送別会や新年会でお酒を飲む機会が増えると、二日酔いになる頻度が上がってしまいますよね。
二日酔いになると、その辛い症状から日常生活のパフォーマンスが低下し、好ましくない状態になります。
二日酔いになってしまったときはどのような対策をすればよいのでしょうか。また、二日酔いにならないための予防策はあるのでしょうか。

この記事では、「二日酔いが起こるメカニズムとは」「二日酔いの対策や予防、少しでも早く治すために知っておきたいこと」について、現役薬剤師が解説します。

二日酔いの対策【治す方法と合わせて知りたい】

二日酔いになると、様々な辛い症状が出てしまいますよね。
辛い二日酔いになってしまった時に、すぐできる対策をここで紹介します。

スポーツドリンク

二日酔いは、基本的に体内の必要な水分が体外に出てしまっている脱水状態です。
スポーツドリンクはお水やお茶などに比べて、体内に吸収されやすい浸透圧に調整されている飲み物です。そのため、不足している水分を素早く吸収して補うことができます。

また、アルコールの解毒には糖質が必要になります。
スポーツドリンクは水分やミネラルだけでなく、適度な糖質を含むため一石二鳥です。
飲み過ぎてしまった日はスポーツドリンクを積極的に摂るようにしましょう。

栄養補給

アルコールは主に肝臓で代謝されますが、代謝するにはビタミンやミネラル、アミノ酸など様々な酵素や補酵素が必要になります。
二日酔いの状態はそれらが不足している可能性が高いので、ビタミン剤や肝臓水解物などを取り入れましょう。

二日酔いになるとまず頼りたくなるのが薬ですよね。
症状別に合わせて薬を適切に取り入れてみましょう。

胃薬

お酒は胃や腸などの消化器官の働きを促します。
二日酔いになるとその働きに影響を与え、胃酸が多く分泌されている可能性があります。
胃酸を止める薬や中和する薬を取り入れて、二日酔いの原因を取り除きましょう。

下痢止め

二日酔いになると腸の働きが活発になり、余分な水分を外に出そうとするので便が緩くなりやすいです。
その場合は腸の働きを抑えたり、腸の水分を吸収してくれる下痢止めを使うことで、二日酔いの症状に良い影響が期待できます。

漢方薬

漢方薬は多くの種類がありますが、二日酔いに適応のあるものもあります。

・五苓散(ごれいさん)
五苓散は体の「水」のめぐりに良い漢方薬です。五苓散は余分な水分を外に出しやすくするだけでなく、脱水時には必要な水分を体に取り込みやすくしてくれます。二日酔いで吐き気や下痢、むくみ、頭痛の症状が出ている方におすすめです。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連解毒湯は体の毒素を外に出しやすくしてくれる漢方薬です。また体の不要な熱を鎮めてくれます。二日酔いで体温が上がりやすい方、頭痛や赤ら顔、肌荒れや口内炎が出やすい方におすすめです。

これらの漢方薬を上手く取り入れ、辛い二日酔いの症状の緩和を目指しましょう。

二日酔いとは?治す方法と合わせて知りたい身体の中で起こっていること

二日酔いのメカニズムを知ることで、二日酔いになる前から対策ができます。
ここでは二日酔いについて知り、対策できるよう解説しています。

二日酔いの症状

二日酔いになると、とにかく身体がだるくなり、吐き気や頭痛をはじめ、下痢、めまい、眠気、赤ら顔、肌荒れ、口内炎などの辛い症状が現れますよね。
それらの症状が起こる理由は、身体の中で次のような反応が起こっているためなのです。

二日酔いになるメカニズムとは

お酒の中に含まれるアルコールという成分は、主に体の肝臓という臓器で分解されます。

アルコールはそれ自体が体に悪影響を出すのではなく、アセトアルデヒドという物質に変化することで二日酔いの症状を引き起こすのです。

アルコールやアセトアルデヒドの代謝速度は非常に個人差があり、体質の遺伝やその時の体調に左右されます。

治す方法と合わせてチェック!二日酔いにならないためには

二日酔いになるお酒の量や症状は個人差が強いので、自分の体に合わせたお酒の摂り方が必要になります。
二日酔いの対策方法を知り、症状や体質に合わせて対策していきましょう。

お酒の飲み方

お酒の飲み方、選び方で二日酔い対策になることを知っていますか?
二日酔いはお酒の代謝だけでなく、胃腸粘膜の刺激が原因になることもあります。

普段から胃の弱い方や、お酒を飲んですぐに顔が赤くなりやすい方は、アルコール度数の低いお酒から摂るようにしましょう。

食事

食事は二日酔い対策につながります。
アルコールは空腹時と食後で吸収率が変わり、一般的に空腹時の方が吸収されやすいのです。
お酒を飲む時はなるべく空腹時を避けるようにしましょう。

