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富士山本宮浅間大社には、1ノ鳥居と2ノ鳥居のほかに、東西にも鳥居があります。
JR身延線の富士宮駅から向かうと1ノ鳥居から、同じく身延線の西富士駅から向かうと西の鳥居から、車で行くと駐車場に停めて2ノ鳥居から、新幹線の新富士駅から富士急静岡バスで行き最寄りの最寄りの湧玉池で下車し向かうと東の鳥居から入ることになります。
富士山を信仰する浅間神社は、静岡県と山梨県をはじめ全国に1300以上ありますが、富士山本宮浅間大社はその総本宮で、駿河の国の一之宮です。富士山の山頂近くには奥宮があります。
ご神体はもちろん富士山で、源頼朝や武田信玄、徳川家康などが信仰しました。
江戸時代には巡礼登山が流行し、まずここで参拝してから向かったといいます。
2013年6月に 世界文化遺産 になりました。
富士山本宮浅間大社は、「 富士山の噴火を鎮めた浅間大神を山足の地に祀り山霊を鎮められました 」といった由緒が伝わります。つまり「 噴火を鎮めるために建てられた神社 」という起源で一般的には理解されています。
しかし、この理解は半分です。もう半分は「 むしろ噴火を歓迎する 」という、まったく逆の思想が込められていると考えるべきでしょう。
噴火によって人間の命も生活も脅かす「ブラック富士」と、噴火によって新たな恩恵をもたらす「ホワイト富士」の両面を持っているのです。
富士山は日本一高い山ですが、しかしそれだけで霊峰・信仰の山として世界遺産にまでなっているのかというと、もちろんそんなことはありません。
富士山からの伏流水をはじめ、石灰地質などによってわたしたち生き物に豊かな恩恵をもたらしてくれています。
何百年に1度の噴火は生き物にとって壊滅的な被害を受けますが、反面、 地質や地形、水質や水流を更新 してくれる、地球にとっても生き物にとっても必要な活動です。人間にとっては「災害」でも、自然にとっては当たり前の活動である噴火によって、人間の生活は豊かになっているようです。
これは噴火に限ったことではなく、地震や津波でも同じことがいえます。もちろん、それによって失われる人命の痛ましさはありますが、残念ながら 自然と生き物との関係性 は本来そのようなものだと受け入れるほかないようです。
恩恵を受けるのは人間だけでなく生き物全般です。
富士山を深く理解しちゃんと参拝するには、そんな「人間にとっては負の側面」も含めて理解してはじめてできることなのかもしれません。
https://www.surugawan.net/guide/51.html
拝殿、本殿の東に広がる湧玉池には 富士山からの天然水 が湧きだしています。「天然水なので、飲む際は煮沸してからにしてください」といった注意書きがありますが、そのまま飲んでも問題ないほどおいしい水でした。
富士山本宮浅間大社から南へ歩いて10分ほどの場所に1ノ鳥居がありますが、これが大鳥居と言われていて、横には「静岡県富士山世界遺産センター」があります。おそらく富士山をモチーフにした、変わった外観が目を引く建物です。
富士山の歴史をはじめとした各種解説を、ビジュアルをメインに見ることができます。
カフェやミュージアムショップも併設されています。
https://www.surugawan.net/guide/410.html
富士山浅間大社がある富士宮市だけでなく、三島市も、山梨県側も、富士山の裾野にあたる土地は水に恵まれ、土壌の違いによって他では栽培できない農作物も育ちます。
ふだん目にする富士山は美しく、どこから見ても絶景ですが、その裏にある富士山の裏の顔がいつ私たちの前に現れるかわかりません。
余暇プランナー
仏像と歴史好きな、社寺建築の仕事をしていたおじさんです。全国の社寺、仏像を見て回り、古代から戦国の時代を空想しています。 空想しすぎて小説を書き、文学賞もらっちゃいました。旅ライターと小説家の2刀流おじさんです。