勤務先に年末調整の書類や資料を提出する時期ですね。大半の人は「保険料控除証明書」を出すことで今年払った税金が戻ってきます。とはいえ、それによってどれくらいおトクになるのか知っていますか。生命保険料控除の仕組みと、今からその額を最大にするテクニックをFPが紹介します。


そもそも「生命保険料控除」って何? 



保険会社から届いた「生命保険料控除証明書」を勤務先に提出すると、「年末調整」して今年の給与から引かれすぎていた所得税が戻ってきます。住宅ローンがある場合は、ローン残高証明書を出すとローン残高の1%相当の所得税が戻ってきます(例えば800万円のローン残高なら8万円所得税が戻ってくる)が、生命保険料控除は控除額8万円と書いてあっても税金が8万円戻ってくるわけではありません。

※ローン残高が1500万円の場合その1%の15万円所得税が戻ってきますが、そもそも10万円しか所得税を納めていなかった場合は納付していた10万円が上限となり、残りの5万円は翌年引かれる住民税で調整されます。

これは、住宅ローンは税金をダイレクトに控除する「税額控除」であるのに対し、生命保険料控除は税金を計算する基礎となる所得を低くしてくれる「所得控除」であることが理由です。この税金を計算する基礎となる所得を「課税所得」といい、ここを低くすることが税金を安くするポイントとなります。そのため「所得控除」となる要素を多く準備できれば、それだけ「課税所得」を低くすることができ、払う税金が少なくなることになります。

生命保険料控



所得控除は「扶養控除」など家族構成により増えるものと、生命保険料控除のように自分で作ることができる控除があります。

生命保険料控除は保険の種類により3種類あります。

  1. 一般生命保険料控除
  2. 医療介護保険料控除
  3. 年金保険料控除

支払った保険料が全額控除されるわけではないものの、それぞれ年間8万円以上保険料を払っていれば4万円ずつの所得控除となります。上記3種類の生命保険料控除をフル活用できていたら、所得控除額が12万円増えることになります。

なお、3の「年金保険料控除」は、個人年金保険が対象になります。受け取る額が変動する「変額個人年金」の場合は「年金」という保険でも「年金保険料控除」の対象にはならず、1の「一般生命保険料控除」の対象になります。保険選びの時には、保険のタイトルだけで判断せず、その保険がどの控除の対象になるかしっかり確認しましょう。

所得控除12万円のメリットはどれくらい?



くらいメリットがあるのでしょうか? 日本の所得税は「累進課税制度」で所得が高くなれば税率が上がる仕組みになっているので、同じ12万円の控除でも年収300万円の人と年収1200万円の人ではメリット額は異なります。

家族構成や他の控除の条件によって異なりますが、おおよその目安はこれくらいです。

  • 年収300万円の場合( 所得税率5%) 12万円×5%=6,000円
  • 年収650万円の場合(所得税率10%) 12万円×10%=1万2,000円
  • 年収1200万円の場合(所得税率20%) 12万円×20%=2万4,000円

※年収とは、手取りではなく額面で総額いくらもらっているかの額をいいます。 

足りなかったら今から年払いで保険に加入すればOK



届いた生命保険料控除を確認して総額12万円の控除になっておらず、かつ保険に加入する必要がある場合、その保険料を年払いで今年のうちに支払えば今年の控除に組み込むことができます。その理由は、生命保険料控除は1月から12月までに総額いくら払ったかの額になるからです。11月や12月にかけこみで年払いで保険に加入したものの、勤務先の年末調整には間に合わないという場合は、来年2月15日から3月15日の間に確定申告すれば税金の還付を受けることも可能です。

ただし、控除のために必要のない保険に加入するのはかえって無駄遣いになってしまいます。そこはご注意くださいね。 

会社から言われるからと、なんとなく出している生命保険料控除証明書。どのように自分の税金に影響しているかをイメージできましたか。所得が多ければ多いほど、控除による税金軽減効果は大きくなります。仕組みを理解して、今から間に合う控除対策を始めていきましょう。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 今からでも間に合うかも! 今年の生命保険料控除額を最大にする方法