- 週間ランキング
事態が一変したのは、入院したその日の深夜だった。酸素飽和度が全然上がらなかったためICUへ移動し、麻酔で鎮静がかけられ、人工呼吸器を装着。さらに肺の炎症を抑えるためステロイド薬が投与された。間質の炎症が抑えられれば、酸素を取り込みやすくなり酸素飽和度があがることが期待された。しかし……状態はよくならない。
このとき彼は呼吸不全を起こし、全身に酸素を送ることに障害が起きていたと思われた。こうして「苦しい」という自覚症状のないまま命の危機に。人工呼吸器が装着されたメッセンジャーあいはら。その状況は、相方の黒田にも伝えられた。数日前まで普通に生活していたのに。死を覚悟……と言われても。黒田も、家族も、ただ困惑した。
そんな中、ICUに移って3日。ステロイド薬などの効果もあり、酸素飽和度が安定。血液検査やレントゲンで、肺の炎症も治まってきたことが分かった。こうして、鎮静状態がゆるめられ、あいはらは目を覚ました。そして、その翌日には人工呼吸器から離脱できた。
原因によっていくつかの種類に分けられる間質性肺炎。そして、彼の間質性肺炎の原因が診断された。それは「加湿器肺」というものだった。間質性肺炎の中でも、加湿器の内部で発育する菌やカビに対するアレルギー反応により、肺に炎症を起こす、過敏性肺炎の一つ。
実はここ数年、加湿器の普及に伴い、加湿器肺を発症している人は増えているという。ウイルス感染予防として加湿器を使用する人も多いが、実は高い湿度を続けると、部屋の中に、カビや菌が発生しやすい状況になってしまう。そのカビや菌が加湿器の中に入り、こまめに清掃などせず使用すれば、部屋中にカビや菌が散布される状況になる。つまり、湿度70%以上でいつも使っていたあいはらの使い方が間違っていたのだ! 多くの加湿器の説明書にも「こまめに清掃し、水分を拭き取ってください」とある。さらにあいはらの場合は1年中、しかも長期間に渡って加湿器を使用していた。また、加湿器肺を含む過敏性肺炎になりやすい体質というものもあり、あいはらもそのような体質を持っていたと思われた。
加湿器肺により命の危機に陥った、メッセンジャーあいはら。アレルギー体質になり、加湿器があるところに15分以上いると肺炎の症状が現れるため、加湿器には近づかないようにしている。家電量販店にある新品のサンプル品であっても、加湿器肺になって以来、恐怖心から近寄れなくなったという。このように今回の出来事以降、その後の生活が一変してしまった。
きちんと使えば風邪などの予防にもなる加湿器。決められた手入れ法を守り、細菌などが発育しないよう、消毒・乾燥させ清潔に保ちましょう。(2022年1月18日OA)