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10月23日に行われた臨時国会の所信表明演説で、「経済」「経済」「経済」と繰り返し、2024年に向けた経済政策を表明しました。この先も物価高が続けば、今後はどのような時代になっていくのでしょうか。2019年に金融庁が「老後2,000万円問題」を報告しましたが、このまま物価高や増税が続けば老後資金はこれよりも掛かるような時代になるかもしれません。
そのような背景もあり、岸田総理が昨年から進めていた1つの政策が来年1月から始まります。
個人の金融行動を「貯蓄」から「投資」へ抜本的にシフトしていく「資産所得倍増プラン」の1つである新NISA制度です。
「『新NISA』で積立投資を始めたいけど、やり方が分からない」
そんな方のために、これを読めばすぐに始められる「『新NISA』で積立投資を始めるための簡単4ステップ」をご説明します。
NISA制度は、少額投資非課税制度のことでNISA口座内で、株式や投資信託などの金融商品を購入すると、売却益や配当金にかかる税金が非課税になります。現在は、一般NISAとつみたてNISAの2種類があり、一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円の非課税投資枠が設定されています。一般NISAは、投資対象の幅が広く、投資の自由度が高いのが特徴です。一方、つみたてNISAは、長期・積立・分散投資に適した金融庁によって選ばれた投資信託(一部上場投資信託(ETF)を含む)に限定されており、初心者でも始めやすいのが特徴です。そして2022年12月の法改正により、2024年1月から新しいNISA制度が始まります。
新NISAでは、以下の5つのポイントが大きな変更点になります。
これまではつみたてNISAでは20年間、一般NISAでは5年間という非課税保有期間を設けていました。新NISAではそれぞれつみたて投資枠と成長投資枠と名称が変わり、投資限度額内であれば、無期限で非課税になります。
従来のNISA制度では、利用可能期間がつみたてNISAは2042年まで、一般NISAは2023年までと定められていました。しかし、新NISA制度では利用可能期間が恒久化され、18歳以上の人であれば、いつでも口座開設が可能となります。
これまではつみたてNISAか一般NISAのどちらか片方しか、利用できない制度でした。しかし、新NISAでは1つのNISA口座でつみたて投資枠と成長投資枠の両方が併用できるようになります。
新制度では年間の投資枠の上限も変わります。現行のつみたてNISA 40万円→新NISAつみたて投資枠 120万円、現行の一般NISA 120万円→ 新NISA の成長投資枠240万円です。
現行制度では生涯、投資できる金額は、一般NISA:600万円、つみたてNISA:800万円でした。新NISAでは、新たに生涯にわたる非課税限度額が設けられます。これを生涯投資枠と言いますが、その上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。
新NISAを始めるためにはこの4つのステップを進めていきましょう。
それでは1つ目です。
そもそもNISAは投資ですので、証券口座を開設する必要があります。証券口座は証券会社や銀行、保険会社等で開設することが出来ます。その総数は現行のつみたてNISAを取り扱う金融機関だけで、610法人あります(2023年12月現在)これだけの数があると、どこで証券口座を開設するのが良いのか、悩む方も多いと思います。近年はテレビやWEBでも証券会社の広告も増えてきました。証券会社を選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。
そのような声をよく耳にしますが、証券会社を選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。
証券口座を選ぶ際には、取り扱っている投資信託の数が重要です。少ない投資信託から選ぶよりも、多くの選択肢から選ぶ方が、自分に合った投資信託を見つけやすくなります。その点でネット証券で証券口座を開設することをおすすめします。ネット証券は銀行よりも多くの投資信託を取り扱っています。すでに口座を保有している人の中には銀行職員からの勧めで銀行でNISA口座を開設した方もいらっしゃるかもしれません。そのような方はNISA口座の移管※をおすすめします。それではネット証券と銀行ではどのくらいの投資信託の数にどのくらいの差があるのでしょうか。
