- 週間ランキング
多くの場合、子どもは誰かに手をきつく引っ張られた後や、手を引っ張る遊びをしていて腕を動かさなくなっている。
子どもはだらんと腕を垂らして、痛がって腕を動かそうとしない。
腕の骨には、大きな骨が2本ある。
このうちの1本が、肘の関節で外れてしまっているのだ。
少し動かすだけでかなりの痛みが出るため、触ろうとしても子どもは触らせてくれない。
この病気は、肘内障(ちゅうないしょう)と呼ばれる。
こうなると、治療しないと治らない。
ごくまれに自然に治ることもあるし、自分で治せるという方もいるが、正直言っておすすめしない。
間違った方法で治そうとすると、悪化したり、骨折したりする場合がある。
そのため、必ず病院を受診してほしい。
肘内障は、1〜3歳ぐらいの子どもに多い。
大きくなれば、肘の関節がしっかりするので発症しにくい。
治療は、すぐに終わる。
医師が子どもの腕を持って、腕を少し回転させながら脱臼を治す。
コリっとした感触があり、腕は元通り動くようになる。
ただ、あまりにも強く手を引っ張った場合には、肘内障ではなく、腕や肘の骨が骨折してしまっている場合がある。
そのため、骨折していないかどうか確かめるために、病院でレントゲン検査をされることがある。
筆者は、手を引っ張られた子どもで、完全に骨が外れており、さらに骨折もしていた子を診察したことがある。
原因は、子どもが喜ぶからといって、親がきつく手を引っ張って子どもの体ごと引っ張り上げたことだった。
こうなってしまうと治療がかなりややこしくなるし、これからの骨の成長がうまくいかないこともある。
子どもが道路に飛び出しそうになったときなど、急に手を引っ張らないと子どもに危険が及ぶ場合は、仕方がない。
しかし、遊びで手を引っ張るのは、骨折などおおごとになってしまうことがあり危険なので、できれば控えて欲しい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。