- 週間ランキング
紙の手触りや箔(はく)など、写真では伝わりにくい細やかなディテールが魅力的な書籍だ。
メインのキャッチコピーは<生きるために描く。それが誰かの生きる意味になる>。
ボディコピーは<一枚の絵を通じてたどり着く『いつか還る場所』>。
さまざまな意味と想いを込めたコピーだ。
デザイナーは高柳雅人さん。
数々のベストセラーの装幀を手がけてきたヒットメーカーだ。
総ページ数は448ページ。
戦争、家族、仕事、芸術、いまの「加藤シゲアキのすべて」を詰め込んだ重厚な一冊となった。
前作『オルタネート』の執筆時から考えていた本作が、構想からおよそ3年の歳月を経てついに完成しました。
『なれのはて』は自著のなかで最も壮大なテーマに挑んだエンタメ作品であり、また問題作でもあると考えています。
三十代半ばとなる(なった)私が何を書くべきか、問い続けた結果がこの作品です。
舞台を2019年の東京と、私の母の地元である秋田にしたのは、私自身がこの物語に深く没入するためでしたが、その過程で日本最後の空襲のひとつといわれる土崎空襲を知り、自分がこの小説を書く宿命を感じました。
この小説を書いたのは本当に自分なのか、それとも何か見えざるものによって書かされたのか。今はそういった不思議な気分です。
作家活動が十年を超えた今だからこそ、全身全霊で書き上げることができました。
一枚の絵の謎から広がる世界を、どうぞご堪能いただけると幸いです。