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“世界各国の子供たちの本当の肌色を集めた“との触れ込みの色鉛筆12色セットが輸入販売され、話題になっているようです。「色を混ぜる手間が省ける」、「子供に差別について学ばせる良いきっかけになる」と好評を博しているのだそう。
■「はだいろ」の消えた背景
そもそも往年の「はだいろ」という名称が文具業界から消えたのは2000~2006年頃のこと。外国人やハーフなど様々な人種や国籍の子供たちの増加を受け、「『はだいろ』が差別的印象を与える為、教育上、不適当である」との教育現場の意見を考慮し、日本の大手文具メーカーが「ペールオレンジ」、「うすだいだい」などといった呼び名に改めたとされています。しかしながら、従来の「はだいろ」の呼称で育った親世代にはこの変更に否定的な人も少なくない様子。
■「肌色表記に問題なし」が過半数
あるウェブサイトでは「はだいろ」に関するこのような意識調査が実施されました。「これまで、黄色人種国家である日本で普通に使われてきた、この『肌色』という言葉ですが、やはり『問題あり』だと思いますか?」との質問に対する回答が以下の通り。
1位:単なる言葉狩り。大袈裟だと思う114票(33%)
2位:ここは日本なのだから「肌色」でOK。問題なし102票(30%)
3位:特に深く考えた事はなかったが、差別…と言われると、そうかなと思う59票(17%)
4位:日本に住む外国人が増えている昨今、こうした時代に即した配慮は必要40票(11%)
5位:以前から「肌色」という言葉に違和感があった 21票(6%)
「大袈裟」、「問題なし」がそれぞれ1位と2位で、合計63%と過半数を占めています。他にも「肌色は日本の文化」、「揚げ足の取りすぎ」、「こだわる方が差別意識が強いのでは」といった声が寄せられていました。
■英語教育と肌色問題に見る矛盾
ここで気になったのが、現在の親世代の多くが子供の英語教育に並々ならぬ力を入れているという事実。これには、子供たちに将来英語を使って国際的に活躍してほしいという思いが込められているのだと思われますが、実際には国際感覚とは言語だけで養われるものではありません。言葉はコミュニケーションツールであり、それを使用する人間自身に異文化を理解する心や、肌色を含む人種差別といったセンシティブな問題にも配慮できるセンスがなければ、国際的な成功は少々難しいのではないでしょうか。子供に英語教育を強いる一方で、肌色表記を「問題なし」と教えて育てると、その子供自身が将来、国際的な場で困難な状況に直面することが予想されます。
■差別はされるまで辛さがわからない
他にも「差別を気にしすぎる」という意見がありましたが、差別をする側にその気はなくとも、される方はずっと敏感で、深く傷つくものです。例えばの話ですが、自分が白人率の高い国に子供連れで転勤になったとしましょう。そこで青や緑の色鉛筆に「瞳の色」、金色に「髪の色」と堂々表記されていたら、黒髪黒眼の自分の子供が白人だらけの学校のクラスで疎外感や劣等感を感じたり、他愛ない虐めや差別に遭う可能性は否定できませんよね。そんなデリケートな状況を、現地の親たちから「気にしすぎ」と一刀両断されたとして、差別される側は果たして即座に納得できるでしょうか?
こうして考えると、やはり「はだいろ」がマーケットから消えたのも、引き換えに「世界の肌色鉛筆」が登場したのも必然的であったように思われます。肌色文具にノスタルジーを感じる気持ちはよくわかるのですが、もし子供たちに国際的サクセスを期待しているのなら、英語などの言語教育と並行して、異文化や多様性を尊重させることは不可欠なのでは。昨今ではiPhoneでも絵文字の顔の肌や髪の色を選べるようになるなど、国内でも気付きのチャンスが徐々に増えてきているようですので、これから子供たちが多様性・国際性をよりよく学べるような環境を積極的に調えるとともに、誰にとっても居心地の良い社会にしていきたいものですね。
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