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ゼリーやムースなどを固めるときに使用する「寒天」や「ゼラチン」は、それぞれ食感や仕上がりは異なります。この記事では、それぞれの特徴や使い方、代用可能なのかについて管理栄養士が詳しく解説していますので、ぜひ使用するときの参考にしてくださいね。
寒天とゼラチンは食感や性質が異なります。それぞれどのような違いがあるのか、特徴や種類などを詳しく解説します。
寒天はテングサなどの海藻を原料に作られている凝固剤で、炭水化物を主成分としており食物繊維を多く含んでいます。ゼラチンよりも凝固力は強いですが、透明感や弾力はほぼありません。なめらかな食感でありながら、歯切れがよく崩れやすいのが特徴です。
寒天は90℃以上で溶けるため、溶かすときは沸騰させる必要があります。固めるときは常温で固まり、一度固まると溶けにくいのがゼラチンと大きく異なる点です。
主にようかんやところてんなどに使われることが多いです。
同じ寒天でも使い方や味わい、仕上がりに違いがあります。ここでは3つの寒天の種類をご紹介します。
【粉寒天】
ふやかす手間や独特な味わいもなく、初心者でもとても使いやすい寒天です。
【棒寒天】
ふやかして使用する寒天のひとつで、3つの中でも風味がよく比較的やわらかく仕上がるのが特徴です。
【糸寒天】
水にふやかしてから使用し、比較的透明感があり繊細な口当たりが特徴です。
牛や豚などの骨や皮などに含まれる動物性のたんぱく質(コラーゲン)を原料・主成分としたゼラチンは、透明感があるのが特徴です。体温で溶けるため、やわらかく口どけがよく、弾力があるのでプルンとした食感に仕上がります。
ゼラチンが溶ける温度は50~60℃で、常温では固まらないため冷蔵庫などの20℃以下の低温環境で固める必要があります。寒天と異なり、一度固まったとしても常温で溶ける場合があるため注意しましょう。
ゼラチンはゼリーやムース、ババロアやマシュマロに多く使用されます。
同じゼラチンでも仕上がりが少し異なります。
【粉ゼラチン】
量の調節がしやすいので、少量だけ使いたい時や家庭で使う場合に多く使用されます。加えて、ふやかす手間がないため初心者でも使いやすいゼラチンです。
【板ゼラチン】
1枚当たりの重量がほぼ揃っているため、多く使用する場合に測りやすく便利です。ふやかす手間がかかりますが、粉ゼラチンよりも透明感が高くなめらかに仕上がるため、プロも多く使用しています。
寒天やゼラチンが”固まらなかった”ということがないように、それぞれの使い方・気をつけるポイントを詳しく解説します。ぜひ使う際の参考にしてください。
お湯を沸騰するまで加熱し、そこに寒天を入れて煮溶かします。棒寒天と糸寒天の場合は、小さくちぎってから30分ほど水でふやかしてから溶かすようにしましょう。寒天は砂糖を入れると凝固力が上がるため、失敗が減ります。砂糖を加える場合は必ず寒天が溶けてから入れるようにしましょう。
寒天と一緒に加える果汁や牛乳がある場合、それらの温度を常温にしておきましょう。そしてオレンジやグレープフルーツなどの酸のある果汁を使用する場合は、寒天を煮溶かした後、粗熱をとってから加えます。
ゼラチンは、ダマにならないように20分ほど冷たい水でしっかりふやかし、50~60℃のお湯または湯煎しながら溶かします。板ゼラチンの場合は、ふやかしたあとに軽く水を絞ってから溶かしましょう。ゼラチンも寒天同様、砂糖を入れると凝固力と透明度が上がります。
ゼラチンはたんぱく質からできているため、沸騰させてしまうと変性してしまいます。そのため、ゼラチンを溶かすときは沸騰させないようにしてください。
キウイやパイナップルなどには、たんぱく質を分解する酵素があるためゼラチンが固まらなくなってしまいます。対処法として、あらかじめ加熱することで酵素が失活します。ゼラチンと一緒に使用する場合には一度加熱してから使用しましょう。缶詰の場合はすでに加熱してあるため、そのまま使うことができます。
レモンなどの酸の強いフルーツは、ゼラチンの固まりを弱めるため果汁の量は最小限にすると失敗を防ぐことができます。
寒天とゼラチンはそれぞれ代用は可能です。しかし、それぞれ特徴が異なるため、仕上がりの違いはどうしても出てしまいます。加えて、寒天とゼラチンの溶かす温度や注意すべきポイントも異なるため、代用する場合は注意しながら使用しましょう。
寒天とゼラチンは食感の違いや使用方法が異なるため、使用する際には特徴や注意するポイントを押さえておくと失敗なく仕上がります。和菓子や洋菓子に大活躍の寒天やゼラチンで、涼しげなデザートを楽しんでくださいね。