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寒い時期になると、手足が冷えて赤く腫れる、痒くなる……といった症状はありませんか?それは「しもやけ」が原因かもしれません。この記事では、しもやけの原因と対処方法について現役薬剤師が解説します。適切に対処して皮膚の改善を目指しましょう。
寒暖差などで末梢血管の血流が悪くなり炎症が起きることです。炎症によって腫れたり痒くなる症状が出ます。冬に発症することが多く、主に手足の末端や鼻先、耳たぶなど、血管が細くなっている所で症状が起こります。また女性や子供など、皮膚が柔らかく弱い方に出やすいと言われています。
赤く腫れる、痒い、痛痒い、ひび割れる、水ぶくれができる、じんじんあるいはびりびりする、鼻先が赤くなる等が挙げられます。
寒暖差により、血管の収縮や拡張が繰り返されると、対応できずに血流が悪くなってしまいます。また急激に温度が変わることによっても引き起こされます。寒い季節は手袋や耳当てなど、体の末端まで防寒することが大切です。
しもやけの主な原因は末梢血管の血流の悪化です。普段の食事や生活習慣でケアすることで、血流の悪化を防ぐことができます。
運動不足や食生活の乱れはしもやけの原因になります。運動不足や食生活の乱れは血液の流れを悪くし、体を温めにくくします。また脂っこいものや甘いものを摂りすぎ、さらにタンパク質、ビタミン、鉄分の不足でも血流が悪くなり、しもやけの原因になります。
疲れていたり、ストレスが溜まっていると体のバリア機能が弱くなり自律神経が乱れます。そして体温が下がり血流が悪くなるため、しもやけの原因になります。また皮膚のバリア機能も下がるため、皮膚の乾燥だけでなく炎症が起こり治りにくくなります。
乾燥はしもやけが悪化する原因です。皮膚上に炎症が出た際に治りにくくなり、痒みや痛みが増してしまいます。しもやけになりそうな所が乾燥していたら、保湿クリーム等で保湿しましょう。
寒冷刺激のない暖かい季節になっても治りにくく、しもやけになりやすい所ではない場所にしもやけのような皮膚症状が出る場合は、アトピーや膠原病といったしもやけではない病気の可能性があります。治りにくい場合は皮膚科を受診しましょう。
※参照:性差医療 皮膚科領域「東京女子医科大学雑誌 (0040-9022)89巻4号 Page83-88(2019.08)」
【よくみる疾患 common skin disease】Sjoegren症候群/SLEの凍瘡様皮疹
皮膚病診療 (0387-7531)42巻4号 Page328-332(2020.04)
しもやけは血流が悪いことが原因ですので、暖めて血流を良くしましょう。お風呂やマッサージ、カイロや防寒具で暖めることはとても重要です。暖めた後に水や汗などの水分が残っていると急激に冷えやすいので、必ず水分は拭き取るようにしてください。
睡眠時間が減ると自律神経が乱れやすくなり、体温調節がしにくくなります。また体のエネルギー生産が低下して体を温めにくくしてしまうので、しもやけになりやすくなります。
きちんと睡眠を確保して、体の中から温めましょう。
運動不足により、血流が悪くなりしもやけになりやすくなります。また筋肉により血液の循環が良くなるので、筋肉量が減ると体が温まりにくくなります。普段運動ができなかったり、運動が苦手な方も、手足を伸ばしたり、耳をつまんでみたり、簡単なストレッチを取り入れることで血流がよくなりしもやけの対策になりますよ。
甘いもの、脂っこいものを控えるようにしましょう。糖質は体を冷やし、脂質は血流を悪くするので、しもやけには大敵です。糖質・脂質の代わりに、タンパク質や野菜を取り入れましょう。肉や大豆などのタンパク質は体を温めるエネルギー物質です。野菜は体を温めたり、血液をサラサラにして血流を良くする作用があります。体を温める作用のある野菜は、茄子や生姜といった冬の野菜と言われています。逆にトマトやきゅうりなどの夏の野菜は体を冷やす可能性があるので注意してください。またパンなどの小麦製品、ビールも体を冷やしてしまうので、気を付けましょう。
ビタミン、鉄分、プロテインなどのサプリメントを摂りましょう。
ビタミンは体のバリア機能や代謝を上げ、免疫力を上げる役割を担っています。また中でもビタミンEには、医薬品にもあるように血液をサラサラにしてくれる働きがあります。
鉄分は欠乏すると血液量が減り、血流が悪くなるので、しもやけになりやすくなります。
日本人は元々鉄分摂取量が少ないとされており、血液検査で貧血と診断されなくても慢性的に鉄分が足りていない可能性があります。鉄過剰症を心配される方もいるかもしれませんが、食べ物やサプリメントの摂取だけではとてもなりえないので安心してください。
プロテイン(タンパク質)は体の調子を整えるだけではなく、体を温めるエネルギーになります。食事だけでタンパク質を十分に摂取するのが難しい場合は、プロテインを取り入れてみてください。
※参照:【皮膚疾患が治らない!-皮膚科医が教える"次の一手"】循環障害 凍瘡(しもやけ)が治らない!
