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夏から秋にかけて旬を迎える梨。
みずみずしさが特徴の果物ですが、水分が多いゆえ栄養がないと思われることも。
りんごと比較するとどちらが優秀なのかも気になってしまいますよね。
今回の記事では、梨の栄養や期待される効能について、管理栄養士が解説します。
梨には日本梨(和梨)と西洋梨(洋梨)があります。
西洋梨はひょうたんのような形が特徴で、日本梨は上記の画像のように丸い形が特徴です。
ここでは日本梨について紹介します。
梨は水分が多くなっていますが、果物から摂りたい栄養素がさまざま含まれており、不足しがちな栄養素の補給にぴったりです。
ただし、ほかの果物に比べ「抜群に栄養豊富」とはいいにくい面もあります。
具体的に、100gあたりの含有量を比較してみましょう。
梨と同じく夏や秋に旬を迎えるみかんやりんご、ぶどうや柿と比較すると、カロリーは一番低くなっています。
食物繊維、カリウム、ビタミンCは、いずれもずば抜けて優秀とはいえませんが、ほかの果物に劣らない含有量です。
ちなみに、似た形をしているりんごと比べてみると、栄養成分値が似ていることがわかり、どちらが優れているとはいいにくい結果です。
どちらも栄養補給できる果物ですので、お好みで取り入れたり、交互に取り入れたりすると良いでしょう。
梨にはさまざまな栄養素が含まれることがわかりましたが、具体的にどのような効能が期待されるのか確認しましょう。
梨に含まれる食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。
梨はサクッとした食感が特徴的ですが、これは「石細胞」という細胞によるものです。
この石細胞は腸のぜん動運動を促してくれ、便秘解消にも役立ちます。
梨に含まれるカリウムは、むくみや高血圧の予防に大切な栄養素です。
カリウムは余分なナトリウムを排出する働きがあるため、ナトリウムの摂りすぎが原因となるむくみや高血圧を防いでくれる、という仕組みです。
カリウムは不足しがちな栄養素ですので、梨などの果物や野菜からたっぷり取り入れましょう。
ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせないほか、抗酸化作用により細胞の老化を防いでくれます。
また、日焼けによりメラニン色素が生成されるのを抑える働きも期待されているなど、肌を健やかに保つのを助けてくれます。
梨は昔から生薬として用いられており、「生津潤肺」「止咳化痰」などの薬効があるといわれています。
「生津潤肺」「止咳化痰」とは、肺をうるおして咳を止めたり痰を出しやすくしたりすることを指しています。
乾燥が気になる秋が来る前にぴったりの果物といえるでしょう。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」
旬の時期は毎日でも食べたい梨ですが、取り入れ方に疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
梨にまつわる疑問について解説します。
梨は毎日食べても問題ありません。
毎日食べるのであれば、1日200g(約2/3個)が目安です(※1個約300g)。
これは、バランスの良い食事の指標となる、食事バランスガイドを参考にしています。
たまに少々食べすぎる程度は問題ありませんが、毎日続けてたくさん食べると、カロリーや糖質の摂りすぎになるため気をつけましょう。
果物の皮に栄養が含まれるといわれるため、梨の皮は食べた方が良いのか気になる方もいるでしょう。
結論は、お好みでOKです。
梨の皮は食べても問題なく、豊富な食物繊維を摂れるメリットがあります。
また、梨は皮の近くが一番甘いため、甘みも楽しめます。
ただし、梨の皮はりんごなどに比べ硬く、食べにくいと感じる方も多いでしょう。
また、皮は消化に悪く、たくさん食べると消化の負担になることも考えられます。
食物繊維はほかの食べ物からも摂れますので、栄養を摂るために無理に取り入れる必要は少なく、おいしいと感じる食べ方を選ぶと良いでしょう。
梨は妊婦が食べても問題なく、安心して食べて大丈夫です。
ほかの果物に比べカロリーも低いため、間食にもぴったりでしょう。
ただし水分が多い分、食べすぎると身体を冷やす原因のひとつになります。
冷えが気になる方は食べすぎに注意しましょう。
妊娠中の果物は、妊娠初期は1日200g、妊娠中期~末期は300gが目安の量となっています。
梨だけでなく、さまざまな果物を組み合わせると栄養バランスの偏りが少なくなるでしょう。
※参照:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」,厚生労働省「妊産婦のための食事バランスガイド」
梨はそのまま食べる以外にも、サラダにしたり、すりおろしてお肉にかけるソースにしたりと料理にも活用できます。
サラダにしてほかの生野菜と組み合わせると、梨だけでは不足するビタミンAなどほかのビタミンの補給にもなります。
また、肉にかけるソースにすれば、肉類の鉄やビタミンB1などが梨の栄養を強化してくれるため、相性の良い組み合わせです。
料理にすることで、いつもとは違う梨の味わいを楽しめますので、ぜひ試してみてください。
今回の記事では、「梨の栄養」について管理栄養士が解説しました。
梨はカロリーを抑えながら栄養補給したいときに役立ちます。
毎日食べる場合は200g程度を目安にして、上手に取り入れましょう。
旬のジューシーな梨を、今年もたくさん楽しんでくださいね。