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建仁寺は、多くの観光客が行きかう祇園花見小路のほど近くにありますが、一歩境内に入ると、静かで厳かな空間です。
建仁寺の境内には、6月には甘茶が可愛く咲き誇る 霊源院(れいげんいん) や半夏生(はんげしょう)が美しい 両足院(りょうそくいん) など多くの塔頭があります。
創建は、鎌倉時代の建仁2年(1202)、中国からお茶を持ち帰り、普及させた 栄西禅師(えいさい・ようさいぜんじ)が開山した京都最古の禅寺 です。
双龍図は、建仁寺の法堂(はっとう)の天井に描かれています。108畳分の広い天井に日本画家の小泉淳作氏が約2年という歳月を費やして完成させた大迫力の2匹の龍です。
2匹の龍は、一方は口を大きく開け、一方は口を閉じている「阿吽(あうん)」の形をとっています。今にも天井から飛び出してきそうな躍動感ある双龍図は、一見の価値ありです。
建仁寺の方丈の襖絵にも2匹の龍が描かれています。こちらは桃山から江戸初期にかけて活躍した 海北友松(かいほうゆうしょう) という画家の手によるものです。現在襖絵に描かれている雲龍図は、高精細デジタルによる複製で、本物は京都国立博物館に保管されています。
双龍図、雲龍図ともに方丈拝観で一般公開されているうえ、なんと 写真撮影OK (三脚は使用は不可)です!
拝観受付の本坊には 「風神雷神図屏風(レプリカ)」 も展示されていますので、ぜひご覧くださいね。
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紅葉と青紅葉で有名な東福寺にあるのは、京都生まれの日本画家・ 堂本印象(どうもといんしょう)氏が描いた蒼龍図(そうりゅうず) です。
Photo by 藤花
この蒼龍図を堂本氏は、なんと17日間で描き上げたそうです。堂本氏の並々ならぬ集中力が、荒々しい龍に乗り移ったかのようで、見る者を圧倒する迫力があります。
蒼龍図の描かれた仏殿は通常非公開ですが、外側からも覗き見ることができます。また、期間限定の特別拝観も行われていますので、公式ウェブサイトをチェックしてみてくださいね。
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嵐山にある世界遺産天龍寺は、曹源池庭園(そうげんちていえん)の壮大な風景が有名な寺院です。こちらにあるのは、 「八方睨みの龍」 と呼ばれる龍図です。
法堂にある龍図は、1997年に日本画家の加山又造氏が描きました。こちらの雲龍図には、他の龍とは違った特徴があります。よく見ると5本指なのです(普通は3本指が多いです)。これは龍の中でも最高位の龍を表しています。なぜ最高位の龍が描かれたのかはわかりませんが、豆知識として知っているとちょっとお得な気分が味わえます!
また、部屋のどこにいても龍に見られているような不思議な気分も。円の中心に大きな龍の目が描かれることで、龍を見ながら移動するとずっと追いかけてくるように見えます。このような八方睨みの龍は、他に寺院にもありますので、のちほど紹介しますね。
天龍寺の雲龍図は、土・日・祝のみの公開となっています。(春夏秋は毎日公開期間あり)
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妙心寺(みょうしんじ)はとにかく広く、約10万坪もの境内に本堂の伽藍(がらん)や塔頭があります。すべてを回るのはとても大変ですが、まずは龍図を目指しましょう。雲龍図は南総門から真っすぐ北へ、大方丈の左手前の法堂にあります。
妙心寺の龍図も天龍寺と同じ 「八方睨みの龍」 と呼ばれています。ですが、こちらは江戸初期に活躍した 狩野探幽(かのうたんゆう)が8年もの歳月を費やして描いた ものです。狩野探幽は狩野派の創始者狩野永徳の孫で、圧倒的な画才により、二条城や大坂城、名古屋城の障壁画に携わった人物です。
見る場所によって空へ上るようにも下って来るようにも見え、どの角度からでも目が合うことから「八方睨みの龍」という通称が付きました。しかし天龍寺の龍とは少し違った八方睨みです。
妙心寺の龍は、一見片目しか見えないのですが、見る角度によっては両目になります。「そんなバカな」と思った方は是非実際にご覧ください。びっくりしますよ!
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京都御所の北に位置する相国寺(しょうこくじ)は、天龍寺と同じ夢窓礎石が開山した寺院で、金閣寺を建てた足利義満が建立しました。龍図のある法堂は、慶長10年(1605)の豊臣秀頼が再建した日本最古の法堂です。
法堂の天井に描かれているのは、 狩野派の絵師・狩野元信(狩野永徳の次男)が描いた幡龍図(ばんりゅうず) です。幡龍とは、天に上る前に地面にうずくまり、とぐろを巻いている龍のことです。法堂の中央で手をたたくと「カラカラ」と反響するのが特徴で 「鳴き龍」 と呼ばれています。
通常は非公開ですが、春秋の特別公開時には拝観できます。
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ここまで紹介した寺院以外にも、龍図はまだまだあります。
中でも狩野探幽をはじめとする狩野派の手になるものは非公開・期間限定公開も合わせて次に通りとても多くあります。
狩野派以外も含めるともっとたくさんの龍図があります。
同じ龍でも描かれた年代や流派によって特徴がありますので、じっくりと観察してみると案外面白いですよ。
興味のある方はぜひ見比べて見てください。
出典・参考
- 京都に乾杯 寺社めぐり「雲龍図」
- 京都ガイド 京都雲龍図
- 建仁寺リーフレット
- 東福寺リーフレット
- 京都大知典 JTBパブリッシング 2010年
余暇プランナー
京都の歴史や文化、町並みをこよなく愛する副業ライターです。 普段は夫と共に弁当宅配店を運営し、お勤めの方にランチをお届けしています。 趣味は読書、映画鑑賞、御朱印集めです。 京都在住と歴史(特に幕末・新選組)好きという強みを生かして、ひと味違った京都の表情や素敵なスポットの情報をお届けしたいと思っています。 ちなみに京都検定2級取得済み、難関の1級はまだまだ先になりそうです。
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