Medicina (0025-7699)54巻9号 Page1477-1481(2017.08)
血流量増加作用や角質水分保持増強作用があり、血流を良くするだけでなく保湿もしてくれます。様々な形状の商品が売られていますので、好みに合わせて選びましょう。
乾燥が酷い時は軟膏、柔らかく伸びが良いのはクリーム、べたつきが嫌な方はフォームやローションタイプがおすすめです。
皮膚の血行促進作用、保護作用があり、皮膚の新陳代謝を高めます。成分は皮膚から吸収され、塗った所の血流を上げてくれます。
ステロイドは出血や感染のない炎症を抑える薬です。強い作用が怖いから薄く塗る、というのは間違いです。炎症の部位にしっかり塗って2、3日で炎症を鎮めましょう。
ワセリンには血行を促す作用はありませんが、保湿力は抜群です。乾燥が原因の方におすすめです。
ヘパリン類似物質やビタミンEの塗り薬は、マッサージしながら塗ると浸透しやすくなります。また塗った後に手袋や靴下などで上から覆うのもオススメです。
炎症が起きている所を強く触ると悪化する可能性があるので、優しく触るようにしましょう。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
手足など末梢を温め、体の内側も温めます。冷えによって下腹部が痛くなり、下痢をしやすい場合にも使われます。
当帰飲子
東洋医学でいう「血」を補い、かさかさした乾燥肌の方に使われます。
当帰芍薬散
体力虚弱の方で、冷え、むくみ、貧血、めまい、頭重、肩こり、動悸、耳鳴りなどのある方に使われます。
桂枝茯苓丸
比較的体力がある方で、手足が冷えてのぼせる、下腹部が張る、便秘、頭痛、肩こり、めまい、むくみがある場合に用いられます。しもやけだけでなく、普段からにきびやしみなどの皮膚トラブル、生理や更年期に伴う症状にも使われています。
温経湯
冷えた時に手足がほてり、肌や髪が乾燥しやすい方に使われます
※参照:凍瘡に対する当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果「Phil漢方 (1347-6882)46号 Page16-18(2014.01)」
【皮膚科ではこう使う!漢方処方ガイド】冬場に多い皮膚疾患「Derma. (1343-0831)295号 Page54-61(2020.04)」
しもやけになりなかなか治らない時は、我慢せずに受診しましょう。
市販の塗り薬だけでなく、内服薬で改善する場合があります。またしもやけではない疾患が潜んでいる場合もあるので、早めに診てもらいましょう。
しもやけの対策や改善は、体の中の冷えをなくすことが近道です。また冷えはしもやけだけでなく、あらゆる疾患の原因になります。しもやけに悩んでいる方は、日々の生活で必要な対策を取り入れることからはじめてみてください。それでも改善しない場合は自己判断せず、皮膚科などの専門医を受診するようにしてくださいね。