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同作は、22歳の若さでパティスリーの世界選手権の王者に輝き、彗星のごとくスイーツ界に登場した若き天才パティシエであるヤジッド・イシェムラエンさんの自伝書「スターを夢見た幼少時代:パティシエが彼を救った理由(Un rêve d’enfant étoilé: Ccomment la pâtisserie lui a sauvé)」をもとに映画化したサクセス・ストーリー。
育児放棄の母親の下、過酷な環境で過ごしている少年ヤジッド(リアド・ベライシェ)にとって唯一の楽しみは、フォスターファミリー(里親)の家で、団欒しながら食べる手作りのスイーツ。いつしか自らが最高のパティシエになることを夢みるようになっていた。
やがて、児童養護施設で暮らしはじめたヤジッドは、敷居の高いパリの高級レストランに、機転を効かせた作戦で、見習いとして雇ってもらうチャンスを10代でつかみ取る。毎日180キロ離れた田舎町エペルネからパリへ長距離通勤し、時に野宿をしながらも必死に学び続け、活躍の場を広げていく。
偉大なパティシエたちに従事し、厳しくも愛のある先輩や心を許せる親友に囲まれ、夢に向かって充実した日々を過ごすヤジッド。ところがそんな彼に嫉妬する同僚の策略で、突然仕事を失うことに。失意のどん底から持ち前の情熱でパティスリー世界選手権への切符をようやく手に入れるが……、というストーリーが展開される。
映像は、主人公ヤジッドがスイーツを製作する瞬間、一気に覚醒していく様子を捉えたもの。少年時代からの夢に近づくため、憧れのパテシィエの元で修行するヤジッド。「パティシエじゃなく、アーティストであれ」「冒険家であれ」―高級ホテルのキッチンではパティシエからの言葉が飛び交うが、ヤジッドが知りたいことはただ一つ、どうやったら一番になれるか。
だが、ヤジッドが憧れるパティシエからは「一番と天才、どっちがいい?」と、想定外の問いかけを受け取ることになる。考えてもわからないヤジッドはとにかく手を動かす。そして、チョコレート、小麦粉、卵などスイーツ製作のための材料を手にした瞬間、全ての感覚が研ぎ澄まされ、外部の一切が遮断され、覚醒していくー。自覚のないまま、答えを自分の身体で生み出していく天才・パティシエ誕生の瞬間を垣間見せるようなシーンとなっている。
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