二日酔いに良い食べ物

体に入ってくるアルコールの量を減らすことでも二日酔い対策ができます。
食事前にお酒を摂る場合は、ヨーグルトや油分の多いものを少し食べてから飲むようにしましょう。

食事内容は油分の多いものやビタミンを豊富に含んでいるフルーツ、豚肉、豆腐や味噌汁などの大豆製品、またアルコールを代謝するのに必要な糖質を含む米もおすすめです。

水分

アルコールを代謝するには、摂取した分の水分が必要と言われています。

世の中ではお酒を飲む前にスポーツドリンクを摂ったり、同時に摂取すると酔いやすくなると言われていますが、それは迷信であり科学的根拠がありません。
特に夏や運動後など汗をかいている状態での飲酒は、スポーツドリンクを先に飲んでから、また同時に摂ることをおすすめします。
一緒にスポーツドリンクを摂れない場合は水を並行して摂るようにしましょう。

お茶や紅茶、コーヒーなどカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、脱水を促してしまう場合があるので注意してください。

サプリメント

アルコールの代謝にはビタミンやミネラル、アミノ酸などの補酵素や酵素が必要です。
これらはお酒を飲む前から取り入れることで飲酒中からアルコール代謝に良い影響が期待できます。

また、外食や偏った食生活の方は普段からこれらが不足している可能性があります。
日常的にサプリメントで摂ることで、二日酔いの対策につながります。

睡眠

アルコールを代謝するのは主に肝臓です。
肝臓は立っていたり座位よりも横になっている状態の方が血流量が増し、代謝を促します。

お酒を飲んだ後は十分な睡眠時間や休憩時間を設け、適度な飲酒を心がけましょう。

薬は二日酔いになった時だけでなく、飲酒前から対策として活用していきましょう。

五苓散、黄連解毒湯などの漢方薬や胃薬は飲酒前4~6時間に内服しましょう(薬によって時間は異なりますので、確認してから内服してください)。

よく聞くこれらのウワサは本当に二日酔いを治す方法として正しいの?

二日酔いを治すのに様々なウワサがありますよね。
ここではそのウワサが本当なのか解説していきます。

迎え酒とは

迎え酒とは、二日酔いの状態でお酒を飲むことです。
「酒を迎えにいく」という意味ですね。こちらはおすすめできません。
なぜならば、二日酔いはアルコールの代謝物のアセトアルデヒドが分解されずに溜まっている状態です。
そこにまたアルコール、アセトアルデヒドを加えると、二日酔いがより悪化する可能性があります。

点滴は二日酔いに良いのか

二日酔いは脱水症状が起こっている状態なので、点滴は有効です。
吐き気が強く水分や食べ物が全く摂れない状態、またしびれや痙攣、呼吸困難になった場合は点滴が第一選択になります。

貝類の味噌汁を飲む

貝類の味噌汁は二日酔いに良いと聞きますが、これは本当です。

貝類にはアルコールの分解に使われるアミノ酸やミネラルが豊富に含まれています。
貝類を摂ることで、アルコールの解毒で疲れた肝機能の働きに良い影響が期待できます。

また、味噌汁自体にもビタミンやミネラルが豊富なので、肝臓の働きだけでなく不足した水分を体に吸収しやすくしてくれます。

サウナに行く

二日酔いでサウナに行くのは危険な場合があります。
お酒で脱水の状態が続き体に負担をかけている中、サウナでまた負担をかけてしまい疲労が蓄積してしまう可能性があります。
脱水症状を悪化させたり、肝機能だけでなく心臓や腎臓など様々な臓器に負担をかけてしまいます。

むくみが気になる場合は、二日酔いの症状が落ち着いてからサウナを活用しましょう。

二日酔いを治す方法と対策をしっかり把握してお酒を楽しもう!

今回の記事では、「二日酔いの治し方と原因や対策」について現役薬剤師が解説しました。

二日酔いは、「なぜこんなにお酒を飲んでしまったのだろう…」と心の底から後悔してしまう症状ばかりです。
飲酒は適度な量にするべきですが、もし飲み過ぎてしまうかもしれない時、二日酔いになってしまった場合は是非参考にしてください。

情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 飲み過ぎた翌朝必読!二日酔いをなるべく早く治す方法や未然に防ぐ対策を「薬剤師」が解説します!