岡山県は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、高品質な果実を生産する「果物王国」として知られている。北を中国山地、南を瀬戸内海に囲まれたこの地は「晴れの国」とも呼ばれ、長年培われた栽培技術によって多種多様なフルーツが育てられてきた。その中でも、特に長い栽培の歴史を持ち、岡山を代表する果物の一つがぶどうである。


2026年には、マスカット・オブ・アレキサンドリア(通称アレキ)が岡山での栽培開始から140周年を迎えた。この節目を記念し、「とっとり・おかやま新橋館 ビストロカフェももてなし家」にて岡山のぶどうを紹介する「おかやまぶどう王国メディア試食会」が9月4日(金)に開催された。




ぶどう栽培の歴史について、林ぶどう研究所の林慎悟氏は、アレキが岡山に定着した経緯を詳しく語った。エジプト原産のアレキは、明治初期に兵庫県の播州葡萄園へ導入されたが、日本の高温多湿な気候では収穫が困難であった。しかし、1886年に岡山の津高地域の農家がその素晴らしさに着目し、地元へ持ち帰ったことが転機となる。岡山では、水濡れに弱い性質を克服するため、ガラス温室を用いた栽培が試みられ、栽培技術が確立されていった。




現在では、岡山県が全国のアレキ生産量の90パーセント以上を占めている。岡山の栽培の特徴は「短梢栽培」に代表される、徹底した品質管理にある。一房一房に養分を集中させるため、多大な手間をかけて大粒で香りの良いぶどうを仕立て上げる。こうした栽培技術が、贈答用としても知られる岡山ぶどうの品質を支えている。




この伝統あるぶどうを贅沢に使用した和菓子が、宗家 源 吉兆庵の「陸乃宝珠」である。執行役員の岡野晋至氏は、果実を最も美しい姿で提供するためのこだわりを説明した。アレキを生のまま丸ごと一粒、薄い求肥で包み、砂糖をまぶしたこの菓子は、噛んだ瞬間の瑞々しさと華やかな香りが特徴である。一粒ごとにサイズが異なる生の果実を扱うため、果実の選別から求肥での包み込みに至るまで、手作業で仕上げられている。




5月から9月までの期間限定販売だが、初夏の爽やかな酸味から盛夏の濃厚な甘みへと、時期によって変化する果実の味わいを楽しめるのも魅力である。さらに、生産者の高齢化や後継者不足という課題に対し、同社は2013年に自社農園を設立し、次世代への技術継承にも取り組んでいる。




試食会では、アレキ、ピオーネ、シャインマスカットの3種食べ比べとともに、ぶどうをふんだんに盛り付けた、期間限定の「葡萄パフェ」や、アレキの白ワイン、赤ワイン「竜王里美」などが提供された。岡山県公聴広報課の梶谷高正氏は、今後の首都圏でのイベント情報として、JR新宿駅での「恵みのアグリマルシェ」や、百貨店でのフェアを紹介した。140年の歴史を持つアレキから新品種まで、岡山では長年蓄積されてきた栽培技術が現在のぶどう生産にも受け継がれている。




情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 ぶどう好きなら一度は食べたい 岡山「アレキ」140周年、旬の3種食べ比べ&限定パフェ