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三重県といえば伊勢神宮が真っ先に浮かびますが、その途中、鈴鹿市にはこの椿大神社があります。「 つばきおおかみやしろ 」と呼びます。
ここは特に東海3県、三重県を含む愛知県、岐阜県の経営者に人気があり、初詣には背広やスーツ姿の男女が多く見られます。
境内へ入ると、空気が変わるというか、伊勢神宮のような「清涼で引き締まる」という感覚とは少し違う、プレッシャーみたいな圧力を感じます。拝殿・本殿へ向かっていくにつれて、その感じは強くなっていきます。
ご祭神は猿田彦大神です。全国の 猿田彦神社の総本宮 です。猿田彦といえば伊勢神宮の天照大神を伊勢の場所まで案内した神様ですが、幸運に導き招く「 みちびきの祖神さま 」といわれ、商売にも家庭にもご利益があります。
ここからさらに山を登っていくと、愛宕社があり、頂上付近には奥宮があるのですが、ふもとにある境内まで強い霊力で守っている猿田彦の神は奥宮から見守っているのかもしれません。
ただし、奥宮までは標高900メートルを超える山で、往復数時間の本格的な登山になります。
ここには松下幸之助さんがよく通っていたといいます。松下電器、ナショナルパナソニックの創業者で 経営の神様 です。本殿へ向かっていく右側のルートには、松下幸之助社があり、松下幸之助が寄進した茶室・鈴松庵まであります。お呈茶が一服800円でいただけます。
また、茶室・鈴松庵からすぐ上には、 かなえ滝という霊水 が出ています。奥宮がある山からの湧き水のようで、ここからずっと境内を流れていきます。境内のいい意味で圧力的な雰囲気は奥宮からの霊水からも感じられるようです。
親鸞聖人が鎌倉時代に開いた浄土真宗は、本願寺派や真宗大谷派など現在10派に分かれています。他にも真宗系単立などがありますが、主なものが 真宗10派 といわれ、三重県にある高田派の本山は勢力的には本願寺派、大谷派に次ぐ規模です。他の7派の本山は福井県や滋賀県などに点在しています。
高田本山の建物はさすがに規模が大きく、京都の東西本願寺の本山に引けを取らないほどです。数年前、2つの建物が 国宝 になりました。
そのひとつ、御影堂は、親鸞聖人を祀るお堂で、350年ほど前、江戸時代前期に建てられました。
畳780枚が敷かれ、坪にすると400坪近い面積、全国の国宝木造建築の中でも5番目に大きいという巨大建築です。
御影堂の横に建つ如来堂がもうひとつの国宝です。 屋根が2層になっているので2階建てのように見えますが、下の屋根は裳腰(もこし)といって言わば庇の役割で建物を雨から守っています。大きい建物にはよく見られるものです。
京都の東西本願寺では阿弥陀堂と呼ばれる建物にあたり、阿弥陀如来が祀られています。御影堂よりやや小さいのですが、実は こちらが本堂 です。浄土真宗では阿弥陀様がいらっしゃるほうが何より大切な場所であることがわかります。
本尊の阿弥陀如来立像は快慶作の 国指定重要文化財 です。
三重県は南北に長く、今回ご紹介した椿大社のあたりの鈴鹿山脈からずっと南へ山脈が連なり、岐阜、滋賀、奈良との県境になっています。一般的に東海3県といえば愛知、岐阜、三重の3県で、電力会社の管轄も東海圏に入る三重県ですが、言葉使いはほぼ大阪に近い関西弁をしゃべる人が多いのです。食文化などの味付けでは関西風と関東風がミックスしている感じです。
また、津市や松阪市、亀山市など主要なエリアからの通勤は名古屋方面が多いのです。どうやら 三重県はハイブリッド のようですが、細かく見ていくと、伊賀市や名張市、そして県南部の尾鷲、熊野はやや関西寄り、桑名市や四日市から松阪あたりの海岸沿いまではやや名古屋寄りっぽいです。個人的な見解です。
余暇プランナー
仏像と歴史好きな、社寺建築の仕事をしていたおじさんです。全国の社寺、仏像を見て回り、古代から戦国の時代を空想しています。 空想しすぎて小説を書き、文学賞もらっちゃいました。旅ライターと小説家の2刀流おじさんです。
お伊勢さんだけじゃない三重県のパワースポット2選 椿大神社&高田本山専修寺