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店内に入ると、壁には俳優の戸塚純貴さん扮する「うみうまキャプテン」が登場しているポスターが。「三陸・常磐うみうまフェア」の参加店は、このポスターが目印になっている。
同店が今回コラボした三陸・常磐の水産加工品は、岩手県陸前高田市などで養殖されている「岩姫(いわひめ)サーモン」だ。実は、このメニューの開発を行った店長の西田さんは、今回のフェアに先立って、本フェアを主催する復興水産加工業販路回復促進センターが実施した生産地ツアーに参加。一泊二日の旅程で岩手県の漁港や市場を訪れている。
「福岡に住んでいると東北というのはやや距離があって、震災復興についてもテレビで見て知る程度だったのですが、若手社員数名で昨年のツアーに参加させてもらって、東北を身近に感じられるようになりました。牡蠣やアワビの養殖場を訪れて、震災で全部流されてしまったところから復興までの努力に感動しました。それに何より、私たちが普段取り扱っている魚や野菜にも、それを獲ったり作っている生産者の方がいて、その方々の仕事の成果を材料にして自分たちの仕事が成り立っていることを強く教えられ、飲食人としてのベースが上がったような気がします」と話してくれた西田さん。
ツアーの中では岩姫サーモンの養殖場にも訪問。そこでの交流で感じた「この生産者さんを応援したい」という思いが料理人魂に火をつけ、今回のコラボ食材を選ぶきっかけになったそう。なんとツアーの帰り道の時に、既に岩姫サーモンを使ったレシピを考え始めていたという。
そうして完成したオリジナルレシピから生み出されたコラボメニューが、こちらの「温玉バルサミコソースの洋風岩姫サーモン丼」(1580円)だ。
見よ、このツヤッツヤとした岩姫サーモンの圧倒的存在感!
カラフルなサラダが洋風サーモン丼の周りをにぎやかに囲む一皿は、まるで岩手の山間にある養殖場の風景を料理に表現しているかのよう。まさに西田さんの体験とイマジネーションが融合した渾身のコラボグルメだ。
「岩姫サーモンは身がしっかりしているので包丁を入れても崩れにくく、食材として扱いやすいところも魅力ですね。まずはじめにサーモンだけを味わって、次にバルサミコソースをかけてサーモンとご飯を一緒に楽しみ、さらに温玉を崩しながら味に変化を加えて食べてみてください」と西田さん。肉厚にカットされたサーモンは食べ応え抜群で、しつこくない口当たりはご飯や野菜とマッチ。西田さんの熱い思いを聞いて、食べるこちらにも生産者の顔が見えてくるような一皿だった。
「温玉バルサミコソースの洋風岩姫サーモン丼」は、フェア期間中、同じ福岡市内の「CAFFÉ OTTO ROOF TOP GARDEN」「CAFFÉ OTTO. MOMOCHI-hama」など系列6店舗でも提供している。
Water site. OTTO
福岡市中央区天神1-16-1 西鉄イン福岡1F
電話番号:092-714-3308
営業時間:11:00~18:00
定休日:なし
続いて、天神エリアの中心地にある「めんちゃんこ亭 天神店」を訪れた。こちらは福岡市民のソウルフード「めんちゃんこ」で有名な麺酒場。
ここにもやはり、うみうまキャプテンのポスターが!
福岡県民の方には説明不要かもしれないが、ご存知ないかもしれない他県の方に向けて簡単に紹介しておこう。めんちゃんこは、麺料理と相撲の「ちゃんこ鍋」が一緒になった、ひとり鍋料理。今から45年近く前、相撲部屋でちゃんこ鍋をご馳走になった店主が締めの麺の美味しさに感動して、最初から締めの味が楽しめる一人用グルメとして考案された。おひとり様のちゃんこ鍋が原案ということで、一杯ずつ小さな鍋で提供されるところも特徴だ。
かつてのアルバイトスタッフが、本フェアの関係者だったことが今回の参加のきっかけに。こちらも社員が東北を視察で訪れ、産地などを見学した上で使う食材を決定。そして、めんちゃんこと常磐の味覚「いわしのつみれ」が合体したコラボメニュー「常磐発 鰯のつみれめんちゃんこ」が生まれた。
「三陸・常磐の食材をご家庭の食事でも取り入れていただきたいという思いから、スーパーマーケットなどでも気軽に手に入り、ご家庭の鍋料理にもよく使われるいわしのつみれとのコラボメニューを開発しました」と同社統括責任者の酒井さん。現在、約10種類あるめんちゃんこのレパートリーの中でも魚介類を具材にしたメニューは少なく、伝統の味に新風を吹かす存在に。
麺が先か、つみれが先か。箸の行き先に迷った末に、まずは麺をすすると、口の中にはいわしの香りがふわっ。はもや羅臼昆布の魚介のだしが生きた秘伝のスープにさらなる魚介エキスが加わり、海鮮風味は最高到達点へ。対して、たっぷり4個も入った、いわしのつみれはふわふわの柔らかさで、その味を存分に楽しめた。
おすすめの食べ方について尋ねると「途中まで食べ進んだら、席に備え付けの自家製柚子胡椒を少し加えて“味変”を楽しんでください」と酒井さん。心の中で「ごっちゃんです!」とつぶやきながら、スープまで完食!
