2019年9月の観光ビザ解禁を機に観光地としての注目が高まる、中東・サウジアラビア。これまではイスラム教の巡礼目的でなければ一般人の渡航が難しく未知の国とされてきましたが、いよいよ謎の扉が開かれました。最近では観光地としての知名度が徐々に増し、「サウジアラビアに行ってみたい」という人の数も増えつつあります。

本記事では、そんな好奇心旺盛な人向けにサウジアラビアへの旅行に役立つ基本情報をご紹介しています。現地の治安からおすすめの服装や日数まで初心者でも分かりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

サウジアラビアってどんな国?

サウジアラビア(正式名称:サウジアラビア王国)は中東のアラビア半島に位置する国で、アジア大陸の南西端に位置しています。ヨルダンやオマーン、アラブ首長国連邦をはじめとする8ヵ国と国境を接し、アラビア半島の5分の4を占めるとされています。

日本の6倍あまりにおよぶ広大な国土を誇り、海や山、砂漠など地域によって異なる見どころを有するのが特徴。「石油の国」というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、実は観光資源が豊富でとても見応えのある国でもあります。

以前はイスラム教の巡礼など限られた人しか行くことができませんでしたが、2019年の観光ビザ解禁以降、一般の旅行者でも気軽に行けるようになり、近年注目を集めています。

異国情緒漂うアラビアン世界

サウジアラビアでは空港に降り立った瞬間から、異国情緒溢れる光景に囲まれます。すれ違う人々は中東ならではの民族衣装に身を包み、街の至るところにはイスラムの礼拝堂「モスク」が点在しています。

訪れる先ではアラビアコーヒーとデーツで中東流の "おもてなし" を体感。街に響くアザーン(礼拝時間を告げる呼び声)、地元民の活気に満ちたスーク、旅人を温かく迎える人々の優しさ。

この国で体験する出来事はすべてが新しく、そして帰る頃には懐かしい。アラビアンな世界が秘めた不思議な魅力を体感してみましょう。

豊かな歴史と文化

イスラム教発祥の地であるサウジアラビアには、世界中から年間200万人以上の巡礼者が訪れています。最も有名なのはメッカとメディーナの2大聖地ですが、実は歴史深い見どころが多くあります。2023年7月現在、サウジアラビアでは6つの場所が世界遺産に登録されています。

これからの登録が検討される候補地を含めるとさらに10ヵ所以上あり、世界遺産の数は今後も増え続ける見通しです。ヨルダンやバーレーンなど中東諸国と歴史の繋がりがあるほか、東アフリカとアジアの要素が混ざった独特な文化を目の当たりにしたりなど、常に驚きと発見に満ちた冒険が楽しめるのも魅力。

その他にも、サウジアラビアには訪れるべき景勝地がたくさんあります。おすすめの観光地は別記事で紹介しているので興味のある方はぜひご覧ください。

https://www.veltra.com/jp/yokka/article/where_to_visit_saudiarabia/?sid=1554

変わりゆく姿に注目

サウジアラビアの自然といえば砂漠をイメージしがちですが、国土は紅海とペルシア湾(アラビア湾)に面しており、実はとても海の綺麗な国でもあります。西側に広がる紅海沿岸地域では「レッド・シー・プロジェクト(The Red Sea Project)」と称される大型プロジェクトが進行しており、大きな話題を呼んでいます。

周辺には大小90以上の島々が点在し、カラフルなサンゴ礁や熱帯魚をはじめとする豊かな生態系を誇ります。2030年にはこれらのうち22の島々と6つの内陸部から成る敷地に、計50ものリゾートが誕生する予定です。

特筆すべきは、生物多様性(バイオダイバーシティ)への配慮を中心に据えた新たな観光開発のあり方にあります。近代的に生まれ変わりながらも、島の自然環境を維持・強化するリジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)から今後も目が離せません。

日本からサウジアラビアへの行き方

2023年7月現在、日本からサウジアラビアへの直行便は就航していません。

東京(羽田・成田空港)または大阪(伊丹・関西国際空港)から中東諸国の主要都市を経由する乗継便を利用してアクセスするのが一般的です。

乗継時間にもよりますが、片道あたりの所要時間は最短14時間となります。トランジットをうまく活用すれば、アラブ首長国連邦やカタールなどの中東諸国を訪れることが可能です。「サウジアラビア+α」で旅行を楽しみたい人には経由地での乗り継ぎが8時間以上あるフライトを予約することをおすすめします。

リヤド(Riyadh)

首都リヤドにはエミレーツ、エティハド、カタール航空など様々な航空会社の路線が就航しています。日本から訪れる場合はリヤドを拠点に観光すると便利でしょう。

東京からの所要時間は最短14時間前後となります。

ジェッダ(Jeddah)