※NISA口座を開く金融機関を変更する際は、変更したい年の前年10月1日〜当年9月30日までに手続きを済ませなければなりません。 来年から新NISAを運用する金融機関を変更したい場合は今年10月1日から来年9月30日までに手続きをしなければなりません。
こちらの表は現行制度のつみたてNISAを取り扱う主要なネット証券と銀行が取り扱う投資信託の数を比較した表です。ご覧いただくと、一目瞭然だと思います。ネット証券と銀行では投資信託の取り扱い数がこれだけ違うのです。
皆さんはネットショッピングやデパートで商品の選択肢が多いお店と少ないお店では、どちらで買い物をしたいでしょうか。様々な価値観はあると思いますが、積立投資で行う資産運用は今後、20年後、30年後の備えとして、始める方が多いと思います。最初のうちは1つの投資信託で運用する方が多いとは思いますが、途中から投資に対する知識を得て、投資信託を変更したり、分散投資をして複数の投資信託を運用する人も出てくると思います。当然、選択肢は多い方が良いはずです。そのため、ネット証券で証券口座を開設することをおすすめしております。
証券口座を開設するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。インターネット上で申し込みを完結する方法もあれば、資料を請求し、必要事項を記入して郵送する方法等があります。詳しくは各証券会社のホームページに記載しておりますので、確認するようにしましょう。
インターネット上で申し込みが完結する方法であれば、必要書類もスマートフォンで撮影して提出することができるので、印鑑を用意したり郵送をする手間が掛からず、スムーズに証券口座を開設できます。
証券口座を開設したら、NISA口座の開設手続きを行います。開設するには税務署の審査も必要です。具体的な流れがこちらです。
こちらも手間が掛かりそうに見えるかもしれません。ただネット証券の場合はオンライン上で、必要事項の記入とマイナンバーカードや他の本人確認書類を写真で提出することで申請が出来るケースがほとんどです。その後、税務署の審査が必要になりますが、通常は1〜2週間程で完了します。来年から新NISAを始める予定の方は年内にSTEP1の証券口座の開設と、STEP2のNISA口座の申請を終わらせておくと、来年1月から運用を開始できるようになります。
NISA口座を開設したら、次は運用する投資信託選びです。
それでは実際、金融庁に認可されている投資信託はどれだけあるのでしょうか。
新NISAのつみたて投資枠で認可されている投資信託の数はなんと、、、
実はこれだけの数があるのです。投資そのものを初めて行う方にとって、ファンド選びは非常に悩むところですよね。投資信託を選ぶ上でポイントは様々ありますが、その1つが運用をする商品の「利回り」です。
ーーー利回りとはーーー
「利回り」とは、投資した元本から一定期間に、どのくらいの利益が得られたかを表すものさしです。「投資金額に対して得られる収益の割合」を指す用語で、「リターン」もしくは「トータルリターン」と呼ばれることもあり、投資全般に使われています。
投資信託の場合、収益には売却(換金)した際に得られる①「譲渡損益(売却損益)」と、運用次第で投資家へ分配・還元される②「分配金」の両方が含まれます。
一般的に、1年間に得られる収益の割合=「年利回り(年利とも呼ぶ)」を利回りと呼びます。金融商品を購入する際には、この利回りが重要な指標となります。
それでは一体、どのような商品を選ぶのが良いのでしょうか。
こちらの表はNISAに認可されている主な投資信託の過去30年の平均的な利回りを調べたものです。過去の利回りを見ると、アメリカのS&P500やナスダック、インドのSENSEXのパフォーマンスが高いのが分かります。積立投資を行うにはこのファンド選びがとても重要ですので、しっかりと検討してから運用を開始するようにしましょう。
投資信託は株式市場の動きに連動するため、商品選びが重要です。株式市場が上昇すれば、投資信託の価格も上昇し、利益を得ることができます。逆に、株式市場が下落すれば、投資信託の価格も下落し、損失を出す可能性があります。
そのため、投資信託を選ぶ際には、株式市場の動向を把握し、それに連動しやすい商品を選ぶことが重要です。
利回りが低い商品を運用し続けても、成果を出すために想定よりも時間が掛かるということになります。
ただ当然、利回りの高い商品にはリスクも伴います。利回りが高い商品は、株式市場の動きに大きく連動する傾向があります。そのため、株式市場が下落した場合に損失が出る可能性があります。
