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大豆の絞りカスであるおからには「栄養がない」と思う方もいるかもしれません。
でも実は、健康づくりだけでなくダイエットにも役立つ栄養がさまざま含まれていることをご存じですか?
今回の記事では「おからの栄養」について、管理栄養士が解説します。
おいしく取り入れられるおすすめメニューも紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
おからは栄養がないイメージを持つ方もいるかもしれませんが、それはウソです。
おからはカリウムやカルシウム、鉄、食物繊維などの栄養素をはじめ、イソフラボンやサポニンなど、注目すべき成分も含まれています。
特に食物繊維の含有量は豆腐や豆乳より優れており、便秘対策をしたい方やダイエット中の方におすすめです。
おから100gあたりの栄養成分値は、下記のとおりです。
また、おからの栄養素や成分には、下記の効能が期待されています。
これらの効能について、さらに詳しく見てみましょう。
おからはカリウムを含み、むくみの解消や高血圧の予防に役立ちます。
カリウムは余分なナトリウム(塩分)とともに水分を排出する、いわゆる利尿作用があります。
これによりむくみを解消したり、血圧を下げてくれたりするのです。
食事が偏りがちな方は不足しやすいため、積極的に取り入れましょう。
おからからカルシウムを摂ることで、骨の健康づくりに役立ちます。
成長期の子どもはもちろん、骨粗しょう症を予防したい大人や高齢者まで、幅広い年代で取り入れた栄養素です。
鉄は鉄欠乏性貧血の予防に欠かせません。
鉄が不足して貧血の状態になると、全身に酸素をうまく運べなくなるため、疲れやすさや倦怠感、めまいなどの症状のほかに、スポーツのパフォーマンスを落とすなどの影響があることも知られています。
おからは食物繊維を豊富に含み、腸内環境を整えてくれます。
腸内環境が乱れることで、便秘の原因や肌のコンディションが悪くなる原因となることが知られています。
おからに含まれる食物繊維は排便をスムーズにし、腸の中で善玉菌のエサとなり、善玉菌が増えるのを助けてくれます。
おからに含まれる大豆イソフラボンは、美容面での効果が注目される成分です。
大豆イソフラボンは体内で女性ホルモンに似た働きをすることが知られています。
女性ホルモンは肌や髪のツヤを作る働きをしてくれるため、大豆イソフラボンをとることで、これらの働きを助けてくれるのではないかと考えられています。
大豆に含まれる大豆サポニンは、抗酸化作用があり健康づくりに役立ちます。
抗酸化作用とは、細胞にダメージを与える活性酸素を除去する働きを指します。
過剰な活性酸素により、動脈硬化やがん、免疫機能の低下、細胞の老化などの原因になることが知られているため、健康づくりにはおからのような抗酸化作用を持つ食べ物を取り入れることが大切です。
おからというと、一般的には「生のおから」を指しますが、最近は「おからパウダー」にも注目が集まっています。
おからパウダーはおからを乾燥させたパウダー状のものです。
それぞれの特徴を比較すると、下記のとおりです。
生のおからはしっとりしていて食べやすさが魅力ですが、日持ちしないため取り入れづらいと感じる場合もあるでしょう。
おからパウダーは賞味期限が長く保存しやすいため、手軽に取り入れられるのがメリットです。
同じ重量で比較すると、おからパウダーの方がカロリーや栄養価が高くなりますが、これは水分量の違いによる見かけ上の差です。
実際に使う場合は使用量が異なるため、どちらを取り入れても栄養面では大きく変わりありません。
実際に100gあたりの栄養成分値を見てみましょう。
おからパウダーは水を加えるとおからに戻りますが、約3.5倍の量となります。
そのため、実際に使う量は10~20gほど。
その場合のカロリーは33~67kcal程度であるため、心配しすぎる必要はありませんね。
生のおからとおからパウダー、どちらを取り入れるか迷う場合は、まずはおからパウダーから取り入れるのはいかがでしょうか?
先ほどお伝えしたとおり、おからパウダーは日持ちするため、いつでも取りたいときにさっと取り入れられます。
水で戻しておから料理に使うのはもちろん、飲み物やヨーグルトにさっと混ぜる、料理にふりかけるなどのさまざまな使い方ができますよ。
おからは栄養価の高さだけでなく、ダイエットによいこともおすすめできる点です。
おからがダイエットに向いている理由について、詳しく見てみましょう。
おからは食物繊維が豊富で水分量が少ないため、お腹で膨らんで満腹感を出してくれます。
少量でもお腹いっぱいになるため、食事や間食のとりすぎを防いでくれます。
おからはタンパク質を含むため、筋肉の材料となり基礎代謝の向上を助けてくれます。
運動や筋トレとあわせておからをとるようにすると、ダイエットがスムーズにいきやすいでしょう。
おからはよいところばかりでなく、取り入れる際の注意点も知っておいてほしいものです。
目安の量もあわせて、注意点をお伝えします。
おからが体によいとはいえ、食べすぎには注意しましょう。
おからは食物繊維が豊富であるため、食べすぎによりかえって便秘を引き起こしたり、消化に負担をかけてお腹の調子を崩したりすることがあります。
おからを毎日取り入れるなら、生のおからは20~30g、おからパウダーは大さじ1(6g)をひとつの目安とするのもよいでしょう。
日本人の20~50代の食物繊維摂取量は約1~3g不足しており、おから1日20~30g(パウダーなら大さじ1)でこの量をほぼ補うことができます。
あくまで目安の量であるため、体調と相談しながら、自身に合った量を取り入れるようにしましょう。
※参照:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
おからのパサパサ感や味が気になり、どんなメニューに取り入れてよいか悩む方もいるかもしれません。
生のおからでもおからパウダーでもどちらでもOKな、おいしく食べられるメニューの例をご紹介します。
おから料理の定番であるうの花は、おからがだし汁をたっぷり吸うため、パサつきを抑えられます。
また油揚げなどの油を含む食材を入れると、さらにしっとりと仕上がりますよ。
おからをハンバーグのかさ増しに使えば、パサつきや特有の風味が気になりにくくなります。
まずはひき肉の半量程度、おからを入れてみるとよいでしょう。
おからの割合を増やすと、さらにヘルシーに仕上がるため、お好みの割合を見つけてみてください。
おからをマヨネーズであえてサラダにすると、まるでポテトサラダのような味わいを楽しめます。
きゅうりやニンジン、ツナ缶などお好みの具材と合わせるとよいでしょう。
ダイエット中の方は、カロリーの抑えられたマヨネーズを使うようにしてみてくださいね。
お好み焼きの小麦粉の代わりとしておからが使えます。
糖質を大幅にカットできるため、糖質の量が気になる方にもぴったりです。
ダイエット中にお好み焼きは避けがちなメニューですが、おからを使うことで安心して楽しめますよ。
味噌汁におからを混ぜこむことで、調理の手間をかけずに手軽におからを取り入れられます。
出来上がった味噌汁にパラパラとおからを振り入れるだけでOKです。
味噌の風味とおからはよく合うため、ぜひ試してみてください。
小麦粉の一部をおからに置き換え、お菓子づくりにも活用できます。
カロリーや糖質がカットできるだけでなく、食物繊維がプラスされるため腹持ちのよい点も魅力です。
今回の記事では「おからの栄養」について、管理栄養士が解説しました。
栄養満点で、比較的安価なおからは、健康づくりやダイエットに大活躍してくれます。
料理やお菓子などさまざまな楽しみ方ができるおからを、ぜひ一度取り入れてみてくださいね。