学校部活動の地域展開が進むなか、子どもたちのスポーツ環境をどう維持していくかが課題となっている。指導者の確保や活動場所の不足に加え、地域や指導者によって教え方に差が生じることもある。こうした課題に、民間のスポーツ団体はどう向き合っているのか。


埼玉県川口市や東京都足立区などを拠点に活動する一般社団法人ABROZは、バスケットボールスクール「Sports Intersection」を運営している。元プロ選手の経験を生かした指導を行う一方、継続的な育成環境づくりにも取り組んでいる。



小学生から中学生まで、成長に合わせた指導を展開






「Sports Intersection」は、川口市、足立区、戸田市を主な活動拠点とし、小学生からU-15年代までを対象にバスケットボールスクールやクラブチームを展開している。


未経験者が基礎を学ぶクラスから、競技力の向上を目指すU-15クラスまで、習熟度や年齢に応じたカリキュラムを設定。2026年4月には、新たにU-12クラブチームも発足した。


全国各地への出張クリニックも実施しており、活動地域以外の子どもたちに技術指導を行う機会も設けている。


ただ、こうした取り組みを続けていくうえで避けて通れないのが、指導者と練習場所の確保だ。同法人によると、活動の場を安定的に維持していくことは、現在も課題の一つになっているという。


学校部活動の地域展開によって、地域のスポーツ団体に期待される役割は広がっている。しかし、受け皿となる団体側にも、人材や施設などの運営上の課題がある。



元プロ選手が重視する「楽しさ」と「技術」の両立





ABROZ代表の翁長明弘氏は、米国での競技経験や国内プロリーグでのプレーを経て、指導者に転身した。


自身が選手として学んできた技術や指導方法を、地域の子どもたちに伝えることを目指している。


指導で大切にしているのは、スポーツを楽しむことと技術を身につけることの両立だ。競技力の向上だけを追い求めるのではなく、子どもたちが前向きにバスケットボールに取り組める環境づくりを重視しているという。


これまでに、同団体のU-15チームは全国大会「Jr.ウインターカップ」への出場や、3×3のスイス国際大会で優勝した実績を持つ。活動は「朝日新聞 ジュニアプレス埼玉」でも紹介された。


一方、地域スポーツの指導では、経験豊富な指導者の存在が強みになる反面、その人の技術や経験に頼りすぎてしまう難しさもある。


優れた指導方法を一人のコーチだけのものにせず、ほかの指導者にも共有できる仕組みをどうつくるか。指導の質を維持しながら活動を広げていくには、そうした視点も必要になる。



地域スポーツの受け皿をどう維持するか






ABROZでは、未経験者向けのスクールから競技志向のクラブチームまで、段階的に活動の場を設けてきた。2026年のU-12チーム新設も、その一環といえる。


ただ、チームの新設や大会での実績だけで、育成環境の充実を判断できるわけではない。


指導者が交代しても一定の指導水準を保てるか、練習場所を安定的に確保できるか。子どもたちが成長に応じて無理なく競技を続けられる環境を整えることも重要だ。


学校部活動のあり方が変わりつつある現在、地域のスポーツ団体には、競技力の向上に加えて、子どもたちが継続してスポーツに親しめる場所としての役割も求められている。


川口市や足立区などで活動を続けるABROZの事例からも、地域スポーツを支えるうえで、指導者の経験だけでなく、それを継続できる運営体制が重要であることが見えてくる。



【取材協力】
一般社団法人ABROZ
代表 翁長明弘
https://sportsintersection.wixsite.com/


情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 部活動の地域移行で問われる「指導の質」 元プロ選手が川口・足立で取り組むバスケ育成 」