パパッと皮を剥くだけで簡単に食べられるバナナは、濃厚な甘みが魅力でおやつにもピッタリです。しかし甘さを強く感じることから「カロリーが高いのでは?」「ダイエット中は避けた方がいいのかな?」と心配になることも。そこで今回はバナナのカロリーについて管理栄養士が解説します。気になる糖質の量や1日の摂取量の目安も紹介するので、ダイエットをしているという方はぜひお役立てください。

気になるバナナのカロリー(エネルギー量)・糖質の量は?

バナナ100g(可食部)あたりと1本あたりのカロリー・糖質の量は以下の表の通りです。

バナナ100gあたりのカロリーは93kcal、糖質の量は21.4gです。またバナナ1本はおよそ200g(可食部約120g)なので、1本あたりのカロリーは112kcal、糖質の量は25.7gとなります。なおバナナの廃棄率は40%、廃棄部位は皮と柄です。

果物の中ではカロリーが高め

100gあたり93kcal、糖質21.4gという値はほかの果物と比べると高いといえます。

よく食卓に上がる果物(りんご・みかん・いちご・キウイフルーツ)100gあたりのカロリーと糖質の量を以下の表にまとめました。

普段食べる機会の多い果物の中でも、バナナは比較的高カロリーであることがわかります。最も低カロリーないちご(100gあたり31kcal)と比べると、カロリーはおよそ3倍です。みかん(100gあたり49kcal)やりんご(100gあたり53kcal)など50kcal前後の果物と比べても、40kcalほど上回っています。

これはバナナの水分量がほかの果物と比べて圧倒的に少ないことが影響しています。上記の果物はいずれも水分量が84%以上なのに対し、バナナの水分量は75.4%。ほかにも糖質がほかの果物よりも多く含まれることなども影響し、カロリーが高くなっていると考えられます。

糖質の量に注目してみても、バナナは比較的多くの糖質量を含んでいることがわかります。糖質についてはこちらの記事でくわしく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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【管理栄養士が解説】バナナは糖質が多いから太る?おすすめの取り入れ方とは

甘いバナナは糖質の量が多いから太るのでは?というイメージを持つ方も多いはず。ダイエット中や糖質制限中、またはトレーニング中の場合、どのようにバナナを取り入れるべきなのでしょうか?この記事では、バナナの糖質の量やおすすめの取り入れ方について、管理栄養士が解説します。

主食と比べれば低カロリー!

果物の中では高カロリーな分類のバナナ。しかしバナナにはさまざまな種類の糖類が含まれているので、身体の優秀なエネルギー源として役立ちます。

また糖質が多い食材といえば主食(ごはんやパンなど)が挙げられますが、これらと比べてみるとバナナが意外にも低カロリーであることが分かります。バナナ、ごはん、食パンについて、それぞれ100gあたりのカロリーと糖質の量を比較したのが以下の表です。

バナナのカロリーはごはん(100gあたり156kcal)と比較すると60kcalほど少ないことがわかります。また100gあたり248kcalの食パンと比べると、半分以下のカロリーです。この差は主食の水分量が少ないことや、主食には脂質やたんぱく質がバナナより多いことなどによって生じています。

こうしてみると、バナナは糖質が多いとはいえカロリーが高すぎることはないでしょう。「高カロリーな果物」というイメージだけで、ダイエット期間中に無理にバナナを避ける必要はありません。ダイエット中でもうまくバナナを取り入れていきましょう。

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

ダイエット中の食べ方のコツ

バナナを無理に避ける必要はないものの、ダイエット中にはできるだけ体重への影響を抑えたいものですよね。そこでバナナをダイエット中に取り入れるコツについて、いくつか解説します。

1日1本を目安にしよう

バナナには糖質も多く含まれるため、食べ過ぎはカロリーオーバーだけでなく、果糖の摂りすぎによる中性脂肪の増加・体重の増加の心配もあります。

バナナは1日1本、小さなサイズのものだと2本程度を目安にすると安心です。ほかの果物も食べる日は、あわせて1日200g程度となるよう調整するのがおすすめです。

お腹が空いたときのお菓子の代わりに

間食といえばスイーツやスナック菓子、ジュースなどを思い浮かべる方も多いかもしれません。これらに比べると、バナナ1本あたりのカロリーのほうが控えめであることも多いでしょう。

さらにバナナからはお菓子にはあまり含まれないビタミンやミネラルを摂ることもできるため、ダイエット中の間食にはうってつけです。

熟したバナナで満足感アップ?

