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広島の都市としての歴史は、16世紀に始まります。戦国時代の1589年、毛利輝元によって広島城が築かれ、その周辺に城下町として広島が形成されました。広島はその後、毛利氏の居城として発展し、江戸時代には広島藩の政治・経済の中心地となりました。明治時代に設置された広島県の県庁所在地となった広島市は、その後呉市とあわせて重要な軍事拠点として発展をします。ところが軍事拠点としてのその役割ゆえに、第二次世界大戦中の1945年8月6日、広島は世界初の原子爆弾投下の対象となり、市街地の大部分が壊滅してしまいます。戦後に広島は見事に復興を遂げ、1955年の広島平和記念公園の完成から現在まで、原爆の悲惨さを後世に伝える、世界でも有数の平和都市として発信を続けています。
広島は、広島湾に面した平野部と、その背後に広がる山地から成る地形を持っています。市の中心部は広島平野に位置し、六甲山系の一部である広島市西部の山地と、東部の低い丘陵地帯に挟まれています。また、「水の都」とも呼ばれる広島市内には川が多く、特に広島市中心部を流れる元安川と太田川の二つの川に挟まれたデルタ地帯は、市街地の形成に大きな影響を与えています。広島湾は瀬戸内海に面しており、一帯は晴天が多く温暖な気候に恵まれ、海産物や柑橘類などの宝庫としても知られています。
広島市内は交通網が充実していて、旅行者にとっても観光のしやすい街になっています。市民の足でもある路面電車(通称「広電」)は、原爆ドームや広島平和記念公園、広島城など市内の主要な観光地を結び、宮島への玄関口である宮島口にもこの路面電車でアクセスすることができます。また観光地や美術館を循環する観光ループバス「ひろしまめいぷる~ぷ」や路面電車が行かないエリアへの移動には路線バスも活用しては。広島空港へのアクセスにもバスが便利です。そのほか、より小回りが利き、ローカル気分も味わえるシェアサイクル「ぴーすくる」もおすすめです。市内約40か所のサイクルポートはどこでもレンタル・返却が可能です。
https://www.veltra.com/jp/japan/hiroshima/?sid=1554
広島は個人旅行で訪れても十分に楽しめる街ですが、よりディープな広島に触れたいなら、広島を知り尽くした地元のガイドさんに案内してもらうのが一番です。
ここからは筆者が実際に体験した、"Another Side of Hiroshima"という1泊2日のツアーをご紹介していきます。
https://www.veltra.com/jp/japan/hiroshima/?sid=1554a/172059
ツアー1日目は、午後のサイクリングツアーからスタート。ガイドさんとは、広島平和記念公園の中にあるレストハウスで待ち合わせです。本日のガイドはトビーさん。参加者もツアー中はニックネームで呼ばれ、クイズや雑談も交えながらとてもフレンドリーな雰囲気です。
まずはレストハウス横の地図で広島市の地形を確認し、いざ城下町広島の中心となった広島城へ出発!sokoikoさんのピースツアーは2時間の通常コースと3時間のロングコースがありますが、こちらの1泊2日のプランにはロングコースが組み込まれています。通常コースは広島平和記念公園や街中に点在する被爆遺構を中心に構成されていますが、ロングコースには広島城も含まれ、戦前の広島の歴史についても理解を深めることができます。戦没者が祀られている広島護国神社や、原爆投下の第一報が発信された旧陸軍の防空作戦室もあり、必見の一帯です。
広島城を後にすると、今度は本川(旧太田川)を南下して、平和記念公園に戻り、公園内の重要スポットを巡ります。ここでもたくさんのエピソードを披露していただきましたが、特徴的なのは、一つひとつのストーリー中心となる人の思いが語られていること。平和記念公園を設計した丹下健三の願いを知ると、目の前にある今の景色が一層光を放ち、かけがえのないものに見えてきました。
コースの後半は、市内に点在する被爆遺構や戦後復興に関わる場所を巡ります。徒歩よりも楽に遠くまで足を伸ばし、また車で回るのと違い、距離間を体感できるのもサイクリングツアーの利点です。広島赤十字病院の「歪んだ窓枠」、広電千田車庫、御幸橋、、、いずれも原爆の残した傷跡、広島の人たちが受けた衝撃や本能的にとった行動を語り継いでいます。
なかでも印象的だったのは広島大学旧理学部1号館での光景でした。4月でしたが汗ばむぐらいの暖かな休日だったので、校舎の前の芝生にはピクニックをしてくつろいでいる親子連れの姿もありました。当時の様子に思いを馳せながら、今の平和はその先にあるのだということを実感しました。またこの公園内には戦後世界各地から贈られたさまざまな種類の木が並んでいます。戦後焼野原となり、「75年は草木が生えない」と言われた広島で、力強く育ち、幸せな日常を彩っている姿には、平和都市ならではの強いメッセージが宿っています。