他にも投資信託を選ぶ際には手数料や、純資産総額、運用実績等の商品への理解をして運用する必要があります。NISAに限らず、投資はあくまでも自己責任ですので、大切なことは正しい知識を持って運用を続けることです。
運用する商品を決めたら、証券口座に現金を入金して運用をします。基本的には普通預金口座から証券口座に入金し、毎月設定をした金額が自動的にNISA口座から引き落とされて、投資をしていきます。※
これを毎月、繰り返します。毎月、証券口座に現金を入金するのが手間であれば、クレジットカードで積立投資を行うことも可能です。
※積立投資をするタイミングは毎月、毎週、毎日と選択ができます。クレジットカード支払いの場合は月に1回の買付になります。
NISAを活用して積立投資を行うために、運用をする目的を決めましょう。積立投資においてはどのような目的で運用するのかが重要です。老後資金を貯めるため、マイホームの頭金を用意するため、子供の教育費を準備するため、夢や目標を叶えるため、様々な目的があると思います。それではライフプラン別で金融庁の資産運用シュミレーションを使って、資産形成に必要な金額や期間を見ていきたいと思います。
※運用利回りは10%※で計算
※年利10%は、米国の株式指数の1つで人気のあるS&P500や全米株式の10年-20年の平均利回りから計算したもので、将来を確約するものではありません。
(参考:金融庁 資産運用シュミレーション)
【ケース①】
20代の方が10年後に迎えるであろう結婚式に掛かる300万円を10年で貯めるというゴールを設定するとします。その場合に、利回り10%で毎月15,000円程を積み立てると、10年間で300万円貯まるというシュミレーション結果になりました。本来、預貯金で準備をする場合、毎月25,000円程必要となりますので、新NISAで結婚式に掛かる費用を準備するというのは選択肢の1つになると考えられます。
【ケース②】
30代の方が子供が産まれてから、18年後に迎える子供の大学の学費をNISAで用意したいというゴールを設定して、シュミレーションをした結果がこちらです。毎月8,000円程を積み立てることで18年間で500万円貯まる試算になりました。これを貯蓄で用意すると18年間、毎月24,000円程を貯金する必要があります。今年、6月に岸田政権が掲げる新しい資本主義の1つ、次元の異なる少子化対策として「次世代育成支援対策推進法」の一部が改正されました。来年10月から親の年収に限らず、子供が高校を卒業するまで児童手当が支給されるようになります。児童手当の一部をNISAで運用することで、子供の大学の学費を用意するというのは選択肢の1つになるかもしれません。
【ケース③】
40代になると、老後について考える人が増えてくると思います。「老後2,000万円問題」でもシュミレーションしてみましょう。40歳の人が仕事を引退する予定の65歳までNISAで積立投資をするということでシュミレーションしてみました。毎月15,000円程の投資で25年後には2,000万円の資産を保有することが出来る可能性があるという試算になりました。これを貯蓄で用意するには毎月65,000円程が必要になります。実際に積立投資をする期間のほとんどは40代〜50代で、多く人が子育て中だと思います。老後資金のために毎月65,000円を貯めるというのはあまり現実的ではないですよね。
そのため、老後資金をNISAで準備するというのも今後のライフプランを考える上では選択肢の1つになってくるのではないかと思います。
NISAに関しては1日でも早く始めた方が有利です。投資の基本は、⻑期運⽤、分散投資、そして少額でもコツコツ続けることにあります。
預貯⾦に利息がほとんどつかないのに、物価だけが上昇している時に運⽤せず、貯蓄するだけでは資産は実質的に⽬減りしてしまいます。
数年前に「⽼後2000万円問題」が議論を呼んだように、⽼後の⽣活には⾒通せないことが多いです。資産形成は、⽣活のためだけでなく⼼のゆとりにつながると思います。
ただもちろん投資は自己責任ですので、⾝近な⼈に勧められたとしても、分からないものに注ぎ込んではいけません。⾃分でしっかりと勉強をして、納得した上で第一歩を踏み出して欲しいと思います。
グローバルファイナンシャルスクール(GFS)について
資産形成教育の浸透を目指す、オンライン金融スクールです。講義数、講師数、講義時間数、生徒数は業界最多となり、2023年11月末現在の生徒数は31453人。