イギリス海軍専用のラム酒！？「パッサーズ」を徹底解説～味わい・歴史～
2022年、イギリス海軍でのラム配給廃止となった日「ブラック トット デー」52周年を記念して、「パッサーズ デフォード ドックヤード リザーヴ」の限定版、「2022スペシャルリザーヴ リミティッドエディション」が発売されました。
国内入荷は300本限定、完売後の再入荷予定もないとのこと。ラム好きは、ぜひ新年の1本目としてゲットしたい商品です。
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今回は「パッサーズラム」について、そして限定入荷された「パッサーズ デフォード ドックヤード リザーヴ」についてご紹介いたします。
パッサーズラムとは？
かつてイギリス海軍専用のラムであった「パッサーズラム」。ラベルにはイギリス海軍の軍艦旗が描かれています。
最低3年間熟成させたダークラムで、高級感のあるまろやかな味わいが特徴です。
元々海軍の日当として配られていたパッサーズラム
パッサーズラムは、1700年代～1970年までの期間海軍の日当として配られていました。
当時の海軍は敵に勝利すると、褒美として船の事務長（パッサー）から増量したラムをもらえたことから、パッサーのラム、「パッサーズラム」と呼ばれるようになったのだそう。
ちなみに海軍でラムが配られていたのは、当時の船乗りたちが悩まされていた「壊血病」の予防に、ラムをレモンと水で割ったものが有効とされていたという側面もあるようです。
1970年7月31日にラム配給制度が中止になってからは、一般発売が開始されましたが、かつては海軍しか飲めない特別なお酒であったようです。
パッサーズラムの製造過程
パッサーズラムは、当時イギリス領であった、ガイアナ共和国のデメララ地域で栽培されたサトウキビを使用してつくられています。
主な蒸留を担っているのはガイアナ共和国にある「デメララ産蒸留所」。約300年前につくられた木製の連続式蒸留器を使用してラムを製造しています。
金属製の蒸留器よりも“天使の分け前（蒸留してしまうお酒）”が多く、生産効率も悪い木製の蒸留器にこだわるのは、長年ラムを吸収し続けた木が、香りに深みを出してくれることに理由があるのだそう。
蒸留後は、中を焦がしたオーク材のバーボン樽で、3年以上熟成させます。ガイアナ共和国は熱帯地域のため、熟成が早く、短い期間で長期熟成したような味わいに仕上がるといいます。
▼「ラム酒」の基本知識についてはこちらの記事をチェック！
ここからは日本で現在発売しているパッサーズラムをご紹介いたします！
パッサーズ スパイスドラム
画像：amazon.co.jp
カリブ料理で使われるスパイスブレンド「カリビアンラム」に一週間以上漬け込んでつくった、香り高いパッサーズラムです。
ジンジャーやナツメグを思わせる、フレッシュかつまろやかな味わいが特徴となっています。
スムーズな飲み心地のため、そのままでもおいしくいただけますが、カクテルに使用すると、スパイスがピリリと効いた爽やかな1杯に仕上がりますよ。
パッサーズ ブリティッシュ ネイビー ラム
画像：amazon.co.jp
着色料や香料を使わずにつくった、こだわりのパッサーズラムです。
ドライフルーツやキャラメルを思わせる芳醇な香りと、まろやかな味わい、マイルドかつスパイシーな後味が特徴となっています。
そのまま飲んでも良いですが、パッサーズラムとナツメグ、ココナッツラム、パイナップルジュース、オレンジジュースを混ぜた「パッサーズ ペインキラー」にしてもおいしくいただけます。
パッサーズ ラム ガンパウダー
画像：amazon.co.jp
かつて海軍で配給されていたものと同じ、54.5%のアルコール度数を持つパッサーズラムです。
ハチミツやバニラ、シナモンを思わせる香りと、濃厚で強い味わい、力強さの中に優しさが感じられる余韻が楽しめるのが特徴となっています。
材料と蒸留方法にとことんこだわった芸術的な味わいのため、ぜひそのままで飲んでいただきたい1本となっています。
パッサーズ ブリティッシュ ネイビー ラム１５年
画像：amazon.co.jp
ポートモーラントが製造する、木製の連続式蒸留器で蒸留したラムの影響を強く受けて生産されたパッサーズラムです。
サトウキビ由来の甘い香りと重厚感のあるトロピカルな味わい、温かみのある余韻が楽しめるのが特徴となっています。
舌ざわりが滑らかなため、ストレートでいただくのがおすすめです。
パッサーズ デフォード ドックヤード リザーヴ
こちらは、2022年に発売された限定商品。
「デフォード」は約300年間にわたってイギリス海軍の主要な造船所で、敷地内では配給用に膨大な量のラムを貯蔵していました。
デフォードのマスターブレンダーによって作られたブレンドは、イギリス海軍全体で「パッサーズラム」として知られるようになります。
その際の仕様についてはほとんど知られていませんが、当時のイギリス海軍をイメージして、ガイアナ (デメララ)、トリニダードからの熟成された高エステルラムと、バルバドス、ジャマイカのラムをブレンドして作ったのが本商品です。
ロックで飲むのがオススメ
色は濃いオレンジ色のような茶色をしており、レーズンやチョコレートのような甘い香りがします。
口に入れたはじめは甘いフルーティーな味わい、その後すぐにドライなシェリー感のある広がりを感じました。
氷を入れたグラスへ入れ、ロックで飲んでみました。
ストレートで飲んだ時に感じたドライさが少しなくなり、丸みのある味わいとラムらしいやわらかな甘さを楽しめました。
チーズケーキやドライイチジク、生チョコとの相性が良さそうな1本です。
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まとめ
イギリス海軍専用のお酒であった「パッサーズラム」。伝統的な木製の連続式蒸留器で蒸留し、バーボン樽で3年以上熟成させてつくった伝統的なラムです。
中でも「パッサーズ デフォード ドックヤード リザーヴ」は、かつてイギリス海軍で飲まれていたパッサーズラムをイメージしてつくられた、こだわりの1本となっています。
イギリス海軍と共に紡いだ300年の歴史を感じられる1本、ぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。