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ロボットを操作するのは、患者から少し離れたところに座った術者、すなわち人である。
これまでの手術では、術者は基本的に立って長時間手術をしていた。
座って手術できるようになり、術者の疲労感は軽減された。
ロボットの販売会社によって異なるが、ロボットには、3、4本の腕がついている。
この腕に、操作用の細長い器具を装着させて患者の身体の中に入れるのだ。
術者は、すべての腕を操作できる。
ロボットの腕の一本には、細長いカメラをつける。
このカメラによって、患者の身体の中が拡大して見える。
見え方も3Dで、術者には立体的に見える。
3Dメガネも不要だ。
立体的に見えることで、手術する際に奥行きの感覚が分かりやすく手術しやすい。
手術する際の、ロボットの腕や、腕につけた操作用の器具、カメラはすべて術者がコントロールしている。
これまでの手術では、術者ひとりですべての役割はできなかった。
何かひとつを切る時でさえも助手の手伝いが必要だった。
実際、助手がまだ手術に慣れていない場合は、手術が進みにくいこともあった。
ロボット手術では、すべて術者ひとりで操作するので、術者のスキル次第で非常にスムーズに手術が進むのだ。
実際に手術をする術者は、患者から少し離れたところにいる。
万が一、ロボットが故障して異常が起きたり、患者に緊急事態が起きた時に備えて、患者のそばには常に医師が待機しているので安心だ。
また、ロボットの腕についている器具を入れ替えたり、ロボットだけではできない一部の操作を手伝ったりもする。
保険でロボット手術ができる病気が年々増えているし、実際、件数も右肩上がりだ。
国としても、ロボット手術を増やしていきたいのだと思われる。
ロボット手術の行き着く先として、遠隔治療があげられる。
術者は遠くにいながら、どこの患者の手術もできるようになる。
都会と田舎の医療レベル格差が問題となっているが、少しでも解消されればと願うばかりだ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。