9月1日は「防災の日」。今年は地震だけでなく、大雨による災害のニュースも相次いでいる。7月には熊本県で最大震度7を観測する令和8年熊本地震が発生したほか、千葉県をはじめ各地でゲリラ豪雨による大きな被害も報告されている。地震も水害も、いつどこで起きてもおかしくない、そう実感させられる出来事が続いている。折しも今年は防災庁設置法が公布され、11月には防災庁が発足する予定など、国全体で防災・減災への機運が高まっているタイミングでもある。




こうした中、マスターロック・セントリー日本株式会社(MLSJ社)が実施した『2026年防災にまつわる調査』で、被災経験者ほど“ある考え方”に強く共感しているという結果が明らかになった。




そもそも「フェーズフリー」とは




内閣府が普及を図る「フェーズフリー」とは、「日常」と「非常時」を明確に分けて備えるのではなく、普段の暮らしの中に防災につながる機能や仕組みを取り入れる考え方だ。たとえば、防災用品を収納できるスツールを、普段は玄関で靴を履くための椅子として使い、災害時にはそのまま防災バッグとして持ち出す、といった発想がこれにあたる。非常時専用の特別な防災用品を“買って備える”のではなく、日常的に使いながら、いざという時には命や暮らしを守る役割を果たすアイテムが注目されている。




調査によると、この「フェーズフリー」という言葉を「知っていた」「ある程度内容を知っていた」と答えた人は全体で36.9%、3人に1人にとどまった。ところが、被災経験がある人に限ると、この割合は61.4%まで跳ね上がる。実際に災害を経験した人ほど、フェーズフリーという考え方の存在を認識しているという結果だ。







共感度についても同様の傾向が見られた。「普段使っている物を災害時にも役立てる」という考え方に共感すると答えた人は全体で79.3%だったのに対し、被災経験者では88.7%と、9割近くにのぼった。







避難時に約7割の人が「自宅にあるものが気になった」




調査では、実際の被災経験者156人に、地震発生時の行動についても詳しく聞いている。




身の安全を確保した後、すぐに避難できたかという問いには、「少し迷ったが、比較的すぐに避難できた」が45.3%と最も多かったが、「迷いや準備に時間がかかり、避難が遅れた」人も16.7%、「一度避難した後、自宅や建物に戻った」人も12.0%存在した。







さらに印象的なのが、「自宅にある大切なものを取りに戻りたい」と思ったことがあるかという設問だ。「実際に取りに戻った」が33.1%、「取りに戻ろうとしたが、やめた」が34.7%で、合わせて67.8%、実に7割近くの被災経験者が、家に置いてきたものを気にかけた経験を持っていた。







避難をためらった理由として最も多かったのは「通帳や印鑑、重要書類を持ち出そうとした」で34.2%。すぐに命に関わるものではないはずの物が、避難の迷いを生む一因になっていることがうかがえる。







一方で、「大切なものが守られているという安心感があれば、『取りに戻る』という行動を防げると思うか」という問いには、全体の81.8%、被災経験者では88.7%が「そう思う」と回答した。大切なものの保管場所さえ確保できていれば、避難時の迷いを減らせると考える人が多いということだ。







【調査概要】
調査名:2026年防災にまつわる調査
調査対象:全国20〜70歳の男女340名(地震による被災・生活への影響経験者156名、影響のない人184名)
調査期間:2026年8月19日〜8月21日
調査方法:インターネット調査
実施:マスターロック・セントリー日本株式会社(https://masterlocksentry.jp/)




「持って逃げる」から「置いて逃げる」へ




こうした調査結果は、防災の備えに新しい視点を投げかけている。非常食や水を「備蓄する」という発想だけでなく、普段から使っているものの置き場所自体が、いざという時の行動を左右するということだ。




MLSJ社は、その一つの答えとして、耐火・耐水性能を備えた金庫の活用を提案している。普段は通帳や印鑑、契約書など紛失しやすい大切なモノをまとめておく収納スペースとして使いながら、災害時には火災や浸水から守る役割に切り替わる、という考え方だ。




同社代表取締役の安藤亮平氏は、「大切なものを守る場所を日頃から決めておくことで、いざという時には命を守る行動を最優先にできる」とコメントしている。




「何を持って逃げるか」ではなく「どうすれば迷わず逃げられるか」。防災の日をきっかけに、一度、家庭の備え方を見直してみてもいいかもしれない。



情報提供元: 舌肥
記事名:「 9月1日防災の日に考える「日常と非常時を分けない暮らし」 9割が共感のフェーズフリーとは?