にもやたらと愛想がよくて。ああいう女性ってそもそも体や顔を相手に寄せるんですよね。いい年してふしだらだって、親戚のおじさんは怒ってた」



 



シオリさんの義姉も、別にそれで相手を落としたいと思っているわけでもないだろう。その場を和ませたいだけかもしれないし、楽しい時間を過ごしたいだけかもしれない。



 



女が男に近づいて話しかけたり隙を見せるようなそぶりをしたりすると、周囲は「男に媚びるイヤな女」と評価する。だが、それは本当に「媚び」なのだろうか。結婚していたら、ステキな男性に近づいてはいけないのだろうか。もっと話してみたいという気持ちを率直に示すことが悪いとは思えないのだが……。



 



「そのあたりはやっぱり世間の常識をわきまえたほうがいいと思いますけどね」



 



シオリさんのその言葉が「世間」そのものなのだろうが、私は常識からはみ出す人を愛しいと思ってしまうのだ。


情報提供元: citrus
記事名:「 気持ちに率直な義姉──「法事のお坊さんにも体や顔を寄せるんです」