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男女ともにやってくる「厄年」。何歳が自分の厄年にあたるかご存知ですか。厄年には神社やお寺にお祓いに行くのが一般的ですが、その他に厄を軽減する方法はあるのでしょうか。民俗情報工学研究家の井戸理恵子先生に教えてもらいました。
男女で年齢は異なるものの、身体や身の回りの環境に災難が起こりやすいと言われている年齢を「厄年」と呼びます。女性は子育てなどで疲れが出やすい頃、男性は家族を守るなどの責任が重くなる頃の年齢が厄年とされているそうです。
厄年は、厄年の1年前である年齢と、1年後である年齢を含めた「前厄」「本厄」「後厄」で構成されます。この年齢にあたる年は、神社やお寺などで厄祓い・厄除けをして、健康や生活に気を付けて過ごしたほうが良いでしょう。本厄の年齢は以下のとおりです。なお、厄年は数え年(満年齢+1歳)で数えるのが一般的です。下記の年齢も数え年となります。
例えば、女性で満年齢が32歳の方は、数え年だと33歳になるので、32歳を迎える年が厄年です。なお、男性の42歳は「しに」、女性の33歳は「さんざん」と読めることもあり、この年齢が厄年の中でも最も災難が大きい「大厄」と呼ばれます。昔から日本では、言葉には神が宿ると考えられており、言葉の語呂合わせによる「意味」を忌む傾向にあるといいます。
ちなみに、厄年はそれぞれ60歳頃が厄年の終わりにあたりますが、これはかつて寿命がまだ短かかった時代、「還暦まで生きたら儲けもの」と考えられていたことが理由だといいます。
厄年には神社やお寺で祈祷をしてもらいましょう。ちなみに神社で祈祷してもらうことを「厄祓い」、お寺で祈祷してもらうことを「厄除け」と呼びます。微妙に違いがありますね。祓うのがよいのか、常に除けてくれるのがよいのか、自分でよく考えて選択しましょう。
なお、厄は結婚や出産、高い買い物などの「代償」を払うことで軽減できるとも考えられています。「結婚や出産が代償? 」と、不思議に思うかもしれませんが、結婚をすると1度生まれ変わると考えられていたので、「1度死ぬ=代償」とされるようです。「出産」については、新しい命を生み出すことが未来への「貢献」ととらえられ、その貢献を「代償」と考えると言われます。また、結婚も出産も大変な労力を必要とし、心身ともにエネルギーを消耗するイベント。その労力や心配り、気遣いなどを「代償」ととらえるのです。他には、魔除けの色とされる赤色のものを持つのもおすすめです。
厄祓い・厄除けに行くタイミングには諸説ありますが、自分のタイミングが良いときに行けば大丈夫です。各所での祈祷はいつでもしてもらえます。なお、厄祓い・厄除けは、前厄・本厄・後厄の3年を合わせて1回で済ますのではなく、前厄の年に入ってから本厄の年、後厄の年と毎年行くようにするのがベスト。3年連続で祈祷することで、「自分はいま厄年で体調などを崩しやすい時期であり、気を付けることが大切だ」と意識することが重要です。
祈祷料については、3,000円~1万円が相場と言われます。神社・お寺より指定がある場合はその金額を、指定が無い場合は「少し多いかな」と自分が感じるくらいの金額を選びましょう。自分の命を守るための料金なので、あまりに安すぎるのも考えものです。
面倒だからと厄を軽減する対策をしておらず、災難が起きてから後悔しては遅いですよね。厄年は昔から多くの人が不調をきたしやすかった年齢。しっかり厄の対策をしつつ、注意して余裕を持った生活を心がけてくださいね。
監修: 井戸理恵子
井戸理恵子(いどりえこ)
ゆきすきのくに代表、民俗情報工学研究家。1964年北海道北見市生まれ。國學院大學卒業後、株式会社リクルートフロムエーを経て現職。現在、多摩美術大学の非常勤講師として教鞭を執る傍ら、日本全国をまわって、先人の受け継いできた各地に残る伝統儀礼、風習、歌謡、信仰、地域特有の祭り、習慣、伝統技術などについて民俗学的な視点から、その意味と本質を読み解き、現代に活かすことを目的とする活動を精力的に続けている。「OrganicCafeゆきすきのくに」も運営。坐禅や行事の歴史を知る会など、日本の文化にまつわるイベントも不定期開催。