日本とベトナムが外交関係を樹立して、今年で50年。これを記念して9月1日から3日までの3日間、さいたま新都心駅前のけやきひろばで「シンチャオ!さいたま」ベトナムフェスが開催された。昨今さまざまな国が日本でフェスを開催し、ベトナムフェスもこれまで東京などで開催してきたが、埼玉での開催は今回が初。さいたま新都心駅からすぐの好立地と快晴という条件も相まって、当日は多くの人で賑わいを見せた。

会場に足を踏み入れると、とにかく出店の数が多いことに驚かされた。しかも飲食系のすべてがベトナム料理で、その大半をバインミー販売店が占めており、どのお店にもバインミーを求める在日ベトナム人の人々の行列が。日本ではまだまだ馴染みの薄いバインミーだが、ベトナムの人たちにとっては愛してやまない母国の味なのだ。もちろん、フォーや生春巻きといった日本でもお馴染みのメニューも並び、広い会場内にはいたるところで何かしら食べている人たちの姿があった。

ベトナムを代表するビール「サイゴン・ブルワリー 333 バーバーバー」やヤシの実ジュースなど、ドリンクの種類もたくさん用意されていたが、中でも人気だったのが「サトウキビ生搾りジュース」。サトウキビ4本ほどを目の前で搾って作る、さっぱりとしたテイストのこのジュースは病みつきになること間違いなし。

今回の会場のテーマは、ベトナムの「中秋節(テト・チュン・トゥー)」。「子どもの正月」とも呼ばれる中秋節は、日本の十五夜のようなお月見祭りで、賑やかで華やかなのが特徴だそう。「シンチャオ!さいたま」もテーマ通り賑やかで、メインステージではコンサートやタレントコンテスト、スポーツエリアではベトナムの国民的スポーツ「ダーカウ」の日本大会などが開催された。

会場入ってすぐのフォトスポットでは、ベトナムの獅子舞がお出迎え。

会場内は多くの人で賑わった。

飲食系の出店の大半でバインミーが売られていた。普通、お祭りの出店で売られる食べ物は割高なものが多いが、「シンチャオ!さいたま」ではかなり格安。オーソドックスな具のバインミーは500円代で売られていた。

サイゴン・ブルワリー 333 バーバーバーと唐揚げバインミー。

サトウキビ4本を目の前で搾って作る、大人気のサトウキビ生搾りジュース。

今回のフェスのために建てられた、昔のベトナムの家。

中に入ると、当時のベトナムの一般家庭の暮らしぶりが再現されていた。

メインステージではコンサートやタレントコンテストが行われた。

フォーと揚げ春巻き。

ベトナムの伝統的なスポーツ「ダーカウ」。ベトナム人はダーカウ好きで、これを目当てにフェスに来た人もいるとか。

今回のフェスで初めてベトナムの文化に触れた記者だが、フレンドリーで物腰の柔らかい国民性に驚かされた。出店では順番を守って行儀よく並ぶし、大声をあげて騒ぐ人もいない。そして、お客さんのために可能な限り売値を抑えて提供するところにも共感を感じた。また、さいたま新都心駅前けやきひろばという場所の選択も、フェス成功の大きな要因のひとつかもしれない。というのも、これだけの人手なのにごった返している感じはなく、比較的にゆったりと歩いて見て回ることができたから。初回となる今回は、3日間で約10万人が来場したそう。東京からもそんなに遠くないこの場所で、来年もベトナムフェスが開催されることを祈りたい。

情報提供元: 舌肥