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通常、地面にいると1気圧だが、標高が高くなるにつれて気圧が低くなっていく。
例えば、富士山の山頂まで行くと、0.6気圧弱にまで低くなる。
飛行機は約1万mの上空を飛んでおり、周りの気圧は、0.26気圧程度になる。
この低気圧だと、人は生きていくことができない。
そのため、飛行機内の気圧が調整されている。
しかし、調整しても0.8気圧程度なのだ。
これは、富士山の5合目、地上2000〜2500m程度の気圧だ。
これ以上気圧を下げると、高山病が起こりやすくなるため、この気圧に設定している。
低気圧だと、体内の酸素の量が減ってしまう。
簡単にいえば、一回の呼吸で身体の中に入る酸素の量は、20%程度減ってしまっている状態だ。
低酸素状態になると、脳の機能が悪くなる。
その影響で判断力が低下したり、ぼんやりしてしまうのだ。
お酒を飲まなくても、すでに酔ったような症状が出やすくなっている。
その状態でお酒を飲むと、通常より少ない量で酔いやすくなるのだ。
実は、お酒を飲むだけで体内の酸素量が減ってしまう。
これは、地上でも飛行機内でも同じだ。
個人差はあるが、血の中の酸素濃度は約10%減ると報告されている。
飛行機内の湿度は、約20%と言われている。
そのため、非常に脱水になりやすい。
アルコールには利尿作用があるので、余計に脱水傾向になり、身体に負担がかかるのだ。
体内の酸素量が減ると、心臓や脳、肺などの負担が増える。
そのため、元々その部位が弱っている方は、悲鳴をあげてしまい病状が悪化することがあるので注意が必要だ。
ただでさえ飛行機内は、脱水になりやすい。
お酒を飲むことで尿がよく出て脱水になると、血が固まりやすくなる。
特に足の血管に血栓ができて、それが肺に飛んでしまうと命に関わる。
お酒を控えて、水分を積極的にとるのが大切だ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。