ジェッダは、首都リヤドに次ぐサウジアラビア第2の都市。

西部沿岸に位置しており、中東諸国のほかヨーロッパ方面からのアクセスも便利です。Wizz AirをはじめとするLCC(格安航空会社)が就航しているので、イタリアやトルコなどの人気観光地から気軽に足を延ばせるのが魅力です。

アブハー(Abha)

サウジアラビア南西部に位置する山岳都市。

標高は約2,000m以上あり、夏でも比較的涼しく過ごしやすいのが特徴です。日本からアクセスする場合はリヤドもしくはジェッダから国内線を利用するのが一般的、所要時間は1時間程度となります。

ドバイからFly Dubaiという航空会社の直行便が運航しているため、「中東の大都会と自然」の両方を楽しみたい方は必見です。

サウジアラビアの基本情報

ここでは旅行に役立つ基本情報をまとめています。「チップはあるの?、両替は必要?」など、海外旅行につきまとう心配はあらかじめ解決しておきましょう。

ビザ・入国制限

サウジアラビアへの入国にはeVisa(査証)の取得が必須となります。申請方法は簡単で、観光目的であれば Visit Saudiの公式サイト にて行うことができます。

eVisaの申請にまつわる情報(2023年7月時点)

申請料金:300SAR

有効期限:1年間(マルチエントリー)

※1回の入国につき最長90日まで滞在可能。
※観光以外の目的で入国することは出来ません

申請に必要な書類

パスポート顔写真ページ画像ファイル(JPEG)
※入国時点で6ヶ月以上の残存が必要

サウジアラビア観光用eVisa申請用質問書

証明用カラー写真(スマホで撮影可)
※背景白で鮮明なもの
※6ヶ月以内に撮影

※事前通告なしに手続きが変更される場合があります。詳細は日本国内にあるサウジアラビアの大使館・総領事館のウェブサイトなどでご確認ください。

宗教

国教はイスラム教で、社会システムや日常生活に宗教が深く浸透しています。現地ではわいせつ行為はもちろんのこと、飲酒も禁止されています。日本では問題のないことでもサウジアラビアでは禁止とされていることがあるため注意が必要です。

「日本からお酒を持ち込むのは大丈夫ですか」という質問が稀に寄せられますが、酒類の持ち込みも厳禁となっております。​​​​​​

気候・ベストシーズン

国土の大半が大陸性の砂漠気候に属しており、山岳地帯を除けば雨が降ることはほとんどありません。平均気温は年間を通じて高く、リヤドなどの内陸部では夏の最高気温が45度以上に達することも。日本に比べると湿度は低めなので意外と過ごしやすい印象です。

ベストシーズンは11~3月 。この時期は日中の平均気温が20度台なので、最も快適に観光を楽しむことができます。(※一部地域を除く)ただし、夜はぐっと冷え込みますので軽く羽織れるものや上着をお持ちいただくと便利でしょう。

言語・時差

公用語はアラビア語、世界で5番目に話者が多いとされる言語で他の中東諸国でも話されています。ホテルやレストランでは英語も広く話されており、観光地であればそれほど不便に感じることはないでしょう。

時差は-6時間。日本が正午のとき、サウジアラビアは午前6時となります。すぐお隣のUAEとは1時間の時差があるので乗継の際は注意が必要です。

通貨

現地通貨はサウジリヤル(SAR)で、1リヤル=約38円(2023年7月時点)となります。

サウジアラビアではキャッシュレスが主流なので、基本的にどこでもクレジットカード決済を行うことが可能です。Apple PayやGoogle Payなどのスマホ決済も積極的に採用していることから、現金がなくても不便に感じることはほとんどありません。

物価・チップの有無

サウジアラビアの物価は日本とそれほど変わりありません。一部のレストランでは割高に感じることがありますが、ホテルやタクシーは意外とリーズナブルな印象です。

ゲストハウスといった安宿はありませんが、1泊5,000円前後で泊まれるホテルは存在します。4つ星以上は1泊 あたり12,000円以上が相場です。

治安

2023年7月現在、サウジアラビア全土には外務省による危険情報が発出されています。ほとんどのエリアはレベル1に指定されていますが、これはタイやインドネシアの一部地域と同じなので、過度に心配する必要はありません。

