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スープや肉巻きなど、さまざまな料理に使いやすいえのき。加熱調理して食べるのが基本ですが、「生のまま食べられないのかな?」と、疑問に感じたことはありませんか?結論からいうと、えのきの生食は食中毒などを引き起こすリスクがあるため、推奨されていません。そこで今回は、えのきの生食を避けるべき理由を対処法とともに解説します。
えのきはかならず加熱してから食べてほしい食材です。その理由はおもに2つあります。
生食がおすすめできない1つ目の理由は、生のえのきには「フラムトキシン」というたんぱく質が含まれていることにあります。
フラムトキシンは赤血球を壊してしまう「溶血作用」を持つ毒性物質です。とくにO型赤血球に作用し、細胞を破壊することで貧血の原因になると考えられています。
えのきを生のまま食べると、このフラムトキシンを摂取することとなり、場合によっては中毒症状を引き起こすこともあります。
※参照:橋本 貴美子(2018)「きのこ毒について」『食の安全・安心にかかわる最近の話題』64(9),290-297,新潟県林業改良協会・新潟県森林研究所「林業にいがた2005年3月号 きのこの秘密~エノキタケ~」
生食を推奨しない2つ目の理由は、「リステリア菌」が付着している可能性があるからです。リステリア菌とは食中毒の原因菌のひとつであり、発症すると悪寒・発熱などの症状を引き起こします。
米国疾病管理予防センターは、アメリカでえのきが原因となった食中毒が発生したことを、2020年に報告しています。えのきを生のまま食べたことが原因ではないか、と推察されており、発症者の中には亡くなったり、流産したりした方もいたようです。
リステリア菌による食中毒は、健康な大人であればあまり重症化することはないとされています。しかし、妊娠中の方や高齢者の方、免疫機能が低下している方は重症化リスクが高いため、とりわけ注意が必要です。
※参照:食品安全委員会「米国疾病管理予防センター(CDC)、えのき茸に関連したリステリア集団感染に関する情報を最終更新」,厚生労働省「リステリアによる食中毒」
フラムトキシンとリステリア菌は、どちらも加熱によって不活性化・死滅することがわかっています。そのため身体に不調をきたす危険があるのは、基本的にえのきを生食した場合のみ。
最近では生食用のえのきも販売されていますが、「生食用」と明記されていなければ、しっかりと火を通してから食べましょう。
使用するえのきの量やサイズにもよりますが、数秒お湯にくぐらせる程度では中まで火が通っていない可能性があります。えのきがクタッとなるまで、数分かけて加熱するようにしましょう。
先に説明したように、えのきは加熱すれば安全に食べられます。しかし、それはえのき自体が腐っていないことが前提となるので、まずは食べる前にえのきが傷んでいないかどうか確認しましょう。
カビが生えたり、変色したりしてしまったえのきは、雑菌が繁殖しているおそれがあるため、食べると嘔吐や腹痛などにつながりかねません。傷んでしまったえのきは、残念ですが食べるのを避けるようにしましょう。
腐ったえのきの見分け方については、以下の記事で解説しています。
えのきの賞味期限はどのくらい?保存法による違いと腐敗の見分け方
一般的にスーパーなどで購入したえのきには、賞味期限の記載がありません。しかし実際にはどのくらいの期間おいしく安全に食べられるのか、とても気になるところですよね。そこで今回は、えのきの賞味期限について解説します。また購入してから時間が経ってしまったえのきが安全に食べられるかどうかを判断する目安についても紹介するので、迷ったときにはぜひ参考にしてみてくださいね。
えのきを生で食べてしまったとしても、全員に食中毒症状があらわれるわけではありません。しかしリステリア菌の潜伏期間は幅が広く、食後数日~数週間ほど経過してからあらわれることもあります。
体調になにか変化がみられたときには、自己判断せず病院を受診し、治療を受けるようにしましょう。
あまり知られていないかもしれませんが、えのきの生食は嘔吐や腹痛などの食中毒のリスクがあります。健康な方はもちろん、妊娠中の方や高齢者の方などはとくに注意が必要です。えのきはしっかりと加熱して、おいしく安全にいただきましょう。