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家庭でも職場で特に顧みられることのなかった平凡な中年男性が、家族と住む自宅を強盗に襲撃され、路線バスで若い不良たちに絡まれてしまったことを契機に一変する…。
想像していた以上の面白さだ。
『ジョン・ウィック』の脚本家が物語を書き、その内容も1人の男が裏社会と対決することになるバイオレンス・アクションと聞けば、自ずと『ジョン・ウィック』自体と比較したくもなるが、本作には新鮮な裏切りとぐいぐい引き込まれていく魅力がある。
確かなオリジナリティがあるのだ。
『ジョン・ウィック』は、既に『マトリックス』シリーズでアクション俳優としてのイメージも確立させていたキアヌ―・リーヴスが主演したことにより、全てとは言わないまでもアクションのイメージ自体はある程度想像できたところがあった。
その点、本作は全く逆だ。
主演は、ボブ・オデンカーク、世界的人気を集めたドラマ『ブレイキング・バッド』『ベター・コール・ソウル』では呆れるほど口は達者だが暴力には怯えるクセの強い弁護士を見事に演じた俳優だ。
そんな俳優がこれまでのイメージとは程遠い激しいアクションをこなす。
しかもそのキャラクターは個性的とは言い難くむしろどこにでもいるような存在感の薄い男なのだ。
本作が持つ様々な魅力の原点は、まさにこの設定にこそあると言っても過言ではないだろう。
ストーリーに関してはネタバレなしで臨みたい部類の作品と言えるかもしれない。
一見目立たない中年の男が誰に対してどのように振るまうことになるのか、それこそ、その初めての目撃者のようにこの映画は体験したい。
1つだけ付け加えるとすれば、主人公の高齢の父親役は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役で知られる名優クリストファー・ロイド。
このことだけで何だか少しワクワクしてしまう人は少なくないだろう。
■配給:東宝東和
■監督:イリヤ・ナイシュラー
■脚本:デレク・コルスタッド
■キャスト: ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、RZA、マイケル・アイアンサイド、クリストファー・ロイド
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