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パンチのある風味で料理においしさを足してくれるにんにく。スタミナがつくイメージがありますが、実際にどのような効能があるのでしょうか?また冷凍や加熱した場合でも大丈夫なのかどうかも知りたいですよね。今回はにんにくの効能や適切な量、調理による変化について、管理栄養士が解説します。
にんにくはイメージの通り、さまざまな効能が期待されています。どのような効能なのか、詳しく解説します。
にんにくは古くから生薬としても用いられ、疲労回復の効能があるとされています。
またビタミンB1が極端に不足した場合、倦怠感などの原因となることが知られていますが、にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収を助け、効率的にビタミンB1を摂取できます。
さらににんにくは食欲増進も助けてくれるため、食事をしっかりとることで疲労回復のためのエネルギー補給ができ、疲労回復に繋がるでしょう。
にんにくの生薬の作用として、強壮作用があることが知られています。これはにんにくに含まれるスコルジニンという成分によるものと考えられています。
身体を元気にしたいときなどに取り入れるのも良いでしょう。
にんにくは高血圧の方の血圧を下げる可能性があることがわかっています。はっきりとしたメカニズムはわかっていないものの、にんにくがアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することで血圧上昇を防ぐのではないかと考えられているようです。(※)
ただし、高血圧の原因の多くは食塩の摂りすぎによるものですので、にんにくだけをとるのではなく、日ごろから減塩を心がけましょう。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)とは、アンジオテンシンⅠが、血圧上昇に関わるアンジオテンシンⅡへ変換される際に関わる酵素。アンジオテンシンⅡへ変換されるのを防ぐことで、血圧を下げる働きが期待されます。
※参照:Hai-Peng Wang, Jing Yang,Li-Qiang Qin,Xiang-Jun Yang,“Effect of garlic on blood pressure: a meta-analysis”,J Clin Hypertens (Greenwich). 2015 Mar;17(3): 223–231.
にんにくの1日の適量について、明確な決まりはありませんが、毎日食べるのであれば1日1~2粒程度を目安にするのが良いでしょう。
にんにくは食べすぎると胃腸に負担がかかったり、体臭の原因になったりします。身体に良いからとたくさん食べるのは控えましょう。とくに生のものは刺激が強いため、食べすぎは厳禁です。
にんにくは冷凍や加熱により、効能に変化が起きてしまうのでしょうか。
冷凍のにんにくでも、栄養成分に心配するほど大きな変化はないと考えられます。
アリシンは、にんにくを切ったりつぶしたりする際にアリインという成分が変換して作られます。このアリインは冷凍しても失われにくいことがわかっているため(※)、冷凍による損失を心配しすぎる必要はないでしょう。
にんにくがたくさんあるときは、安心して冷凍保存して大丈夫です。
※参照:千田 実, 清野 晃之,“ニラの処理条件や保存方法によるメチイン・アリインへの影響について”,函館工業高等専門学校紀要(第 51 号),2016,11-15
にんにくに含まれるアリシンは熱に弱いため、アリシンを摂取したいときは生のままか、サッと加熱するなどの工夫をすると良いでしょう。
反対に、にんにくに含まれるスコルジニンは、アリシンを加熱した際に作られます。
加熱するかしないかは、好みや期待したい効能で使い分けたり、日替わりで取り入れたりすると良いでしょう。
黒にんにくは、そのような品種があるわけではなく、普通のにんにくを熟成させて作られたものです。にんにくの臭みはなく、ドライフルーツのような甘い味わいが特徴です。
黒にんにくは普通のにんにくより抗酸化作用が強いといわれ、さまざまな効果が期待されています。抗酸化作用とは、動脈硬化やがん、老化の原因となる活性酸素の働きを抑えたり取り除いたりする働きのことです。
また黒にんにくに含まれるGABA(γ-アミノ酪酸)に、血圧が高めの方の血圧を下げる機能があるとして、機能性表示食品(※)となっている製品もあります。
バランスの良い食事を心がけながら、健康づくりの一環として、黒にんにくを取り入れるのも良いでしょう。
※機能性表示食品とは、事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品です。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません(参照:消費者庁 「『機能性表示食品』って何?」)
にんにくはさまざまな効能が期待されるほか、食欲増進にも一役買ってくれます。毎日を元気で過ごすためにも、食事のバランスを整えながら、にんにくを上手に取り入れましょう。