「元気だから大丈夫」は思い込み? ロイヤルカナンが伝える、愛犬・愛猫の健康寿命を延ばすためにできること
「うちの子は元気だから、動物病院に行かなくても大丈夫」。愛犬や愛猫と暮らすなかで、そんなふうに考えたことはないだろうか。
2026年10月8日、東京・品川のジャポン本社で「ロイヤルカナン ヘルシーエイジング プレスセミナー」が開催された。テーマは「未来のため、いっしょにできること」。犬と猫の健康寿命を延ばすために、飼い主ができることを考えるセミナーだ。
当日は、犬と猫の高齢化や健康診断の重要性に加え、猫の通院ストレスを減らすための具体的な方法も紹介された。
犬と猫も高齢化の時代。大切なのは「健康寿命」
冒頭では、ロイヤルカナン ジャポン合同会社のコーポレートアフェアーズ ディレクター・西尾真一郎氏が登壇。同社の理念や取り組みを紹介した。
ロイヤルカナンは1968年、フランスの獣医師ジャン・カタリーによって設立された。創業以来、栄養学に基づいた食事を通じて犬と猫の健康を支えている。
続いて、同社のヘルスアフェアーズ マネージャー・学術担当の平 瑛美氏が「ヘルシーエイジング」について解説した。日本では犬と猫の長寿化が進み、7歳以上のペットがおよそ半数を占めるという。猫の平均寿命は16歳程度、犬も15歳に迫っている。そこで注目されるのが、単に長生きするのではなく、心身ともに健康で過ごせる期間を延ばす「ヘルシーエイジング」という考え方だ。
平氏は、その実現に向けた3つの柱を紹介した。
1つ目は、寿命の長さだけでなく健康寿命を重視すること。2つ目は、実際の年齢だけでなく、一頭一頭の体の状態に目を向けること。そして3つ目が、専門家への相談や定期的な健康診断を習慣にすることだ。
年齢を重ねること自体は避けられない。しかし、食事や運動、生活環境を整え、早い段階からケアすることで、健やかに過ごせる時間を延ばせる可能性がある。
「年だから仕方ない」で見逃してしまう変化とは
猫は7歳、小型犬では8歳ごろから中齢期に入るとされる。猫の7歳は人間に換算すると約42歳。まだ若々しく見えても、体の内側では少しずつ変化が始まっている。
例えば、高い場所に飛び乗らなくなった、おもちゃで遊ぶ時間が減った、寝ている時間が増えたといった変化だ。
飼い主は「年を取ったから仕方ない」と考えがちだが、平氏によると、ジャンプをしなくなった背景には関節の痛みが隠れている可能性もあるという。適切な治療や食事管理、室内にステップを設けるといった環境の工夫によって、年齢を重ねても好きな場所で過ごせる可能性がある。
さらに印象的だったのが、筋肉量についての説明だ。紹介された猫の事例では、9歳から15歳になるまで体重に大きな変化がなかったにもかかわらず、筋肉量は減少していた。
つまり、体重だけを確認していても、体の変化を十分に把握できるとは限らない。セミナーでは、筋肉量を維持している猫と減少している猫の生存率を比較した研究データも紹介された。筋肉量を維持している群では、生存率が50%になる年齢に約2年の差が見られたという。
年齢による変化を見過ごさず、適切な運動や栄養管理につなげることが、健康寿命を考えるうえで重要になる。
猫の健康診断受診率は約40%。筆者も当てはまった「健康だから行かない」
平氏によると、健康診断の受診率は、この10年ほどで犬が約55%、猫が約40%まで上昇した。それでも猫は犬より受診率が低い。猫の飼い主が健康診断へ行かない理由として最も多かったのは「健康だから」。次いで「動物病院に連れて行くのが大変」「お金がかかる」という回答だった。
実は筆者も、約3年前から保護猫と暮らしている。台風が過ぎ去った後、物置の下で鳴いていた、推定生後4か月の子猫を保護したのが始まりだ。それまでペットを飼った経験がなかったため、何を食べさせればよいのか、どう育てればよいのかもわからず、最初のうちは近所の動物病院へ何度も足を運んだ。ところが、一緒に暮らすことに慣れ、猫も元気に成長するにつれて、受診する機会が減っていった。気づけば、ここ2〜3年は動物病院に行っていない。まさに「健康だから大丈夫」と考えていた飼い主の一人だった。
