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さて。私は男性だからなのか、50代になってもとくに更年期障害のようなものを患った記憶もなく(※ “自覚”がなかっただけなのかもしれないが)、著者の瀧本さんが挙げた「5つ」にも、正直すべて “ピンと来ている”わけではない。
けれど、これらはあくまで「ご本人が実践していること」を羅列しているだけの体(てい)であって、「こうしなさい!」と啓蒙を促しているわけではないので、それはそれで全然かまわないだろう。
ただ、50代にかぎらず……仮にあなたが30代だとしたら「次の40代」、20代だとしたら「30代」を、本当に「穏やかに過ごしたい」と願っているとすれば……瀧本さんが実践なされているこのいくつかのなかには、重要なキーワードが隠されている。そう!(2)の「群れすぎない」と、(4)の「特別楽しいことを探さない」だ。
「穏やかな日々」というのは、瀧本さん曰く「特別楽しいことを探さない」──いささか乱暴に、別の表現をしてしまうと、
「刺激のない日常」
……という言葉に置き換えることができる。したがって、「穏やかな日々を過ごす」にはそれが “良い刺激”であれ “悪い刺激”であれ、とにかく毎日の生活から極力「突発的な要素を排除する」作業を行わねばならない。もし、あなたが何歳であれ、まだそういうフラットな日常を “退屈”と感じてしまうのなら──「刺激的な非日常」に未練を残しているのなら、今日のこのコラムはここで読むのをやめておいてほうがいい。
私はすでにアラカンにまで達した人間である。だから、心底から「次の60代」を「穏やかに過ごす」ため、50代にはじめたことがある。
まずは、前出のとおり「群れすぎない」ようにするため、交友関係をかなり抜本的に整理した。「人と会う」という行動は、それだけで “新しい刺激”を生む確率が高くなるわけで、会う人数が増えれば増えるほど……当然のこと、その「確率」もより比例的にどんどんと増してくる。真の「穏やかさ」を望むなら「むやみやたらな他人との接点」はとことん排除していくべきなのだ。
あと、本格的に料理をはじめた。「料理づくり」には、二つのメリットがある。一つは「穏やかに過ごす」ためにもっとも欠かせない「健康」を守ること。もう一つは、ルーティンを維持するための “起点”として、なによりも適していること。たとえば、夕食をつくりはじめる18時までに仕事を全部終わらせる……みたいな感じか?
もう一度繰り返す。もし、あなたの心のなかに「非日常」を求める滾(たぎ)りがまだ燻(くすぶ)っているならば……少なくとも瀧本さんや私の真似はしないほうがいい。しかし、もはやどんな「刺激」だって得られる大富豪なのに「トレーニング→試合→睡眠」……という判を押したかのごとくなライフサイクルに満足をおぼえる、大谷翔平選手のような “幸福感”に憧れる若い世代も……(このたった数ヶ月で)じつはけっこう多くなってきているのではなかろうか。
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