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ボージョレ・ヌーヴォーとは、 毎年11月の第3木曜日に解禁されるフランス・ボージョレ地区の新酒 を指します。ボージョレとはブルゴーニュ地方の南端に位置するボージョレ地区を指し、ヌーヴォーとはフランス語で「新しい」という意味で、 「ボージョレ地区の新しい酒」 という意味なのです。もともとは秋の収穫をお祝いするために、ボージョレ地区の大都市リヨンのビストロなどで新酒が飲まれるようになったことから始まりました。これがパリ、そして世界でも話題となり、ボージョレ・ヌーヴォーが国際的に流通するようになりました。
1951年、粗悪品や模倣品の流通を防ぐため11月15日を解禁日とすることが定められました。しかし、解禁日の曜日により売り上げに影響が出ることを防ぐため、改定を重ね1985年に現在の11月の第3木曜日と制定されました。「Beaujolais Nouveau」とラベルに表記できるワインは、広く地域名を指す「AOCボージョレ」またボージョレよりも少し品質のよいブドウを収穫できる村を指す「AOCボージョレ・ヴィラージュ」で生産されたワインと定められています。ボージョレ地区で最も高品質な「クリュ・デュ・ボージョレ」には新酒の規定がないため、ボージョレ・ヌーヴォーの販売の際には、「AOCボージョレ・ヴィラージュ」のワインとして販売されます。
ボージョレ地区で栽培されている品種はほとんどが黒ブドウの「ガメイ種」。ボージョレ・ヌーヴォーのワインはガメイ100%で造られ、イチゴやラズベリーなどの赤い果実にスミレやバラの花アロマ、タンニンが少なく酸味のある軽やかでフレッシュ、フルーティな赤ワインが生産されています。
その中でも新酒であるボージョレ・ヌーヴォーは収穫からたった2ヶ月で解禁されるため、最も熟成期間が短いワイン。マセラシオン・カルボニックという製法で、タンクを炭酸ガスで満たすことでブドウ自身が細胞内発酵を引き起こしワインの発酵を行うという製法が用いられます。これにより必要な色素だけ抽出し、通常の赤ワイン熟成から生まれるスパイシーな風味やタンニンがワインに付与されず、キャンディのようなヌーヴォー特有の香りとフレッシュでジューシーな味わいを楽しむことができます。
ワインショップやレストランでボージョレ・ヌーヴォーを楽しむ際には、これらのキーワードを目印に探してみてください!
2023年のボージョレ地区は暑い日と寒い日が交互に訪れ、昼と夜の寒暖差も大きく、ブドウの育成にとっては理想的な環境でした。6月7月には嵐や雹に見舞われ一部被害を受けた地域もあったようですが、ブドウも健全、病虫害もなく9月上旬から無事収穫が行われました。例年より日照量も多くブドウはしっかりと完熟でき、寒暖差によるしっかりとした酸味も期待ができ、 2023年もすばらしいヴィンテージになることが予想されています。
ボージョレ・ヌーヴォーは果実のフレッシュ・フルーティな味わいが特徴的な赤ワイン。フレッシュさや爽やかさが際立つよう、 10℃〜14℃ほどに軽く冷やして飲む のがおすすめです。若々しさを楽しめるように造られたワインなので、長期熟成には不向き。ボージョレ・ヌーヴォーのお祝いに合わせ、この季節に楽しみましょう!
ボージョレ地区の古都ボジューで行われるのが ”Les Sarmentelles de Beaujeu” 。1989年から行われている歴史ある収穫祭です。解禁日前日の夕方からオープニングセレモニーが始まり、午後11時から松明行列がスタートします。松明を持って歩いて回るパレードの後、午前0時にはオテル・ド・ヴィル広場にて花火と共にワイン樽の栓が抜かれ、今年の新酒が解禁。そしてボージョレ・ヌーヴォーのテイスティングが行われます。その後、バーナード・ベッカー楽団による音楽に歌やダンスと大盛り上がりのパーティーにはたった6ユーロで参加できるそうです。
その他にもアーティストやパフォーマーによるディナーショーやワインフェア、テイスティングなど、5日間に渡りさまざまなイベントの開催とともに、ボージョレ・ヌーヴォーが祝われます。詳しいイベント内容は公式ホームページにてチェックすることができますので、どのイベントに参加したいか確認し予約してから参加することをおすすめします。
https://sarmentelles.fr/?version=EN
ボージョレ・ヌーヴォー解禁日から最初の週末には ボージョレ国際マラソン が開催され、今年で19回目を迎えます。
クリュ・デュ・ボージョレというボージョレ地区の中でも特に品質の高いブドウを生産する村の一つ、フルーリー村をスタートしヴィルフランシュまで約42kmのフルマラソンです。ボージョレ地区の12の村にあるブドウ畑やシャトーがマラソンコースとなっており、給水所ではボージョレ・ヌーヴォーのテイスティングができるのです!どこのシャトーも大音量の音楽で盛大にランナーたちを迎えてくれ、これもフランスらしいところ。
20万人ものランナーが世界中から集まるマラソン大会ですが、仮装をして走る参加者も多数。個性豊かな仮装コスチュームもこのマラソン大会ならではの光景で最大の魅力です。参加する際は、どんな衣装で参加しようかと考えるのも楽しみの一つになりそうですね!そして、マラソン前夜のパスタパーティやマラソン後のマラソンナイト、ランチ試飲会などのイベントも行われ、まるでお祭りのような雰囲気を楽しめます。
コースはフルマラソン、3・4名でのリレーマラソン、ハーフマラソン、13kmマラソンの4種類にファミリーマラソンや女性癌患者支援団体Courir POUR ELLESとのコラボ企画など多様なコースが用意されており、自分にあったコースにエントリーできるので安心して参加できます。
https://www.marathondubeaujolais.org/en/
1996年から続くボージョレ地区の大都市リヨンで開催される ”Beaujol’en Scène“ 。毎年11月の第3水曜日と木曜日に開催され、今年は2023年11月15日、11月16日の2日間にわたって開催予定です。会場のサン・ジャン広場では、カウントダウンからの午前0時の解禁とともにボージョレ・ヌーヴォーのテイスティングができるそう。生産者からのプレゼンテーションや松明行列、コンサートなども行われ、盛大にボージョレ・ヌーヴォーの解禁をお祝いできるお祭りです。地元のグルメとともにワインを楽しむことができます。翌日はボージョレ・ヌーヴォーとAOCボージョレのワインの試飲会が開催されます。
https://jarhone.fr/beaujolen-scene/
まもなく解禁日を迎えるボージョレ・ヌーヴォー。日本でもさまざまな楽しみ方を体験できますが、現地で生産者や他の参加者とともに今年の収穫をお祝いしながら頂くボージョレ・ヌーヴォーは、きっと今までとはまた違った楽しみ方ができるはずです!
ぜひ年に1度しかない本場のワインの祭典と共に、ボージョレ・ヌーヴォーを味わってみてはいかがでしょうか?
出典・参考
余暇プランナー
東京拠点に国内外を旅する副業フリーライター。好きなものは旅・舞台鑑賞・ワイン。最近はスノーボートとサーフィンに挑戦中。 『観たことのない世界を覗きにいく』『初めてのものに出会う』『知らないことにチャレンジする』好奇心から、ちょっとだけ自分の見ている世界が広がっていく。これが私の原動力です。「次はここに行ってみたい」が見つかる旅情報を発信していきたいと思います!
【フランス】2023年11月16日解禁日。ソムリエ直伝!現地で楽しむボージョレ・ヌーヴォー