ガイドさんによると、このツアーには海外からのゲストも多く参加されていて、色々な立場、背景の方がいるそうです。でも一貫して伝えているのは、「あなたと私はもうフレンドだ」ということ。一度フレンドになったら、遠い場所で起きていることも自分ごとになり、無関心ではいられなくなります。そうやって思いがつながることが、平和への一歩になることを願うばかりです。
今回私が泊まったのは、広島駅からも徒歩5分ほどの便利な場所にあるNAGI Hiroshima。どこに行くにも抜群のアクセスながら、瀬戸内海の水面「凪」をイメージした名前の通りで、周辺は静かな環境で、また配慮が行き届いたお部屋もリラックスするのに最適でした。
穏やかな色合いのファブリックに囲まれ、温かみのあるコーヒーカップとホテル近くのコーヒーショップのオリジナルドリップバッグが用意されているのも嬉しい限り。1階のロビーには、ウォーターサーバーが備えられ、マイボトルも滞在中に借りることができます。サステナビリティの関心が高まっている中で、こういったサービスがあると旅行中も気軽にエコが実践できますね。また、ホテル前には記事内でご紹介した「ぴーすくる」のステーションもあり、隙間時間にも活用できます。
何よりこちらのホテルのおすすめは人!旅好き、広島好きのフレンドリーなスタッフが、おすすめのスポットやレストランも紹介してくれます。私は一人旅だったので、一人でも入れ、広島らしいお店をリクエストするとたくさんの候補と細やかな案内をしていただきました。希望があれば、事前の旅行相談も乗っていただけるので、滞在を検討している場合は、是非活用してみてください。
ツアー2日目は広島駅の北にある二葉山の早朝トレッキング。通常広島の観光といえば、駅より南側の市街地や宮島が中心なので、まさに広島の知られざる顔が見れる貴重な体験です。
まず向かったのは、二葉山の麓にある広島東照宮。東照宮といえば、誰もが日光東照宮を思い浮かべるかと思いますが、ここ広島東照宮も徳川家康が祀られていて、位置としては、前日に訪れた広島城の鬼門にあたる場所です。そして裏鬼門は宮島、とのことで、点と点がつながり、線になったことを実感します。
ツアーはインバウンド旅行者も意識した内容になっていますが、日本人であっても普段は意識をしていない神社での礼儀作法や、境内の建物や置いてあるものの意味をあらためて教わり、とても勉強になります。
本殿を後にして、次は山頂を目指します。山頂と行っても標高139mなので、難易度は高くないのですが、山頂までの金光稲荷神社への参道は老朽化で歩きにくくなっていたそうです。Asageshikiを主催するMy Japan代表の三村さんを中心に有志で結成された「山を楽しむ会」が整備を進め、先人たちが守ってきた森を大切にしながら、山の豊かな自然に触れられるようにしているとのこと。観光で環境を再生することを意味する「リジェネラティブ・トラベル」の実践であり、これからの旅の在り方を考えさせられます。
参道と森林道を進みしばらくすると仏舎利塔のある頂上へ。ここからは広島市街地と瀬戸内海の島々の清々しいパノラマが眼下に広がります。
帰りは、下山途中に、森林の少し開けたスペースに陣取り、ヨガと森林浴を行います。実は参加をするまでここのパートの想像ができていなかったのですが、とても貴重な体験でした。五感を研ぎ澄ませることで、より自然を近くに感じることができ、また自分自身の体や心の動きに意識を向けることのできるひとときでした。旅、というのは新しい場所や人との出会いだけでなく、普段見えていない自分自身を見つけることができる機会かもしれないですね。
最後は金光稲荷神社奥宮にて野点の体験。ガイドさんがツアー中ずっと背負ってくださっていた木箱から野点の道具と素敵な茶器が登場。絶景を目の前に、いただくお抹茶は一際美味しく感じました。
歴史、自然、文化とたくさんの要素が詰まっているにも関わらず、過去、今、未来が一つにつながり、広島のことがもっと知りたい、新しい自分も探してみたい、と背中の後押しをしてくれるような、そんな素敵なツアーでした。
今回広島を訪れたとき、私自身が転機を迎えている時ということもあって、広島という世界でも類をみない場所で、人と出会い、このまちの様々な顔を発見することで、色々と考えるきっかけにもなりました。広島には戦禍から再生した逞しさとひたむきな明るさ、他者を受け入れ、居心地をよくさせてくれる温かさがあります。是非次の旅に広島を訪れてはいかがでしょうか。
https://www.veltra.com/jp/japan/hiroshima/?sid=1554a/172059
余暇プランナー
「心ゆさぶる体験」の真ん中には、いつも人がいます。私たちが暮らすこの日本について、もっと知りたい、また訪れてみたい、あの人を応援したい・・・そんな想いを生み、紡いでいく出会いが旅の先には待っています。旅の未来を信じ、たった一度の出会いが次の行動につながる旅をお届けします。
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