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1982年にデビューしたアイドルを花の82年組と呼んでいる。中森明菜・小泉今日子・早見優・堀ちえみ・松本伊代などがそうだ。この年はアイドル大豊作と言われ、80年代のアイドルブームを牽引するキッカケとなった。多くのアイドルがデビューしたことで、現場に出向くファンとしては、目移りがしてしまった。気になる子は多くいたが、まずはアイドルの登竜門でもある各局がやっている音楽祭の新人賞のノミネートをチェックすることにした。私の本命は堀ちえみだったのだが、当時いつも一緒に現場に行っていた同級生が早見優ファンだったことで、早見の現場にも多く行くようになった。
そんな私に大きな転機がやってきた。この年の11月に夕方の帯番組として放送していた『アップルシティ500』(TBS系)を観に行った時のことである。この番組はアイドルが多く出演する情報バラエティ番組であり、しかも公開生放送である。現場には学校帰りの多くの中高生男子が集まっていた。この日はゲストに早見が出演するということで、友人と現場である青山CIプラザへ向かった。生放送なので1時間はあっという間だったが、友人が早見に会いたいということで、出待ちをすることにした。
ものの5分で早見は出てきたので、急いで近くに駆け寄ってみた。多くのファンが集まっていて、モミクシャになってしまったが、何とか早見の側に近寄れたので、2ショット撮影をお願いしてみた。すると「OK」の返事が返ってきた。まさかの展開に舞い上がってしまったが、これまであまり興味が無かったのに、この2ショット撮影をキッカケに好きになってしまった。
この後に堀ちえみの親衛隊に入るつもりでいた私は、一気に早見に傾いてしまい、翌年の春には友人と一緒に早見の親衛隊に入ることにした。親衛隊は毎週日曜日にコールの練習などがあったので、私はほぼ皆勤賞レベルで練習に参加した。親衛隊に加入して2か月後くらいに、日本青年館でコンサートがあった。コンサートの少し前に、今では早見の代表曲でもある『夏色のナンシー』の発売もあり、まさにノリに乗っている時期である。そんな時に、当時中学3年生の私に親衛隊長が『夏色のナンシー』の時に統制棒を振らせてくれたのだ。
そこでコールの統制もやらせてもらえたのだから嬉しくて仕方なかった。今となっては『夏色のナンシー』は自分のフェイバリットソングであり、生涯出合った好きな曲ベスト5に入るほどである。しかし中学3年という年齢もあって、受験が控えているため、年末前には親衛隊を辞めることにした。たしか『ヤンヤン歌うスタジオ』(テレビ東京系)の収録前に先輩に辞めることを伝えた。辞めると言い出して何かされるのではと思っていて、言い出すのが恐かったが、その先輩は「受験がんばれよ」と言って快く送り出してくれた。在籍期間も短かったので、私のことを覚えている親衛隊の人はほとんどいないと思うが、親衛隊に在籍していたことは、確実に人生の糧になっているので、今でも親衛隊を誇りに思っています。
無事に高校にも入学することもできた。現場にも中学時代のように精力的に動くようになり、早見とも再会することもできた。「高校生になりました」と報告すると、早見は笑顔で喜んでくれた。その後も何度も顔を合わせるようになったが、80年代も後半になるとアイドル番組やアイドルイベントが激減してしまい、会える機会が減ってしまった。
90年以降は女優がメインになり、96年には結婚、2001年には長女を出産した。その後は同期でもある堀ちえみと松本伊代とキューティー★マミーというユニットを組んで、再びアイドルソングを歌ってくれた。05年にお台場でイベントがあったので、キューティー★マミーを観に行くことにした。このステージを観た時に、色々なことが走馬灯のように蘇ってきた。早見の歌声をもう一度ゆっくり聞きたいという気持ちにもなっていた。
さらにキューティー★マミーから10年の月日が経った16年1月に『わが青春のアイドルヒットステージ 80's』と題したコンサートが開催された。早見優・松本伊代・柏原芳恵の3人のコンサートである。このコンサートでは『夏色のナンシー』をはじめ、全6曲を披露してくれた。記憶の片隅にあった親衛隊時代のコールを必死でやってみた。『夏色のナンシー』のコールをしている時に、日本青年館のコンサートを思い出しながら一生懸命にコールをした。すごく嬉しい気持ちになり、久々に早見のステージを観ることができて満足した。おそらく来年にはデビュー35周年のコンサートが開かれると思うので、もし開催が決まれば、もう一度会いに行きたいと思う。
(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)
【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。
【記事提供:リアルライブ】