株式会社ファミリーマートは、アジア最大級のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ World Specialty Coffee Conference and Exhibition 2026(以下:SCAJ2026)」にて、2026年10月15日(木)、「FAMIMA CAFÉ メディア向けトークセッション」を実施した。




会場には、World Brewers Cup 2016優勝の実績を持つ世界No.1バリスタの粕谷哲氏と、ファミリーマート 商品本部 ファストフード部 カフェ・スチーマーグループ 松田香織氏が登壇。粕谷氏が監修を務める『プレミアムモカ』のこだわり、おすすめのペアリング、FAMIMA CAFÉの売上動向、2050年問題を背景とした生産国支援の取り組みについて紹介した。




新型コーヒーマシンが実現する、豆の個性を引き出す一杯







ファミリーマートは2026年6月、新型コーヒーマシンの全店導入を完了。豆の挽き方やお湯の注ぎ方にまでこだわり、コーヒー本来の個性を引き出す仕組みを取り入れた。さらに、エチオピア・イルガチェフェ産の最高等級豆を100%使用した「プレミアムモカ」も7月より展開し、本格的な味わいを追求している。







新型マシンの最大の特徴は、コンビニ業界初となる挽き方調整グラインダを搭載したこと。松田氏は、「コーヒー豆の挽き目を9段階で調整することで、その豆に最適な挽き目を作り、本格的な味わいを提供することができる」と説明。新型マシンは「濃いめ」「軽め」など味わいも選べるようになり、「濃いめ」には細かい挽き目を、「軽め」には粗めの挽き目をといったように、メニューに応じて粒度を調整。共同開発した粕谷氏も、「豆を挽いて粉にするときの粒のサイズによって、味わいや濃度、コクにすごく影響が出る。メニューに合わせて粒度を調整できることが、このマシンのすごいところ」と話した。




さらに、挽き方だけでなく、お湯の注ぎ方も進化し、豆全体にお湯が均一にかかる抽出方法を採用。粕谷氏は、「均一に抽出できないと、一部のコーヒーからは成分が取り出されすぎて苦くなったり、えぐくなったりする。一方で、十分に抽出されない部分は酸っぱい味になってしまう」とし、均一に成分を抽出できる新型マシンの魅力を紹介した。




売上前年比約120%を見込むFAMIMA CAFÉ




FAMIMA CAFÉの2026年度の売上は、旧型マシンだった2024年度と比較して前年比約120%が見込まれている。好調の要因の一つとして挙げられたのが、7月に発売した『プレミアムモカ』。発売以来累計150万杯を達成している。『プレミアムモカ』の客層は40~50代の男性が多いそうだが、新型マシンで新たにLLサイズを展開したことで20代の若年層にも広がっているという。新型マシンに加え、本格的な味わいの『プレミアムモカ』の展開がFAMIMA CAFÉの好調を支えているようだ。今後の商品開発については、現在新メニューの開発が進行中で、今後SCAJへの出展機会があれば、翌年に発表できる可能性もあるという。




希少なエチオピア産豆を100%使用『プレミアムモカ』のこだわり







そんな好調を支える『プレミアムモカ』の特徴は、エチオピア・イルガチェフェ産の最高等級豆を100%使用していること。収穫量の1%未満とされる希少な豆を使い、華やかな香りとフルーツのような明るい酸味を楽しめる一杯に仕上げている。




商品開発では、豆の選定から焙煎、抽出方法まで、粕谷氏と共同で検討を重ねた。焙煎には、モカ豆の香りをしっかりと引き出すために高温短時間焙煎を採用。さらに、豆の使用量は通常のブレンドの約1.3倍とし、蒸らし時間も通常より約1.1倍に設定するなど、レシピにもこだわっている。粕谷氏は、「僕が味づくりで一番大事にしているのは、やっぱり僕自身がおいしいと思えること。きれいな味わいで、一口飲んでもう一口飲みたくなる。飲み終わったら、もう一杯飲みたくなるような後味の心地よさを重視している。市場が求めている味を作るというよりは、これがおいしいってことなんです、ということを、ファミリーマートの店舗を通じて伝えたい」と味づくりに対する熱い思いを語った。




個性はありつつも、毎日飲んでいて飽きないような味づくりを意識







プレミアムモカの商品化において、粕谷氏が特に重視したのが、エチオピア産モカならではの個性と、幅広い人が楽しめる飲みやすさの両立。エチオピア産モカの魅力は、果実由来の甘さやフルーティーな味わいにある。しかし、その個性を強く打ち出しすぎると、人によっては酸味が際立って感じられることもある。そこで、焙煎を少し深めることで、フルーツ由来の甘さを熟した果実のような甘さへと近づけ、飲みやすさを追求した。




「モカブレンド」との違いは?




