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平成最後の年賀状、もう準備しましたか。最近はメールやSNSで新年の挨拶を済ませる人も増えましたが、心を込めた年賀状もやはり送っておきたいもの。間違いや失礼のない年賀状の書き方について、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに教えてもらいます。
「新年明けましておめでとうございます」。年賀状の定番の文章として書いている人も多いのでは。しかし、この場合の「新年」には「年が明ける」という意味が含まれているため、「明ける」という言葉が重複していることになります。
新年の挨拶を書く際は、「明けましておめでとうございます」もしくは「新年おめでとうございます」とすればOKです。また、目上の人には敬いの気持ちをこめて「謹んで新年のお慶びを申し上げます」と、より丁寧な言葉で伝えることをおすすめします。
「賀正」や「迎春」は、年賀状のデザインとしても一般的で、使用する人も多い文言。しかし、これらは「賀正=新年を祝う」「迎春=新年を迎える」というシンプルな意味となっており、敬いの気持ちが薄いと感じさせてしまいます。目上の人には使用しない方が良いでしょう。
目上の人への祝い文句として、「謹賀新年」であれば丁寧さを感じさせることができるので、こちらを使いましょう。
昔は日本の文章には句読点はありませんでした。しかしそれだと読みにくいなどの理由から句読点を打って区切りをつけることで、相手に読みやすくしたという文章の歴史があります。
ですが縁起を担ぐ日本人の考え方として、特にお祝い事の際は"区切り"をつける句読点は打たないほうが良いと思う人も多くいます。年賀状は新年を祝う年始の挨拶。そのため、年初めに区切りはつけないほうが良いという考え方になるわけです。
年賀状に文章を添える際、句読点を打たずに書くことで読みにくいと感じたら、読点である「、」を打つ代わりに、半角スペースを空けて書くのがおすすめ。また句点を書く場所で改行することでも相手は読みやすくなりますね。
前年のお礼を伝える際に「去年はお世話になりました」と書くのはNGです。なぜなら「去年」の「去」という字が、新年にふさわしくない"忌み言葉"だと思う人もいるため。
前年を指したい場合は「旧年」や「昨年」と書きます。その他にも「枯れる」「失う」など、マイナスな印象を与える言葉は控えましょう。
年賀状に新年の挨拶を英文で記したい場合は、「HAPPY NEW YEAR」と書きましょう。冠詞の「A」は不要なのでご注意ください。「A」をつけるのは 「Have a happy new year」などの文章の場合ですが、これだと「良いお年を」という意味になってしまいます。
「元旦」は、1月1日の午前中を、「元日」は、1月1日全体のことを意味します。したがって、年賀状に「元旦」と書く時は、1月1日の午前中に届くことが前提となります。また「元日」と書く時は、1月1日中に届くことを前提に書くのが正しい使い方です。年賀状でなく、メールなどで挨拶を送る際も気をつけましょう。
また「元旦」「元日」と「1月1日」を続けて書くのも避けましょう。同じ意味を重複することになります。
年賀状を書く際、相手の敬称は一般的には「様」と書きます。このとき目上の人には「様」の代わりに「樣」という漢字を書くと、ワンランク上の年賀状になります。
敬称の「様」という漢字には種類があります。以前は、送るお相手に応じてその漢字を変えていました。最も目上の人には、右下が「永」の「樣」(えいさま)を。続いての位の人には、右下が「次」となる「つぎさま」。そして現在、一般的に使用されている右下が「水」の「みずさま」などです。今ではこのように書かなければ失礼というわけではありません。しかし知っている人もいるため、例えば配偶者の親などには「樣」(えいさま)を使用すると、一目おかれるかもしれませんね。
年賀状は、墨をすって筆で書くのが最上級。これが難しい場合は、市販されている筆ペンで書くと風情も出て良いですね。どうしても筆ペンが苦手な人は、黒のサインペンなどマジックを使用しても大丈夫です。また、ボールペンや鉛筆で書くのは控えましょう。これらは、簡易な印象を与えてしまします。相手を敬い、心をこめて書いたという気持ちが伝わりにくくなります。
メールやSNSで新年の挨拶を済ます人が多くなったからこそ、年賀状の貴重さも増してきています。相手に対する敬意の気持ちを持ち、心をこめて書いた年賀状は、きっと気持ちが伝わります。そんな年賀状を送り、新年も大切な人たちと良い関係を築いていってくださいね。