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なすを食べたら口や喉、身体がかゆい…という経験をしたことはありませんか?この症状がアレルギーかどうかを知るには医療機関の受診が必要ですが、原因には2つの可能性が考えられます。この記事では、なすを食べたときに出る症状やその原因、対処方法について解説します。
なすを食べたときに感じる口や喉のかゆみや違和感。これらの症状の原因には「口腔アレルギー症候群」と「仮性アレルゲン」の2つの可能性が考えられます。
これら2つの特徴と対策について解説しますが、自分がどちらに当てはまるのか、また別に原因があるかどうかについては、医療機関を受診したうえでの判断が必要です。自己判断はせず、症状が気になる場合は医療機関へ相談してくださいね。
口腔アレルギー症候群(OAS)とは、口の中や喉の粘膜に起こる食物アレルギーの一種です。原因となる食べ物を食べることで、口の中や喉にかゆみや違和感といった症状を引き起こします。
原因となる食べ物は、なすだけでなく、トマトやセロリといった野菜、りんごやもも、メロンなどの果物も知られています。
診断には問診と合わせて、必要に応じてprick-to-prick test(アレルギーが疑われる食品を用いた皮膚プリックテスト)や経口負荷試験(アレルギーが疑われる食品を摂取するなどして症状の有無を確認する検査)などの試験が行われる場合もあります。
このような診察は、アレルギー科、内科、耳鼻咽喉科などで行われます。近くの医療機関で検査できるかどうか、事前に問い合わせするといいでしょう。また受診の際は、どの食べ物を食べてどのような症状が出たか、細かくメモをしていくと役立つでしょう。
この口腔アレルギー症候群は、花粉症患者に多くみられることがわかっています。これは花粉と原因となる食べ物の間に、似た構造を持つアレルギーの原因物質が含まれているためです。
発症は学童期から成人にかけて多いとされていますが、花粉症の方が必ず発症するというわけではありません。
明確な予防法はありませんが、生の状態より加熱したものの方が症状が出にくいことがわかっているため、なるべく加熱したものや缶詰のものを利用するのもいいでしょう。
※参照:中野区医師会「口腔アレルギー症候群」,バイエル薬品株式会社「口腔アレルギー症候群のおはなし」
日本小児アレルギー学会のアレルギー診療ガイドラインによると、口腔アレルギー症候群であった場合、治療の基本は原因食物の除去、とされています。ただし、アレルギーの原因となる抗原は熱に不安定といわれており、しっかりと加熱することで食べられる場合もあります。
どちらにせよ、アレルギーであるかどうかの判断は、医療機関の受診が必要です。食べた方がいい・悪いの判断や治療については、医師に指示を仰ぎましょう。
※参照:一般社団法人日本アレルギー学会「患者さんに接する施設の方々のためのアレルギー疾患の手引き《2020年改訂版》」,日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016 ダイジェスト版」
仮性アレルゲン(薬理活性物質)とは、アレルギーと似た症状を引き起こす物質で、アレルギーとは違った仕組みで起こる反応です。
なすにはかゆみや蕁麻疹などを引き起こす原因となるヒスタミンが含まれるため、これらの症状に見舞われる場合があります。ほかにも仮性アレルゲンが含まれる食品として、たけのこやほうれん草、トマトが知られています。
口腔アレルギー症候群は口や喉といった限られた部分に症状が出ますが、仮性アレルゲンの場合は皮膚に症状が出ることもあります。
仮性アレルゲンだった場合、アナフィラキシー(全身の発疹、呼吸困難、血圧低下など複数の症状が出る重篤な状態)といった重い症状を起こすことはまれといわれていますが、体調が優れないときは食べるのは避けておくなどの対処を行いましょう。
※参照:一般社団法人日本アレルギー学会 アレルギーポータル「「仮性アレルゲン」とはなんですか。」,徳島県医師会「小児の食物アレルギー」
なすを食べたときの気になる症状は、アレルギーの可能性もありますが、そうでない場合もあります。気になる症状が続いたり、症状のつらさを感じたりするときは自己判断せず、医療機関へ相談してみてくださいね。