2016年、今年の干支は猿だ。十二支で実在する動物のうち、一番頭が良いものはと言われたら、恐らく真っ先に名前が挙がるのが猿だろう。

 今回は今年の干支にちなんで一風変わったUMA、インドの「モンキーマン」を紹介したい。

 モンキーマンは2001年4月からインドの首都ニューデリーとその周辺で目撃された獣人型UMAだ。大きさは1.4〜1.6メートルと小柄で全身に黒い毛が生えているが、直立二足歩行が可能だという。非常に俊敏で高い跳躍力を誇り、両手の鋭い爪で人々を襲った。丁度暑くなる時期で、暑さしのぎに屋外で就寝する人も多かったため被害者は100人以上にものぼり、モンキーマンから逃げようとして建物から転落死するなど、死者も出た。警察はモンキーマンは所詮猿でしかないと事態の収拾を試みたが、被害は拡大化する一方だった。最終的に懸賞金をかけてモンキーマンの大規模な調査を行ったものの、結局手がかりが見つからないまま、次第に目撃証言の数も減っていった。

 このようにインドを混乱に陥れたモンキーマンだが、実在に関しては大きな疑問符が付いている。小柄な獣人という目撃証言ならまだしも、ヘルメットを被り衣服を身に着けている姿も目撃されているからだ。また、物的証拠が存在しなかったり、目撃者の証言が二転三転するなど信頼性のおける情報が極端に少ない事も挙げられる。服を着ていたという証言から、一部は実在する人間の犯行だったのではないかとも考えられている。

 また、インドでは神話に登場するハヌマーンという猿の姿をした神様に対する信仰が篤いため、猿を特別視する傾向にある。猿のちょっとしたイタズラ程度なら見逃されてしまうし、凶暴化して人間を襲ったケースでも殺処分などは行われず、捕まえて市街地から離れた所に放すのがせいぜいなのだ。そのため、インドでは凶暴化した猿の度を超したいたずらが問題視されている。

 昨年末には停車中の路線バスを猿が勝手に動かしてしまい、他のバス二台と衝突する事故も起きている。このように、現在では猿が人間を襲った事例や通り魔的犯行など、様々な要因と集団ヒステリーの相乗効果により生まれたものではないかと見られている。

文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所

【記事提供:リアルライブ】
情報提供元: リアルライブ