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料理に入れてもそのまま丸焼きにして食べても美味な「にんにく」ですが、ついつい食べすぎて下痢になってしまった苦い経験はありませんか?「殺菌成分が強いから」などいろいろな説があるようですが、実際は何が原因なのでしょうか?お腹を下す原因や対処法を管理栄養士が解説します。
ニンニクは和洋中とさまざまな料理で活躍する万能野菜ですが、食べすぎると腹痛や下痢の原因になることを耳にしたことはありますか?
「食べると元気になる」と言われるニンニクの栄養素は素晴らしいもので、近年ではコレステロールの数値を下げる効果や更年期障害、高血圧などの生活習慣病の予防にもなることが分かっています。
しかし、食べすぎると刺激が強すぎて下痢の症状を引き起こす可能性があるのです。風邪などの原因となる細菌を殺してくれるニンニクの強力な殺菌作用は、過食してしまうと私たちの体にとって大切な善玉菌まで殺してしまいます。そうならないために1日の摂取量や対処法などについてご紹介します。
私たちの腸内環境には、種々の細菌が生息し、善玉菌と悪玉菌のバランスを保つことで、最適な状態に保っています。
ニンニクの主な成分である「アリシン」は強い殺菌作用を持っており、私たちの免疫力を高め、疲労回復効果が期待できます。しかし、一度にたくさんの量を摂取すると、体内で大きな負担が生じます。「アリシン」の強い殺菌作用が予想以上に発揮されると、腸内環境を保つビフィズス菌などの善玉菌が殺されてしまい、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
その結果、便通がスムーズに行われず、下痢や腹痛になってしまうのです。
さらに腸内に存在する菌の中には、ビタミンを生成してくれる細菌も存在するので、これらの菌が殺されてしまうとビタミン不足となり、肌荒れや口角炎、口内炎を引き起こす原因に。ひどい場合には、皮膚炎によって皮膚のかゆみや乾燥、湿疹などが現れる可能性も。
ニンニクを過剰摂取すると、下痢や腹痛の原因となるだけでなく、消化吸収機能の低下から身体にさまざまな副作用が起こるというわけです。
胃腸が弱い方、よく下痢を起こす方は注意が必要です。また、空腹状態でニンニクを食べると「アリシン」の成分による強い刺激が胃や腸へダイレクトに刺激を受けてしまうため、先に飲み物やニンニク以外の食べ物を口にしてからいただきましょう。
稀なケースではありますが、ニンニクアレルギーが原因ということもあります。少量でもお腹を壊してしまう方や咳やくしゃみなどのアレルギー特有の症状が出た場合は、一度病院で診てもらったほうが良いでしょう。
個人差はありますが、加熱したものなら1日4片(20g程度)まで、生で食べる場合は1日2片(10g程度)までなら大丈夫であるといわれています。ただし、お腹を下しやすい方はその半量に抑えてきましょう。
少ないと思う方もいらっしゃると思いますが、ニンニクの過剰摂取は危険なので、適量をゆっくり味わって美味しく食べてくださいね。
ニンニクが原因でお腹を壊す場合には、腸内細菌のバランスが崩れている可能性があります。
まずはバランスを整えるために、善玉菌を増やしてくれる、乳酸菌を多く含む食品と一緒に食べると良いでしょう。
具体的には納豆やチーズ、温かい味噌汁など、納豆チャーハンやチーズクリームパスタなどがおすすめです。
また、「アリシン」はたんぱく質と結合する性質があるため、牛乳やヨーグルト、肉や魚などの良質なたんぱく質と一緒に食べることで胃腸への刺激を弱めてくれます。ミルクスープやポークソテーなどがおすすめです。中でも豚肉とニンニクは相性がよく、効率よくビタミンB1を吸収してくれるので、疲労回復や体力強化にも効果抜群です。
ニンニクを料理に入れるのではなく、ホイル焼きなど単体で食べたい時、食べ合わせとしておすすめなのがキャベツです。キャベツはビタミンUという特有の栄養素を持っており、胃腸の粘膜を守り、弱った粘膜の修復を助ける役割があります。ニンニクの前に食べておくことで、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことも。
予防策をいくつかご紹介しましたが、ニンニクを食べすぎたなと思ったら、乳製品を多く摂取して、善玉菌の低減を防ぐことが大切です。
ニンニクは薬味としてだけでなく、串焼きや餃子、にんにく醤油漬、ガーリックオイルなどさまざまな料理に合い、料理に欠かせない食材のひとつ。ニンニクでお腹を下さないよう、食べる際のポイントを押さえて上手に取り入れていきましょう。