今や国民的行事といっても過言ではない『M-1グランプリ2022』(テレビ朝日系)の決勝戦が、12月18日に開催された。

過去最多の7261組がエントリーし、予選の段階からいつになく厳しい戦いが繰り広げられた、今回のM-1グランプリ。

本記事では、惜しくも優勝を逃したものの、筆者が「もっと見たい!」と思った3組の魅力を紹介していく。

1.カベポスター

正統派しゃべくり漫才で、関西のホープと名高いカベポスター。永見のセンスあふれるボケに、浜田が的確なワードでツッコんでいく構成力の高さに定評がある。

2022年に入ってから関西の賞レース2つで優勝した最も勢いのある若手漫才師が、満を持してM-1決勝の舞台に初登場した。

「会場が緊張感に包まれているのでトップバッターは不利」というのはよく聞く話だが、カベポスターには余計な心配だった。

永見の「確かにお前の言う通り、糸電話って数分後にはめっちゃゴミだね」の一言で爆笑が広がり、開始10秒で自分たちの空気感にしてしまう。審査員の立川志らくが「つかみがおもしろすぎた」と評するほどに。

ネタは大声大会をテーマにしたもので、独特の言葉選びが何度も笑いを生む。後半の伏線回収も秀逸で、会場では拍手が起こっていた。小気味いいテンポで進む漫才に、4分間があっという間に感じてしまった。

漫才が終わってからも、カベポスターのおもしろさは止まらない。司会の今田耕司から話を振られた際、永見が「那須川天心~!」と叫んで爆笑をとった。大声大会なのに「ん」で終わる言葉を叫ぶというネタへのかぶせと、 出番順を決める「笑神籤」で自分たちを1番に引いた那須川天心への皮肉を込めた一言だったからだ。

最終結果は8位だったが、やはりもう1本ネタが見たかった。カベポスターが話術だけを武器に栄冠を勝ち取る姿を、来年こそはと期待している。

2.真空ジェシカ

真空ジェシカは、ボケの川北とツッコミのガク両者が、大喜利を得意とするコンビ。漫才でも特定の人にしか伝わらないようなワードを好んで使うので評価が分かれるが、中毒性が高く熱心なファンも多い。

M-1グランプリでは、2年連続の決勝進出。万人にウケるくだりだけをやれば優勝も狙えるのに、やはり「自分たちがおもしろければいい」を貫き通した

ネタは「共演者の信頼を得たい」というガクに対し、川北が「シルバー人材センター」を勧める奇抜な設定で始まる。「共演者の信頼」と「高齢者の人材」で韻を踏んでいるのだ。

「ノルウェーの刑務所」「年金を払いすぎて卑屈になっている」など、彼らならではのワードが飛び交い爆笑を生む。八法全書を書いているという老人に対して「六法全書の同人誌」「著作権の著作権侵害」のツッコミは他のコンビでは不可能だろう。

また、漫画『HUNTER×HUNTER』の読者にしか伝わらない「俺でなきゃ見逃しちゃうね」のセリフを使っていた。国民が注目するM-1グランプリですら、わかる人にだけわかればいいボケを無理やり入れてくる。

漫才の後もずっとボケ続け、司会の今田耕司が「ちゃんとして」と言ったのは最大の賛辞に思えた。

審査員の博多大吉は「大喜利と漫才を融合させたネタではズバ抜けてトップランナー」と評価したが、結果は5位敗退。漫才以外の場面も含めて、真空ジェシカはもっと見たい存在だった。

3.男性ブランコ

『キングオブコント2021』で準優勝してから、一気に知名度を上げた男性ブランコ。「コントの猛者」と呼ばれる彼らだが、今大会での順位予想で3位になるなど、漫才の実力も高く評価されている。

コント師らしい着想と演技力で確実に笑いをとっていくスタイルが持ち味で、ボケ数が少ないにもかかわらず破壊力は抜群。外見や声質などすべての要素が完璧にネタと合致した、唯一無二の気持ちよさを味わわせてくれるコンビだ。

初の決勝戦で披露したのは「音符運び」をする仕事というネタ。ボケの平井が「♪」や「♫」の運び方を解説しながら実践するが、ツッコミの浦井を直撃して失敗を続けるシュールな内容だった。

文章で書くのが困難なほど、平井の表現方法や浦井の転びっぷりが見事で、会場は笑いの渦に包まれる。インターネット上もざわつき、Twitterでは「音符運び」がトレンド入りした。

男性ブランコは惜しくも4位敗退となったが、審査委員の松本人志がつけた点数は今大会では自身最高の96点。お笑いコンビ千鳥の2人も、打ち上げ企画で彼らのネタを絶賛していた。

打ち上げでは平井が「2本目は音符が運べるネタを用意していた」と話しており、ぜひとも見たかったと思ったのは筆者だけではないはず。男性ブランコはすでに来年のリベンジを誓っているので、次回こそはネタを2本披露してチャンピオンになる姿を見せてほしい。

(文 モトマツ)

情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 M-1グランプリ2022「もっと見たい!」と思わせてくれた3組