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木曽路とは現在の長野県に当たる信濃国に位置し、 江戸時代に五街道として整備された中山道の中で、新茶屋(岐阜県中津川市)から桜沢(長野県塩尻市)に至るルート です。
木曽川に沿った街道沿いは、深く切れ込む谷間で、険しい峠や平地が少ない土地にあります。
木曽路の馬籠宿出身の作家・島崎藤村の代表作である「 夜明け前 」の「 木曽路はすべて山の中である 」というフレーズは木曽路を表現するのにぴったりなあまりにも有名なフレーズです。
山深い地域である 木曽路は林業が主な産業で、独特の文化や風土が残されており、現在も江戸時代の面影を残したままの宿場町が残されていて 、近年は人気の観光地となっています。
中山道は 江戸時代に五街道の一つ として整備された、江戸から京都を結んだ主要道路です。
江戸から京都へ向かうもう一つのルートである東海道があったのですが、難所である箱根越えや川越えなどの不便があったため、山越えの中山道を利用し参勤交代や、大名や皇族の輿入れにも利用されていたようです。
東海道よりも長い約54kmの道中には、 中山道六十九次と呼ばれる69の宿場があり、そのうち11宿が木曽路 に置かれていました。
木曽路には11の宿場町があります。
江戸方面の北側から順番に、
今回は木曽路11宿の中でも、規模が大きく人気が高い宿場町を5宿紹介します。
奈良井宿は69ある中山道の宿場町のちょうど真ん中に位置し、 難所でもある鳥居峠の手前に形成された宿場町 です。
木曽路といえば木曽川沿いを思い浮かべる人もいるでしょうが、奈良井宿は木曽川の手前で日本海側に注ぐ奈良井川沿いにあり、 現在の長野県塩尻市 に位置しています。
鳥居峠入り口から奈良井川沿いに約1kmにわたって宿場町が形成されており、 日本最長の宿場町 でもあります。
奈良井宿は、明治時代の道路改修の際、国道から宿場の道が外されたため、江戸時代の宿場の街並みがほぼ完全に保存されてます。そのため 伝統的建造物保存地区にも指定 されています。
「 奈良井千軒 」とも呼ばれる、どこまでも続く宿場の街並みに入ると、江戸時代にタイムスリップした気分になります。
福島宿は現在の木曽郡木曽町にある宿場町で、戦国時代は木曽氏の城下町として、江戸時代は木曽代官山村氏の陣屋町として、そして 四代関所の一つである福島関所が設けられていた ため、中山道の宿場町の中でも規模の大きな宿場として発展していました。
現在も木曽地域の中心的な街で、木曽福島駅はJR中央本線の特急「しなの」の停車駅でもあり、木曽観光の拠点ともいえる地域でもあります。
宿場のあった、 上町・下町は昭和2年の大火でほとんど焼失してしまい、古い建物は残っていません が、上之段地区には復元した江戸時代の木造建築や江戸時代末期の建造物が所々残っているので散策におすすめです。
また関所のあった場所には、関所資料館が併設されており、復元された関所や、関所に関する史料が展示されています。
野尻宿は、木曽11宿の中でも奈良井宿に次ぐ長さを誇った宿場で、 外敵を防ぐために曲がりくねった「七曲がり」と呼ばれる町並みが特徴 です。
昭和18年に火災があり、ほとんどの建物は焼失してしまいました が、ところどころに残った江戸時代の遺構に、当時の面影を残しています。
また近年は絶景スポットとして人気のある 阿寺渓谷の玄関口 として多くの観光客が訪れています。
妻籠宿は江戸時代の雰囲気がそのまま残る宿場町 で、11宿の中でも馬籠宿、奈良井宿と並んで多くの観光客が訪れる人気観光地です。
全国でも初めて古い街並みを保存した宿場町 であり、1976年(昭和51年)に 国の重要伝統的建造物群保存地区に選定 されました。日本の街並み保存運動の草分けとなった宿場でもあり、その保存方法は手本として全国に広まっていきました。
宿場町の 規模は1245.4ヘクタールで全国最大、伝統的建造物は206件 あります。街中には食堂やお土産屋が軒を連ねていて、1年を通して多くの観光客で賑わっています。
また保存された町並みには江戸時代の民家や常夜燈、水場や復元された高札場があり、当時の面影を偲ばせてくれます。木曽路観光の際には外すことができないスポットです。
馬籠宿は、 木曽11宿の中でも一番南に位置 し、以前は長野県でしたが、越県合併により現在は岐阜県にある宿場町です。
木曽11宿の中でも妻籠宿、奈良井宿と並んで多くの観光客が訪れる人気スポットでもあります。
馬籠宿の特徴は、他の11宿が平坦な道にあるのに対して、 石畳の敷かれた坂道に宿場が形成 されていて、坂道の両脇には昔ながらの宿場が並んでおり、ノスタルジックな雰囲気を味わうことができますよ。
江戸時代の雰囲気が残る、石畳が敷かれた坂の町並みはSNS映えする フォトジェニックなスポット としても人気!
