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特に忙しい朝には、朝食後の薬を忘れがちだ。
眠ければ、飲む薬を飲めないままに寝てしまう。
薬の中には、飲み忘れると重大な問題が起きることもある。
例えば、てんかんの薬だと、けいれん発作が起きてしまう。
実は、てんかんの方けいれん発作が起きる原因で一番多いのは、薬の飲み忘れなのだ。
他にも、ばい菌をたおす薬を飲み忘れると、せっかくの効果が薄れて病気が再燃してしまうこともある。
また、ステロイドなどの薬では、急に中断してしまうと、発熱や頭痛、吐き気、だるさ、血圧低下などが起きて深刻な状態になることがある。
患者の中には、実に多種類の薬を飲んでいる方もいる。
実際問題として、高齢者に多いということもいえるが、飲み忘れていることが非常に多い。
また、勘違いしてしまってあえて飲まないようにした、という方もいる。
例えば便秘の薬を他に飲んでいて、便通がよくなったのでやめようと思い、間違えて便秘以外の薬を飲まなくなってしまうことなどはよくある。
薬の飲み忘れを防ぐために、薬を一包化することがある。
朝に飲む薬を、一つの袋にまとめることで飲み忘れを防ぐのだ。
しかし、薬を落としてしまうこともあるのでこれでも完璧とは言えない。
薬の中にマイクロチップを入れて、患者が本当に飲んだかどうかをモニターできるシステムがある。
実は、2017年にはアメリカで導入されている。
日本ではまだ認められていない。
薬を飲むと、マイクロチップが信号を発して、身体に貼り付けた検出器が連動して記録するのだ。
それをチェックすることで、確かに飲んだかどうかが確認できる。
薬を飲みすぎた時も、何錠飲んだのかが分かる。
一部の精神疾患などでは、薬を何錠も飲みすぎたりする方もいる。
高齢者の中には、すでに飲んだのに忘れてしまってさらに飲む方もいる。
いつどれだけの薬を内服したのか、厳密にチェックできるのだ。
現時点では、日本ではまだ使用されていない。
導入するメリット、デメリットを調査中なのだろうが、今後実用化されることを望むばかりだ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。