従来から展開している「モカブレンド」も、イルガチェフェ産のモカ豆を使用した商品だが、ほかの産地の豆とブレンドすることで、モカの風味とコクのバランスを整えている。バランスのよい味わいを楽しみたいなら「モカブレンド」、モカならではの個性をじっくり味わいたいなら「プレミアムモカ」。飲み比べることで、それぞれの違いをより実感できそうだ。







会場で改めて『プレミアムモカ』を飲んだ粕谷氏。「おいしいですよ。って、自分で作っているから恥ずかしいですけど。飲んだ時のおいしさもそうですけど、まずは香りの良さを体験してもらいたい。あとは飲んだ時の口当たりの良さ。もう一口飲みたくなる後味の良さ。甘い余韻がいつまでも残る」と説明。そして「多分世界一おいしい」と笑顔で絶賛した。




おすすめのフードペアリング




トークセッションでは、プレミアムモカとファミリーマートで販売する商品とのペアリングも紹介された。







粕谷氏がパンのカテゴリーから選んだのは、「もちっと つぶあんドーナツ」。「ドーナツのように油脂が入っているものと、コーヒーはそもそも相性がいいし、モカの甘さとあんこの甘さも間違いなく相性がいい」と説明。ドーナツの香ばしさや油脂感、あんこの甘みが、プレミアムモカの味わいと調和する組み合わせだ。







焼き菓子からおすすめとして松田氏が挙げたのは「たっぷり4種のフルーツケーキ」。ケーキに含まれるフルーツの風味と、プレミアムモカのフルーティーな味わいが重なり、口の中で調和を楽しめるという。コーヒーの香りや酸味と、焼き菓子の甘みを一緒に味わうことで、いつものコーヒータイムがより豊かなものになりそうだ。







そして、意外性のあるペアリングとして紹介されたのが梅のおむすび「手巻 紀州南高梅」だ。粕谷氏は、エチオピア産コーヒーが持つ酸味と梅の酸味がマッチすると説明。「意外かもしれませんが、エチオピア系のコーヒーと梅のおにぎりは合うと思う。酸味同士がマッチするので、個人的にも気に入っている」と薦めた。甘い菓子だけでなく、おむすびとの組み合わせまで楽しめるとは、コーヒーの楽しみ方の新しい発見だった。




気候変動でコーヒーが飲めなくなる? 「2050年問題」とは







おいしいコーヒーを楽しむためには、その原料となる豆が安定して生産されることも欠かせない。トークセッションでは、気候変動によってコーヒーの生産環境が変化し、将来的な安定供給が難しくなるおそれがある「コーヒーの2050年問題」についても語られた。主な要因は、気温の上昇、降雨パターンの変化、病害虫リスクの増加など。トークでは、2050年までにコーヒー栽培に適した土地が約50%減少する可能性があると紹介された。







こうした課題に向き合うため、ファミリーマートはコーヒーの生産国であるエチオピアへの支援を継続している。支援の対象は農園だけではなく、現地で暮らす人々や、将来を担う子どもたちの生活環境にも目を向けている。具体的には、2024年から2026年にかけて、現地の学校のトイレや手洗い場などの整備を支援。また、女の子に向けたコンビニエンスウェアのショーツの提供も行っている。農園への支援としては、2025年に、老木から新しい苗木への植え替えを支援するため、コーヒーの苗木6万本を寄付した。さらに2026年には、コーヒーの実を乾燥させるために使用するアフリカンベッド21台を支援。農園で使う収穫かごや剪定ばさみなども提供した。コーヒーを安定して生産するためには、栽培や収穫の環境を整えるだけでなく、産地で暮らす人々の生活を支えることも重要だ。




コンビニ業界初の「カッピングコンテスト」で生産者とともに品質を育てる







産地支援と並んで紹介されたのが、コンビニ業界初として実施された「カッピングコンテスト」。カッピングとは、複数のコーヒー豆を同じ条件で比較し、香りや味わい、品質などを評価する方法。粉の香りを確認した後、お湯を注いで抽出し、酸味、甘味、質感、後味、全体のバランスなどを総合的に評価する。




初開催となった今回のコンテストでは、優秀なコーヒーを生産した農園へ表彰も行った。松田氏はカッピングコンテストを開催する目的として「生産者のモチベーション向上」「産地との長期的な関係づくり」「品質へのこだわりを消費者に発信すること」だと説明。粕谷氏は、「エチオピアモカといっても、その中にはいろいろな農園があって、それぞれ違うコーヒーを作っている。それぞれを評価して、コメントやフィードバックを返すことは、生産者にとってすごく大事なこと」と、本取り組みを高く評価。「この業界は、生産者がいなければ始まらないし、生産者が続けていかなければ継続できない。正しいフィードバックやモチベーションにつながる取り組みは本当に重要だし、続けていきたいこと」と話した。







会場では来場者も『プレミアムモカ』を試飲。甘い香りがふわっと広がり、程よい酸味と苦味が心地よい。ブラックでも飲みやすく、個人的にはたっぷりのLLサイズで買ってみたいと思えるほど好みの一杯だった。




今回のトークセッションで感じたのは、より良いコーヒーを作り、未来へつなぐための取り組みを行うファミリーマートの情熱だ。手軽に購入できるコンビニコーヒーだからこそ、その一杯の向こう側にある豆の個性や生産者の努力、産地の環境について、より多くの人が目を向けることができる。ぜひFAMIMA CAFÉの一杯を楽しみながら、コーヒーの奥深さや未来について考えてみてはいかがだろうか。



情報提供元: 舌肥
記事名:「 ファミリーマートがコーヒーの祭典「SCAJ2026」に出展、バリスタ粕谷哲監修『プレミアムモカ』のこだわりやコーヒーの未来について語る 」