また、おつまみメニューも充実しているのが、めんちゃんこ亭のいいところ。本フェア期間中は「たこカツ」(380円)、「いかジャンユッケ」(580円)、「いかの青唐味噌」(340円)、「いわしのつみれの炊いたん」(280円)を特別に提供している。
天神店のほか、系列の6店舗でも味わえるので、食事でまたはお酒の席で三陸・常磐の魚介を楽しんでほしい。
めんちゃんこ亭 天神店
福岡市中央区天神2丁目3-10-1F
電話番号:092-406-5659
営業時間:月〜木、日祝日 11:00〜翌3:00。金、土、祝日前 11:00〜翌5:00
定休日:なし
その後は、天神の街をぶらり散策。そして、再びお腹を空かせてから夕食は「長浜屋台街」へ。
近年は店の数が減って、かつての活気を失っていたところに、昨夏新たな6店舗が出店して“復活”が話題になったばかりの長浜屋台街。今回のフェアでは、この屋台街ともコラボ。福岡名物の屋台でも三陸・常磐のコラボグルメが楽しめる。
コラボグルメが味わえるのは4店。「明太中毒」は「明太ちくわの炭火焼き」(500円)、「長浜のひろし」は「カニ味噌ホタテバター炒め」(1800円)と「私がエビです」(1尾500円)、「長浜市民球場」は「ずわいがにの甲羅焼き」(650円)、「長浜屋台 どげん家」は「三陸産 大粒カキフライ」(700円)を提供している。
このうち、「ちくわのような安価な食材を使うことで、たくさんの方に気軽に東北の食材を楽しんでほしいと思いました」と今回のコラボ食材に焼きちくわを選んだ理由を教えてくれたのは、明太中毒の米満さん。「長浜屋台街をもっと盛り上げていきたいと思うなか、こうしたフェアに参加することで屋台街の名前をより広くの方々に知ってもらえることも大きいです」と本フェア参加の意義も語ってくれた。
一方で、長浜市民球場には、地元野球ファンが店のコンセプトに絡めて「東北のものを食べて、今年もホークスがイーグルスに勝つ!」と意気込む姿も。そんな本気とも冗談ともとれる話題で盛り上がりながら、三陸のずわいがにをつつく様子が印象に残り、来るべき球春を前に食と野球をつまみに九州と東北がつながる風景があった。
さらに3軒目にハシゴした長浜のひろしにも、東北のエビとカニを肴ににぎわう光景が。東京から出張できた人、大阪から遊びに来た人、はたまた韓国から一人で旅行に来たという青年、見ず知らずの人たちと今ここで会話を楽しむ場に、「復活の長浜屋台街」と「復興の三陸・常磐」という2つのストーリーが重なって見えたような気がした。
長浜屋台街
福岡県福岡市中央区長浜3-14
そうして、三陸・常磐グルメ大満喫の一日が完結。うみうまキャプテンにしっかり任務完了の挨拶をして福岡を後にしたのであった。
「三陸・常磐うみうまフェア」第2弾は、1月15日から2月14日まで愛知県と福岡県の48店舗で開催中。フェアの対象メニューを食べてアンケートに応募すると、抽選で三陸・常磐の「うみうま」グルメが当たるプレゼント企画も行っているので、下記の特設ページで参加店舗をチェックして、ぜひ出かけてみては。
【「三陸・常磐うみうまフェア」第2弾 特設ページ】
https://umiuma.jp/lp/fair2024/