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茶碗蒸しや天ぷらなどの和食料理に使われ、ホクホクとした食感が特徴のゆり根。でも、「ゆり根には毒がある」と聞いたことがあり、不安になっている方もいるのではないでしょうか。今回はゆり根の毒にまつわる話や、ゆり根の栄養、おいしい食べ方について解説します。
ゆり根とは、その名のとおりユリ科の植物の球根部分を指します。ユリ科の植物の一部には毒を持つものもありますが、食用のゆり根に毒はなく、食べても問題ありません。もともとはアイヌの人々が北海道に自生していたものを食べていたようですが、現在流通しているゆり根の多くは、食用に品種改良されたものです。
そのため、スーパーなどで購入したゆり根を食べても毒の心配はありませんが、ゆり根は100gあたり119kcalと野菜の中でもカロリーが高め。食べすぎるとカロリーオーバーの心配がありますので、食べすぎには気をつけましょう。
※参照:文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,北海道農政事務所「北海道の伝統野菜」
食用のゆり根には「オニユリ」「コオニユリ」「ヤマユリ」などがあります。市販されている食用のゆり根はこれらの品種に当てはまるので、安心して食べてOKです。
食用のゆり根は秋から冬頃にかけて出回ります。優しい甘さとほくほくとした食感が特長の野菜なので、見かけたらぜひ手に取ってみましょう。
一方、園芸用のゆり根を食べるのは控えておきましょう。食用のものと品種が違っていて苦みが強かったり、食品用ではない農薬が使われていたりする場合があります。食用として売られているゆり根をいただくようにしましょう。
ゆり根には、食物繊維、カリウム、葉酸などの栄養素が含まれ、期待できる効能には以下のようなものがあります。
ゆり根には、100gあたり5.4gの食物繊維が含まれます。これは野菜の中でも比較的多い方で、たまねぎの3.6倍、レタスの4.9倍の量です。
食物繊維には整腸作用があり、便秘の予防には欠かせません。また食後の血糖値の急激な上昇を抑える働きや、血中コレステロール値を低下させる働きがあります。
ゆり根には、100gあたりカリウムが740mg含まれます。これは野菜や果物の中でもトップクラスの含有量です。
カリウムはナトリウムを排出する働きがあり、摂り過ぎた塩分の調整に役立ちます。むくみ対策に役立つほか、高血圧の予防に欠かせない栄養素です。
ゆり根には、100gあたり葉酸が77μg含まれます。これはレタスと同程度の量、玉ねぎでは約5.1倍の量です。
葉酸は不足すると貧血の原因となり、ほかにも動脈硬化の引き金となる血清ホモシステイン値という値を高くしてしまうことがわかっています。
葉酸は野菜や果物に多く含まれ、野菜不足の方は不足する恐れがあります。ゆり根などの野菜や果物から積極的に摂取しましょう。
ゆり根は生薬の「百合(ビャクゴウ)」としても用いられ、漢方薬にも使われています。
公益社団法人東京生薬協会によると、百合は「消炎・強壮・滋潤・清熱・益気作用があり、精神不安・ノイローゼ・気管支炎などを改善する薬方に配合される」とされています。
昔から漢方薬として使われている食べ物なので、旬の時季は積極的にいただきたいものですね。
※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,文部科学省ホームページ「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,公益社団法人東京生薬協会「新常用和漢薬集」
ゆり根はほくほくとした食感で甘みがあり、じゃがいもの食感と味に似ていると言われることも。クセが少ないのでさまざまな料理に活用できます。
天ぷらやかき揚げ、炒め物など、サッと加熱する料理にするとホクホクとした食感が楽しめます。少し長めに加熱することでねっとりとした食感に変化するので、煮物やホイル焼き、または加熱後に潰して和え物にすると、違った食感が楽しめますよ。
ゆり根の下処理は難しそうにみえますが、汚れを洗い流したら根元の硬い部分を切り落とし、りん片を1枚ずつはがすだけ。その後はそのまま加熱して調理すればOKなので、意外と扱いやすい食材なのです。
食用のゆり根に毒はなく、むしろ摂りたい栄養素がたくさん含まれています。さまざまな料理に活用し、ホクホク、ねっとりとしたゆり根のおいしさを楽しんでくださいね。