鳥取県中部に位置する倉吉市は4月1日、大手ゲームメーカーが運営する音楽配信コンテンツ『ひなビタ♪』に登場する架空の都市「倉野川市」と姉妹都市提携を結んだと発表した。同市によると、フィクション上の都市と姉妹都市提携を結ぶのは全国で初めて。同日に市役所で記者会見を開いた石田耕太郎倉吉市長は、報道陣からの問いかけに「今日はエイプリルフールですが、マジでございます」ときっぱりと言い切った。

 倉吉市は人口約5万人の地方都市。市内には白壁土蔵群として知られる江戸、明治期に建てられた家屋や土蔵が今も多く残り、その町並みから中高年観光客に人気が高い。近年は台湾などからも観光客が訪れる。

 一方の倉野川市は、コナミデジタルエンタテインメントが運営するネット上の音楽配信コンテンツ『ひなビタ♪』に登場する架空の都市。同作品は、山陰のある地方都市「倉野川市」を舞台に、地元のひなびた商店街「日向美商店街」を盛り上げようと、5人の女の子がガールズバンド「日向美ビタースイーツ♪」を組んで奮闘するというストーリー。

 提携のきっかけは『ひなビタ♪』ファンの間での口コミだった。その設定が実際の倉吉市と似ていることから、ネット上では同市がモデルではないかと噂に。“聖地巡礼”と称して倉吉市を訪れる若者たちが現れた。彼らの活動は市の定例議会でも話題になり、「姉妹都市提携を結べたら面白いのでは」との提案が出されて今回の提携に至った。

 今回の姉妹都市提携により、「日向美ビタースイーツ♪」の5人が「くらよし観光大使」に就任したほか、作品中で倉野川市観光課のタウンマネージャーとして登場する「久領堤纒(くりょうづつみ・まとい)」が倉吉市の同職に就任。倉吉市役所内にはすでに彼女の席も用意されるなど、姉妹都市間の“人材交流”もはかられた。

 今後は、市内の各名所に登場人物のパネル約30点が順次設置されるほか、4月16日からはじまる「くらよし桜まつり」では『ひなビタ♪』声優陣によるトークショーや新曲発表会など様々なイベントも予定されている。

 石田市長は「今まで市が取り組んできたレトロな街づくりの保護とは対極にある世界かもしれないが、かえってバッティングしなくて良いのかも。レトロな地方都市とクールジャパンのポップカルチャーが融合して、観光推進や地域おこしにつながれば」と期待を寄せている。

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【記事提供:リアルライブ】
情報提供元: リアルライブ