しかし、猫は不調や老化のサインが見えにくい動物でもある。見た目が元気だからといって、体の内側まで健康とは限らない。
「健康だから病院に行かない」のではなく、「健康なうちから病院に行く」。
今回のセミナーでは、その重要性が繰り返し伝えられた。
猫の通院ストレスを減らすには?ラムちゃんと学ぶ実践テクニック
猫を動物病院へ連れて行く際、大きな壁となるのが通院のストレスだ。
セミナーでは、6歳のオス猫・ラムちゃんと飼い主の石川さんが登場。キャリーバッグに猫を入れる方法が実演された。
紹介されたのは、前足が左右に広がらないように支えながら入れる方法、キャリーバッグを縦に置いてお尻側から優しく入れる方法、使い慣れたタオルで包んで入れる方法の3つ。
ラムちゃんは落ち着いた様子で実演に協力。猫の性格や状況に応じて方法を使い分けることの大切さが伝わってきた。ただし、キャリーバッグに入れられれば安心というわけではない。
平氏は、猫が感じるストレスを「バケツ」に例えて説明した。キャリーバッグに入る、揺れる車で移動する、知らない場所へ行く、ほかの動物の鳴き声を聞く。こうした小さなストレスが少しずつ蓄積し、限界を超えると、診察時に激しく抵抗することもあるという。そのため、普段からキャリーバッグを部屋に置き、中でおやつを食べさせるなど、良い経験と結
びつけることが大切だ。
移動中は慣れたタオルでキャリーバッグを覆い、周囲の刺激を減らす工夫も紹介された。また、猫に配慮した設備や診療体制を備える「キャットフレンドリークリニック」についても説明があった。国内では241の動物病院が認定されているという。
ただし、認定を受けていなくても猫に優しい診療に取り組む病院はある。大切なのは、飼い主と猫が安心して通えるかかりつけ医を見つけることだ。
5歳からの健康チェックキャンペーンもスタート
ロイヤルカナンでは、健康診断を受けるきっかけづくりとして「5歳からの健康チェックキャンペーン 2026」を実施している。期間は2026年10月1日から12月15日まで。全国の動物病院で健康診断を受診した5歳以上の犬と猫を対象に、抽選で5,000名に3,000円分のデジタルギフトが贈られる。
応募には、受診を証明するレシートや診療証明書をロイヤルカナンの公式療法食LINEからアップロードする必要がある。なお、5歳になるまで健康診断を受けなくてよいという意味ではない。若く健康なうちから受診し、健康状態を継続的に確認することが大切だ。
「まず一つ行動するなら?」獣医師への質問で見えた健康診断の本当の意味
セミナーでは、飼い主がまず取り組むべきこととして「健康診断」の重要性が強調された。健康なうちから受診しておけば、その子の普段の検査数値を記録できる。例えば、ある検査項目の数値が10だった場合、初めての検査では判断が難しくても、過去に9、9、9と推移していたのか、3、2、3と推移していたのかによって、獣医師の判断も変わってくるという。
つまり、健康診断は病気を見つけるためだけのものではない。健康な状態を記録し、将来の変化に気づくためのものでもあるのだ。さらに、日頃から動物病院との関係を築いておけば、ちょっとした変化にも相談しやすくなる。
質疑応答では、健康診断の頻度についても質問があった。平氏は、中高齢期以降は少なくとも年2回、若いうちからもできれば年2回の受診を勧めていた。
犬や猫は人間よりも速いペースで年を重ねる。だからこそ、定期的な健康チェックが重要になる。犬や猫は、自分の体調を言葉で伝えることができない。だからこそ、飼い主が小さな変化に気づき、専門家の力を借りながら健康を守っていく必要がある。
今回のセミナーを受け、筆者もさっそく愛猫を健康診断へ連れて行こうと決めた。
「元気だから大丈夫」ではなく、「元気な今だからこそ」。
大切な家族と一日でも長く、健やかな時間を過ごすために。まずは動物病院へ足を運ぶことから始めてみてはいかがだろうか。