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また、「昔から」ある症状と聞くと、胃薬や消化を改善する薬を飲んで経過をみようと、医師側も患者側も考えることが多い。
しかし、実際、40代で胃がんなどの重篤な病気を発症することはよくある。
特に、若い女性の胃がんは多いのだ。
その上、胃がんの中でも、非常に予後が悪いタイプのものが起こりやすいため注意が必要だ。
この患者の担当医は、胃がんの可能性もあると考えて胃カメラをすすめた。
患者は、毎年のように胃の検診を受けているので不要だと伝えた。
よく検診内容を聞くと、胃のバリウム検査だった。
実際、胃の病気を調べるためには、胃カメラが最も役立つことが多い。
バリウム検査では、初期や小さい胃がんやその他の病気を発見できない可能性が高い。
胃が不調の際は、胃カメラを受けるのがおすすめだ。
この患者も医師に説得されて、胃カメラを受けた。
胃カメラを行うと、胃がん疑いの病変が見つかり、最終的に胃がんと診断された。
胃がんと診断するためには、この病変の組織を採取し、顕微鏡検査を行うことが必要だ。
検査結果が分かるまで、数日〜1週間ほどかかる検査だが、非常に重要である。
その他の検査(血液検査、CT検査など)を行い、この患者は幸い手術で完治が望める状態だった。
手術を行い、手術後の経過も良好で、手術後も再発なく暮らしている。
若いから、昔からある症状だからといって安心してはいけない。
胃がんに関しては、30代以降、特に女性は注意が必要だ。
放置していると、半年から1年ほどで治療できない状況となる可能性もある。
少しでも胃に症状がある方、そして場合によっては無症状の方でも、1年に1回は定期的に胃カメラを受けてほしい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。