また江戸時代から残る建物の現在はカフェやお土産屋さん、名物五平餅が販売されていて、食べ歩きやお買物も楽しむことができます。
馬籠宿は 「夜明け前」の作者島崎藤村ゆかりの地 でもあり、宿場の中間地点には島崎藤村の生家で、馬籠宿本陣跡でもある藤村記念館もあるので、お時間が許す場合はぜひお立ち寄りください。
長野県木曽郡上松町にある景勝地で、 1923年に国の名勝に指定 され、県立公園特別地域でもあります。
寝覚ノ床周辺は花崗岩地帯で、その中を流れる木曽川が長い年月をかけて岩を削り、四角い石を積み上げたような不思議な景観を造り出しました。
木曽路の突如現れる、白い岩肌とエメラルドグリーンの不思議な景色は、新緑の季節、紅葉の季節など周辺の景色とマッチし、古くから旅人を魅了してきたのがよく理解できます。
https://kiso-hinoki.jp/colibri-wp/tourist/nezamenotoko/
阿寺渓谷は、長野県木曽郡大桑村にある渓谷で、木曽川支流の阿寺川沿いにあります。近くには木曽11宿の一つ野尻宿があります。
近年、特に注目されている人気観光スポットなのですが、人気の理由は 渓谷の水の美しさ 。
阿寺渓谷は透明度が高く、不純物が少ないため、光の反射によってエメラルドグリーンの美しい水面を造り出しています。その美しい水面は「 阿寺ブルー 」と呼ばれるほどです。
「阿寺ブルー」と呼ばれる青い水面はSNS映えする人気撮影スポットで、多くの観光客が写真撮影に訪れています。ただし、気を付けていただきたいのは、木曽路観光でふらっと立ち寄れるようなスポットではありません。かなり歩きますので、トレッキングの準備をして行くようにしてください。
https://blog.nagano-ken.jp/kiso/nature/8484.html
木曽地域は古くから 林業が盛んな地域 です。 江戸時代の頃から山林保護から良質の木材として保護、育成され続けていて、木工芸品、家庭用品、家具類などが生産されてきています 。
有名な木曽ヒノキを始めとした 木曽五木 (ヒノキ、サワラ、アスナロ、ネズコ、コウヤマキ)を素材とした木曽材木工芸品は軽くて丈夫なため、家庭で使用するにもおすすめです。
その他にも伝統工芸品である木曽漆器、南木曽ろくろ、奈良井曲物などもあり、宿場町のお土産屋で購入することができます。
信州といえばそば各地で人気ですが、木曽路もそばが親しまれています。
宿場町には各所に人気の蕎麦屋さんが点在しています。木曽路を観光する際には、信州そばは欠かせないグルメです。
素朴な味わいの信州そばは、木曽路のなつかしい風情にとても良く似合っています。江戸時代、中山道を旅していた人々と同じように信州そばを食べながら一息ついてみてはいかがでしょうか。
五平餅は木曽地方に古くから伝わる郷土食です。
五平餅とはうるち米を炊いてつぶしたものを竹などの棒に小判型やわらじ型、団子型に固めて、タレをつけて香ばしく焼いたもの です。
タレには醤油や味噌にゴマ、クルミ、エゴマなどをが入っており、昔はお祝い事などに食べられた特別な御馳走でした。
素朴で甘じょっぱい味は、宿場町を散策中に疲れた体を癒してくれるので、食べ歩きにはぴったりです。
木曽路に今も残る中山道の宿場町は、木曽という山間の地域だからこそ、江戸時代の街並みを残したまま現在まで残ってきました。
これだけ昔の街並みが残っている場所は、全国でもなかなかお目にかかれません。
山間の宿場町を散策していると江戸時代にタイムスリップし、昔の旅人の気分にさせてくれることでしょう。
皆さんも中山道の歴史と文化が残った木曽路の宿場町を是非散策してみてください。
余暇プランナー
元旅行会社勤務で今は山の中の観光施設で働きながら旅ライターを行っています。元々旅行好きで大学も地理学専攻と根っからの地理マニアです。大自然の絶景と寺社仏閣などの歴史建築が大好きで、連休などあればすぐに車中泊で出かけてしまいます。その他登山やランニングなどとにかく家に引きこもっていることが苦手で、常に自然の中で過ごしていることが私の癒しになっています。
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