2021年に創立した株式会社Better J。就労環境が悪く、貧困に陥りやすいシングルマザーを対象に、SNSを利用したブランディング・マーケティング、ウェブサイトシステムの構築・支援を中心とした起業支援を事業としている。なぜ、対象をシングルマザーに絞っているのか。その答えは、代表取締役である上滝恭介氏が歩んできた人生にあった。

朝から晩まで働き、疲れ切った母親の顔が脳裏に焼き付いて離れませんでした

私は3兄弟の次男として、お世辞にも裕福とは言えない家庭で生まれ育ちました。落ち着きがなく、出かけてはけがをし、テストの成績も振るわない子どもでしたね。一方で、兄は文武両道、弟はスポーツに秀でていたことから、両親から比較されては劣等感を抱いていました。両親の離婚後、生活はさらに困窮を極め、「お金がない」が母親の口癖になっていることに気付きました。母を責める気にならなかったのは、身を粉にして働いていたことを知っていたからです。朝から晩まで働き、疲れ切った母親の顔が脳裏に焼き付いて離れませんでした。そんな母親を見て、「立派になって親孝行をしたい」、そして「不出来な自分のことも認めてほしい」と強く思うようになっていました。でもその当時は、お金に対するコンプレックスがあったので、普通に就職して働くことしか考えていませんでしたね。

繰り返した試行錯誤。「人の役に立ちたい」という思いからBetter Jを設立

その後、大手企業に入社し、順調にキャリアを歩んでいたところ、知人から「起業に向いている」とアドバイスを受けました。言われたときは少し意外に感じました。なぜならば、私はサービスとして提供できる何かを持ち合わせていたわけではなかったからです。しかし、それをきっかけに起業塾に通い始め、仕事と並行しながら起業と経営にまつわる、ありとあらゆるノウハウを習得していきました。
思い返せば、「いい学校を出て、大手企業に就職する」という、日本で当たり前とされるレールの上を考えなしに歩んでいたのだと思います。しかし、人生は一度きりですから、思いっきり楽しみたい。同時に「親孝行をする」という思いを果たすためにも、起業したいと思うようになりました。


試行錯誤を繰り返し、当時はまだ新しかったネットラジオを開局。自身でパーソナリティを務め、招いた起業家や投資家から夢や情熱を聞き出していきました。ところが、思うように収益化をできず、借金は増える一方です。そんな時に迎えた正月。親戚が集まる中、甥にわずかなお年玉をあげることすらできない自分自身にショックを受けました。幼少期の経験から、お金に対するコンプレックスがあって、それがビジネスをする上での心のブロックになっていました。しかし、これがきっかけで、お金に対して本当にどん欲にならないといけないと気付き、ブロックがようやく外れたのです。

そこから会社経営をする知人に弟子入りし、ノウハウに磨きをかけながら、借金を返済。その後、富裕層の多くが投資で収益を得ていることを知り、投資を行いつつ、講師として腕を磨く日々が続きました。起業塾と実践で得た知識・経験と、投資のノウハウを自分のためだけではなく、人のために役立てたい。そして、母の苦労を見ていたことから、対象をシングルマザーに絞った起業家支援サービスの提供を開始しました。


マレーシアへの教育移住と経済的な自立の両輪で、より豊かな生活を実現してほしい

世の中のシングルマザーの方たちはすごい力を持っています。子どもを産んで一人で育てるということは、とてつもない労力が必要です。それをできる人が、ビジネスをできないわけがありません。当社では、シングルマザーである塾生一人一人から、歩んできた人生、スキル、目標を徹底的にヒアリングし、その人に合った事業をカスタマイズ。そして、その塾生と代理店契約を結び、収益のレベニューシェアを行う。これによって、塾生の自立心を促すというのが事業の特徴です。

現在は、国内におけるシングルマザー向けの起業支援を重点に置いていますが、今後はより多くの人に、より自由な生き方を提供するため、活動の幅を海外に広げます。現在、私はマレーシアを主な活動拠点にしており、日本人を対象に、マレーシアでの定住を支援するサービスを2024年7月に開始する予定です。マレーシアは親日国で、日本人の移住先としても人気があります。そして、インターナショナルスクールが多く、それらは日本の画一的な教育とは異なり、子どものポテンシャルを生かすことに重点を置いているのが特徴です。教育移住の支援と同時に、現在私が日本で行っている事業と同じように、会社に頼らず収益を得るための支援もできます。この新事業を通じて、より多くの人に精神的にも経済的にも余裕のある暮らしを楽しんでほしいですね。

情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 起業支援によってシングルマザーの自立を促進。背景には幼少期の母への想い -インタビュー