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これまで最も多かった23年度の同期間(156件)に比べて、2割超の増加ペースで推移。
すでに前年度累計(182件)を上回って、過去最多を更新した。
美容室の経営は、近時はスタイリストなどの「人手不足」に加え、シャンプーをはじめとした美容資材の値上げや水道光熱費、テナント料などの「コスト高」。
さらに、新規開店が続いたことによる「同業者の競争激化」といった「三重苦」に直面している。
特に美容資材では円安といった要因も重なって値上がり傾向が続き、市販品ベースでもシャンプーやヘアコンディショナー、整髪料などのヘアケア用品価格は5年間で約14~16%上昇。
また、美容師不足の影響からスキルや集客力の高いスタイリストを引き留めるために給与水準が上昇し、人件費の負担も重くなるなど美容室の運営コストは負担感が増している。
他方、業界全体では美容室の新規開業や、フリーランス美容師の登場などでプレーヤーが増加。
家計における節約志向の強まりも背景に、事業者からは「パーマネントなど高単価の施術メニューが厳しい」といった声も聞かれる。
そのため、都市部では顧客獲得のために割引クーポンを発券するなど、実質的な値下げ競争も発生。
なお、2024年度のカット代(全国平均、12月まで)は約3,700円と、5年間で約4%の増加にとどまり、コスト上昇に見合うサービス料金の引き上げは難航している。
こうした情勢を背景に、美容室の24年度業績(2月までの判明分)は約3割が赤字経営となったほか、前年度からの「減益」を含めた「業績悪化」の割合は6割を占めた。
コロナ禍で業況が急激に悪化した2020年度(73.5%)に次ぐ高水準を記録するなど、美容室の経営環境は厳しい状態が続いている。