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寒くなるにつれて、空気の乾燥が気になるようになってきました。風邪やインフルエンザの対策には湿度管理が重要と言われており、家の中の空気の乾燥には注意が必要です。そこで、本格的な寒さが到来する前の時期に導入をお勧めしたいのが加湿器です。
最近は空気清浄機と一体型の製品も多いですが、適用床畳数など設置する部屋の条件を満たしていることはもちろんのこと、お手入れのしやすさやランニングコストなども十分に比較した上で最適な一台を選びたいものです。
そんな中でも、製品選びの際にまず押さえておいて欲しいのが「加湿方式」。現状、市販されている加湿器には一般的に主に4つの方式が採用されています。以下にそれぞれの仕組みと特徴をまとめます。
蒸気によって加湿する方式。やかんで湯を沸かして蒸気を発生させるのと同様に、本体内部のヒーターで水を沸騰させて蒸気に変えて加湿するという最も原始的な仕組みです。高性能な製品では、ファンを組み合わせて蒸気を効率的に拡散させて加湿します。
ヒーターを用いるため、消費電力は300~500W程度と高め。300Wの消費電力の加湿器を1時間運転させると、電気料金単価が24円/kWhの場合、1時間あたり7.2円。10時間の運転では72円の電気代となります。
そして、水を煮沸消毒するため、水を常に殺菌でき、衛生的に加湿ができる点はメリットとなります。
水を煮沸するため、水道水に含まれているカルシウム、鉄分、マグネシウムなどのミネラル成分が結晶として固まりやすくなるというデメリットも。この結晶を放置しておくと、加熱性能の悪化や異常発熱、電気代アップの原因となるため、定期的な清掃は不可欠です。
また、高温の蒸気が本体から発生するため、蒸気口付近に触れると火傷するおそれがあります。特に小さな子どもやペットがいる家庭では注意が必要。加湿能力が高いので、過加湿になりやすく、住宅環境によっては結露や壁紙へのカビの発生にもつながります。そのため、湿度検知機能や自動調整機能を備えた製品を選ぶほうが無難です。
水をフィルターに浸透させて、ファンの風を当てて水を気化させて加湿する仕組み。室温が高く乾燥した部屋で使用する場合、ファンから発生する風は乾燥していて温度が高いのでフィルター部で水分が蒸発しやすく、湿度上昇には効果的。
ただし、湿度が上昇するにつれてファンによる風の湿度も高くなるため、フィルターで蒸発する水分量が少なくなり、湿度上昇は60~70%程度が限界です。大空間を加湿するには、大風量が得られるファンと十分な水量が不可欠です。
ヒーターを使わないため、消費電力はファンの運転のみとなり、20~50W程度と省電力でランニングコストは経済的。加熱を行わないために室温が上昇することはなく、むしろ気化熱により室温が若干低下する傾向にあります。
気化式で注意したいのはお手入れ。加熱を行わないため、水が浸透したフィルター部には雑菌が繁殖しやすくなります。お手入れをしないフィルターは、言うならば濡れたままの雑巾と似たようなもの。お手入れをしないまま使い続けると、雑菌をそのままファンの風によって室内にまき散らす行為と同じです。そのため、定期的な清掃が必須です。
超音波振動により、水を微細な粒子にして空気中に放出する仕組みです。水タンクと振動装置を主体とした簡易な構造のため、安価な価格帯の製品で多く採用されています。消費電力が小さく、ランニングコストが安いのもメリットです。
しかしながら、加湿用の水を加熱せず気化もせずにそのまま拡散させるため、水に含まれるミネラル成分や雑菌をそのまま空気中に撒き散らすことになります。衛生面では最もケアが必要なタイプと言えるでしょう。
高価格帯でこの方式を採用している製品では、紫外線照射による除菌機能を備えたものもありますが、紫外線ランプには寿命があり、点灯時間によって能力が低下してしまいます。適切な時期に紫外線ランプを交換をしなければなりません。また、紫外線では水垢などの除去はできないため、やはり定期的なメンテナンスは必要です。
2つの方式を組み合わせたのがこのタイプ。気化式にヒーターを内蔵したタイプと、超音波式にヒーターを組み合わせたタイプがあります。湿度が低い場合や殺菌を行いたい際にヒーターを稼働させることができるため、スチーム式の機能をいかしながらも、電気代を抑えた運転が行えるのが特長です。
2つの方式の機能を持つことから構造が複雑となり、本体価格は高めの傾向。ヒーターによる加熱が行えるため、超音波式や気化式よりも衛生的に運転できるものの、常に加熱運転が行われているわけではないため、毎日タンクの水を交換することや、定期的なフィルターのお手入れは原則必要です。
構造上の制約から、加湿機能一体型の空気清浄機の加湿方式は、ほぼ「気化式」と言えるでしょう。空気清浄機の送風機能を利用して、浄化した空気を、水で湿らせたフィルターに通して風を当てることで加湿させ、再び外に放出します。
一体型の魅力はなんと言っても「1台2役」。空気清浄機と加湿器の2台を購入するのに比べると、費用と設置スペースが節約できます。一年中、出しておくことができ、片付ける必要がないのも利点です。
反面、単体の製品のように加湿方式が選べないことや、製品によっては湿度設定ができないなど加湿器としての機能が簡略化されているのがデメリット。適正湿度に保つ上では大きな問題にはならないものの、給水のしやすさやお手入れといった利便性や、空気清浄機と一体型であるゆえに重量がかなりあり、移動に難がある場合があることを留意しておきましょう。