バナナは常温でしばらく保存しておくと、皮に「シュガースポット」と呼ばれる黒い斑点が出てきます。シュガースポットはバナナの熟成が進み、甘さがアップしているサインです。

「ダイエット中だけど甘いものを食べたい!」というときには、お菓子の代わりにシュガースポットの出たバナナを取り入れてみるのもおすすめです。甘みがたっぷりなので、1本でも十分に満足できるはずですよ。

午前~昼ごろまでのタイミングがベスト◎

夜は脂肪を溜めやすい時間帯であり、エネルギーの消費量も少なくなります。そのためバナナなどの果物・間食を食べるタイミングとしては、夕方以降ではなく日中がおすすめです。食べる量だけでなく時間帯もぜひ意識してみましょう。

成熟具合でカロリーは変化する?

バナナは収穫後にも熟成が進み、日ごとに果肉がやわらかくなり、甘みが強くなります。甘さが増すとともに、カロリーもアップするのではないかと疑問に思いませんか?

厚生労働省から発表されている日本食品標準成分表には、成熟具合の異なるバナナの成分値の記載はありません。しかし実際のところ、バナナの成熟具合によってカロリーに違いはほとんど出ないと考えられます。

というのも、熟成することによって変化するのは糖質の種類。日が経つにつれて甘みを持たない「でんぷん」が、甘みのあるブドウ糖やショ糖などに分解されることがわかっています。つまり熟成したバナナの甘さが増すのには、糖質の種類が変化することが影響しているというわけです。

でんぷんもその他の糖質も1gあたりのカロリーは4kcalです。熟成が進む=糖質の量が増えるというわけではないため、バナナ自体のカロリーは熟成してもさほど変わらないと推察されます。

成熟具合でGI値は変化する?

GI値とは食後血糖値の上昇度をあらわした指標です。GI値が高いほど食後血糖値を上げやすいとされています。オーストラリアのシドニー大学が公開しているデータによると、バナナのGI値は熟成具合によって差があることがわかります(※)。

  • 熟していないバナナ…30
  • バナナ(生)…47
  • 熟したバナナ…52

※参照:シドニー大学「Glycemic Index Research and GI News」

バナナは熟成が進むとGI値が大きくなることから、十分に熟したバナナほど食べた後の血糖値が急激に上がりやすいと考えられます。血糖値が急上昇すると身体は脂肪をため込みやすくなるため、GI値だけを見ると、ダイエット中であればバナナは購入したらはやめに食べきるほうがよさそうです。

ただしGI値の測定には世界共通の基準がないため、同じ食品でも大きく異なるGI値のデータが生まれてしまったり、ほかの食べ物と組み合わせたときにはGI値が変わったりするという側面も持ちます。GI値はあくまでもひとつの目安として参考にすると安心です。

バナナを使ったスイーツのカロリーは?

ダイエット中でもバナナのスイーツを食べたくなることもありますよね。ここでいくつか、バナナを使ったスイーツのカロリーを紹介します。

バターやアイスクリームなど脂質の多い食材や、砂糖をたっぷりと使ったものはカロリーがグッと高まる傾向にあります。高カロリーのバナナスイーツを食べるときは、量に気を付けて楽しむようにしましょう。

市販のものであればパッケージの栄養成分表示を見て、カロリーを確認してみてくださいね。

バナナ蒸しケーキ(1個あたり118kcal)

バナナ蒸しケーキ

バナナ、ホットケーキミックス、水または牛乳

調理時間:10分

※牛乳を使用したときのカロリー

バナナキャラメル バニラアイス添え(1人前301kcal)

バナナキャラメル バニラアイス添え

バナナ、アイスクリーム(バニラ)、砂糖

調理時間:15分

バナナスコーン(レシピ半量あたり375kcal)

バナナスコーン

バナナ、ホットケーキミックス、バター

調理時間:30分

量に気を付けながら、ダイエット中も上手にバナナを楽しもう

バナナは比較的カロリーの高い果物ですが、ダイエット中に食べるのをがまんしすぎる必要はありません。1日1本を目安に、食べる時間帯や成熟具合も意識しながら、甘くておいしいバナナを楽しみましょう。

情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 【管理栄養士が解説】バナナ=太るは誤解?カロリーとダイエット中の取り入れ方のコツ