テロや殺人などの重大犯罪は滅多にありませんが、貴重品の管理には気を付けてください。

サウジアラビアは日中の暑さが厳しいため夜型社会が一般的となっておりますが、女性の方はなるべく夜間の独り歩きを避けるのが無難でしょう。

サウジアラビアを訪れる前に知っておきたいこと

近年目まぐるしい変化を遂げる、サウジアラビア。

長年受け継がれてきた習慣はもちろんのこと、インターネット上にある情報ですら現地を訪れてみると異なるなんてことが、しばしば。

ここでは2023年7月にサウジアラビアを訪れた筆者の目線で、旅行前に知っておきたいことをいくつかご紹介していきます。

おすすめの日数

初めてのサウジアラビアなら、 「ゴールデントライアングル」 と呼ばれる リヤド、ジェッダ、アル・ウラの3都市 を訪れるのがおすすめです。これは人気観光地を巡る定番ルートであり、各地に世界遺産があるため見応えも抜群です。

現地の到着時刻にもよりますが、日本から行く場合は最低でも4泊、可能であれば5~6泊滞在するのが理想。​​​​リヤドまたはジェッダのみ訪れる場合は現地2泊でも十分楽しめます。旅行を計画する際は、ぜひ参考にしてみてください。

服装のアドバイス

現地では多くの人が民族衣装を着用しています。外国人観光客に対する決まりは特にありませんが、イスラム教を信仰する人々に配慮した服装を心がけましょう。

具体的には、男女関係なく膝や肩が隠れる服装が理想となります。サウジアラビアは夏の暑さが厳しいため、薄い生地で軽く羽織れるようなものを持ち歩くと便利です。

アダプターをお忘れなく

サウジアラビアを訪れる前にインターネットでプラグの形状を調べていたのですが、様々な情報が飛び交っており、結局Aタイプ(日本と同じ形状)でも大丈夫だろうと思って行ったら、 驚くことにすべてBFタイプ でした。

これはあくまで個人的な体験であり一部の施設では例外かもしれませんが、ホテルのフロントでもアダプターの貸し出しがなく本当に困ったので、皆さんお気を付けください。

現金の両替場所

先でも述べた通り、現金が必要になることは滅多にありません。空港やショッピングモールなどにATMがあるため、必要になったらその都度引き出すことができます。

とはいえ、その国ならではのお金を旅の思い出としてキープしておきたいといった意見も少なくありません。そんな方には、一旦5,000~10,000円程度を目安に両替することをおすすめします。

ちなみに、筆者は 成田空港第1ターミナル4階の北ウイングにある両替所 で換金を行いました。

現地のインターネット事情

筆者が滞在したリヤド、ジェッダ、アブハー、ジャザンの4都市ではデータローミング、ホテルのWifi共に問題なくインターネットを使うことができました。今回は AiraloのeSIM を使ってみたのですが、現地での面倒な購入手続きの手間が省け、ネットもサクサクで快適そのものでした。

機種の制限はありますが、もの凄く便利です。

水はミネラルウォーターを飲もう

筆者は心配なので、滞在中はずっとミネラルウォーターを飲んでいました。気になるお値段ですが、1本(330ml)あたり1.0 SAR(日本円で約40円/2023年7月時点)なので気軽に購入することができます。

1日5回お祈りの時間がある

ムスリム(イスラム教徒)は基本的に1日5回の礼拝を毎日行うしきたりがあります。「1分1秒遅れることなく必ずこの時間に行わなければならない」という規則はありませんが、礼拝の時間帯にはレストランをはじめ、デパートのテナントなども一時的に閉店となります。

ラマダン期間中の観光

イスラム教には「ラマダン」と呼ばれる断食月があります。詳しく説明すると長くなってしまうので省略しますが、この時期は観光施設や飲食店の営業時間がイレギュラーになります。ホテル内のレストランなどは観光客向けに営業しますが、行動が制限されやすい時期なので渡航を計画される場合は注意が必要です。

※時期は毎年変動しますので、ご自身で最新の情報をご確認ください。

魅惑の国 サウジアラビアへの旅

2019年9月に観光の扉が開かれ、旅行先としての認知度が急増しているサウジアラビア。まだまだ日本人観光客が少ない国なので、好奇心旺盛な方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

サウジアラビアは旅人の冒険心を掻き立てる最適なディスティネーションであり、様々な情報で溢れたこの時代に "手探りで楽しむ旅の面白さ" を再認識させてくれる場所です。

現地を訪れる際はぜひ本記事で紹介した情報を参考にして、素敵な旅行をお楽しみください。

https://www.veltra.com/jp/mideast/saudi_arabia/?sid=1554


VELTRA

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【2023年最新版】サウジアラビアってどんな国?観光に役立つ基本情報を徹底解説

情報提供元: YOKKA
記事名:「 【2023年最新版】サウジアラビアってどんな国?観光に役立つ基本情報を徹底解説